日本人講師が解説!初級者向け中国語発音の実践的練習法とコツ
中国語を学ぶ日本人初心者が最も悩むのが「発音」です。声調やピンインを正しく発音するのは思った以上に難しく、学習の壁となりがちです。
この記事では、日本人特有の中国語発音の課題やそれを克服するための練習法、発音練習に最適なWEBツールを日本人講師が分かりやすく解説します。
中国語講師として注意している点
私は中国語の日本人講師としての役割を意識して、受講者に対して実践している発音指導のポイントや工夫、受講者が自分で正しい発音を確認して練習する方法やコツをまとめました。
また、中国語学習者が独学で発音練習の精度を高めて効率化も可能なツールを併せて紹介します。
この記事を執筆した理由
中国語を学習している初級者に対して、総合力向上を兼ねて、作文と併せて、文章を発音した音声ファイルで提出してもらい添削することがあります。
日本人講師として私が最も重視していることは、中国人ネイティブのように早く発音することではなく、正確な声調とピンイン(拼音)の発音ができること、そして適切な箇所で区切ることです。
そのようなことに取り組んでいるなかで、いくつか問題点とその対処法が見えてきましたので、その経験談をお話ししたいと思います。
発音をマスターして、会話力向上や中国人との円滑なコミュニケーションを図る基礎力を養うことができれば幸いです。
発音は”スピード”より”正確さ”を重視
中国語講座受講者から提出された発音の添削を行う際、受講者には録音した音声を提出してもらっています。
音声をチェックしているときに気になるのが「スピード」です。スピーディーな発音もありですが、速く話そうとするあまり、発音や声調(四声)が正確でない場合が多々あります。
中国人ネイティブの会話スピードは非常に速いですが、初心者がそれを真似する必要はありません。むしろ、発音が正確でない状態でスピードを上げると、誤解を生む可能性があります。
発音練習の際、人によりますが、無意識に早く発音してしまう傾向があります。しかし、発音チェックの場面では、スピードを抑えて正確さを優先することが重要です。
スピードが速いと良くない理由
- 発音のスピードが速いと、ピンインや声調の誤りが目立ちにくくなり、講師としての添削がしづらくなります。
- 正確な発音が身についていない段階でスピードを上げても通じない発音になりがちで、日本人学習者にとって、無理に速いスピードで話すと発音が崩れる可能性が高いからです。
発音が異なると通じない具体例
例えば、mǎ(马)を mā(妈)と発音してしまうと、その結果、全く異なる意味として相手に伝わります。前者は馬、後者は母という意味です。
正確さを重視した練習方法
発音練習の目的は「正確さ」の向上です。速く話すことは会話練習の一環として大切ですが、練習の段階では丁寧さを重視しましょう。
- 初めはピンインと声調を見ながら、ゆっくりと忠実に発音する練習を繰り返します。
- 正確さが安定してきたら、徐々にスピードを上げて発音してください。
- 自信がつきましたら、次のステップとして、フレーズの漢字だけ見て、ピンインと声調を見ずに発音します。
練習する際の注意点
- 会話の流れや自然なテンポを意識することは大切ですが、発音練習では無理にスピードを上げる必要はありません。焦って発音する必要もありません。
- 相手の話すスピードに影響され、引っ張られて自然と速くこともありますが、中国人ネイティブのスピードをそのまま真似しようとせず、自分に合ったペース、無理のないスピードで練習を進めましょう。
- 正確な発音を身に着けてから発音のスピードアップを図ることをお勧めします。
非ネイティブであることは仕方ない
発音のスピードを上げるのは、発音が身についた後で構いません。「正しい発音」が「伝わる会話」の基礎なのです。
私たちは外国人で、ネイティブではありません。まれに、中国人並みに発音がスピーディーで自然な方がいらっしゃるかもしれませんが、越えられない壁があります。ネイティブを目指す必要はありません。
一所懸命話そうとする姿勢を持つことの方が、相手とハートtoハートの交流に近づくのではないでしょうか。
”読み上げ”ではなく”話す”意識を持つ
中国語の発音練習においては、単に文章(教科書)を読み上げるのではなく、会話をするつもりで発音することを意識することが上達するための近道です。
無意識だと思われますが、どうしても”話す”意識が薄くなってしまいがちです。仕方ない部分もあるのですが、中国語講師としても気になるので、意識的に指導しています。
具体的な改善方法
- 誰かに話しかける意識を持って発音することで、抑揚やリズムが自然になり、実際の会話に近づきます。
- 抑揚を意識し、相手にとって聞き取りやすい音声を心がけることが大切です。
発音学習の意識明確化
- 作文の課題に答える際には、内容を「誰に話しているのか」を明確に設定します。
- 会話調の文章を作ることで、読み上げではなく自然な発音が身につきやすくなります。
練習時に避けたいこと
- 単調な棒読みになってしまうこと。作文した文章を読み上げる感じで読むのはよくありません。
- 抑揚がない発音は自然さに欠けて聞き取りづらく、相手に話している内容が伝わりにくくなります。
日本人講師の願い
作文課題では、内容が必ずしも対話的な内容ではないかもしれませんが、基本的な考え方として、会話調で作成して、発音練習する際は、相手に通じる発音を心がけることが大切です。
教科書を棒読みするような発音ではなく、実際のコミュニケーションで使える発音を目指してほしいと考えています。
区切り方と抑揚に注意する
中国語では、文と文の間のあけ方や抑揚が重要な役割を果たします。区切るということは、息継ぎやポーズをとることを指します。
特に、日本人学習者の場合、これらを意識しないとフレーズ全体の発音が単調になりやすくなりますので、講師として発音チェックの際、特に注視している部分です。
ネイティブではない日本人が中国語を発音する際は、区切り方や抑揚を意識する必要があると考えています。
日本人講師からのアドバイス
文章の区切る場所ですが、必ずここでなければならない。ということはありません。固定的ではないものの、自然な区切り方、区切るべき適切な場所が存在します。
場合によっては複数の選択肢がありますが、経験を積むことで自然と分かってくるものです。
ただ単に読み上げるような発音をすると、区切りが不自然になりがちです。発音する前に、どこで区切るのが良いかを考えることで、より会話的な発音になると思います。
区切る場所を探す方法
中国語には独特のリズムがあります。それを表現するために抑揚をマスターする必要があります。具体的にどのようにして区切る場所を探すのかを示します。
- 文章を発音する前に、「どこでポーズを取るべきか」、文章を区切るポイント(場所)を自分なりに考えましょう。作文する際に、読点を入れるのはひとつの方法です。
- どこで息継ぎをするのがよいか、自然かを意識してください。区切る場所は、フレーズによって異なりますが、繰り返し考えると、ある程度推測できるようになります。
例文による区切り方解説
你叫什么名字?(Nǐ jiào shénme míngzi?)お名前は?
你, 叫, 什么名字?というように、単語や品詞の区切り、別の言い方をすると、主語と動詞、動詞と目的語の間をそれぞれ区切りながら練習すると自然な会話調になります。
元々短いフレーズなので、慣れてきましたら、你と叫の後の区切りをなしにして練習してください。
抑揚の重要性
- 区切り方が不適切で、抑揚が正しくついていないと、棒読みとなってしまい、聞き手にとって意味が伝わりにくくなります。
- 日本人は、中国語の発音における抑揚をネイティブ以上に意識することで、より聞き取りやすい発音に近づくことができます。
- 文法や意味を考えて、自然に区切ることができるように、強調したい(すべき)言葉はどこかを考えてください。
- 日本語よりも抑揚がはっきりしている中国語に慣れるために、繰り返し練習を行って下さい。
発音の正確さをセルフで確認する方法
初級者の段階では、ひとりで発音を練習するときに、自身の発音のどこが間違っているか、判断するのは正直難しい部分があります。
現実的に、発音を自己チェックするのは難しいため、講師として、便利なオンラインツールを活用して、正しい発音の精度を高める努力を続けることをお勧めしています。
活用するWEBツール
こちらで紹介するツールは何れも無料で使用することができます。無料のツールでも成果を出すことが可能です。
- Google翻訳
こちらは翻訳機能を使うのでははなく、「ネイティブの音声を確認するツール」として使うのがポイントです。手順は次のとおりです。- 作文した中国語フレーズをコピーしてGoogle翻訳の入力欄に貼り付けます。
- そうすると、ピンインと声調が自動的に表示されますのでそれを確認します。
- 続いて、スピーカーアイコンをクリックして、機械音声を聞くことができます。
発音のスピードは調整することができます。聞いてからすぐに発声するとより効果的です。これをシャドーイングといいます。中国語では”跟着说”です。
- オンライン中国語辞書サイト
個別の発音が正しいかどうか確認したり、例文を聞いて単語の発音に慣れることができます。
ツール活用時の講師アドバイス
聞く限り、機械音声は若干の違和感はありますが、ネイティブの発音に大きな違いは感じられません。
- 中国語学習初級者が、声調や発音の参考とする手段として使う目的であれば十分な精度があると考えます。
- ネイティブ音声に合わせて発音を真似をする練習となりますが、前述の抑揚や区切りまではうまくく反映できていない場合があります。
- 日本人講師による発音指導と併用することで、発音を矯正するする手段が増えて、より正確な練習が可能となるので上達する一助となるでしょう。
完ぺきではないですが、実用的な範囲で活用できるツールと言うことができます。
初心者にお勧めの発音練習方法
発音が正しいかどうかを自分で見分けることは、率直に言えば、初心者にとって難しいです。そのため、次の方法を意識して取り入れると良いでしょう。ツールは前項で取り上げたGoogle翻訳をご活用ください。
具体的な練習手順
- 基礎確認
ピンインと声調を一つひとつ確認しながら練習します。必要に応じてオンライン辞書を引いてください。 - 単語の発音
単語単位で練習したり、息継ぎするまでのフレーズを繰り返し発音し、より短い単位で発音の正確さを追求します。 - 文章全体の発音
慣れてきましたら、作文した文章全体で、抑揚や区切りを意識した発音練習を行ってください。 - 録音
自己チェックのために、練習後に録音してください。 - 振り返り
録音した自分の声を聞き直し、講師から指摘された事項やGoogle翻訳のネイティブ音声を聞いて、間違いを修正します。
発音練習を通じて自身の成長を知る
初級者になれば、日本人講師が指摘した発音の間違いに気づくことが可能です。知ることができれば意識的に修正することができます。
指摘した意味が分からない場合は、自分で誤りを理解できるまで、講師の指導を受けることに集中して、どこが間違っているかを知ることができるようにトレーニングが必要です。
まとめ ~効果的な発音学習のために~
最後に、日本人中国語学習者が中国語の発音学習で意識すべき重要なポイントを整理しました。
基本的な心構え
初級者が中国語の発音を習得するためには、正確さを重視し、スピードよりも丁寧さを優先することが重要です。スピードを意識するよりも、まずはピンインや声調の正確さを優先し、自然なリズムを身につけることに注意してください。
実践的な練習方法
発音を練習する際には、次のことを常に意識してください。
- ピンイン(拼音)と声調の正確さを重視する
- 無理のない速度での発声する
- ネイティブの発音と日本人講師の指導を参考にする
- 適切な区切りと抑揚を考える
- 会話らしい発音に心がける
1~3は初級段階、4~5は中級段階にあたります。上から順番にひとつずつマスターしてください。
発音学習の精度を高めるための方策
前項の練習方法を実践しつつ、Google翻訳といったWEBツールを上手に活用し、ピンインや声調を確認して中国語の発音における自己学習の効果を高めましょう。
自分の発音を録音して、Google翻訳の音声や講師の発音と聞き比べることも客観的なチェックが可能です。
独学をしつつ、プラスアルファで講師からのアドバイスをしっかり聞いて発音練習を続けることが望ましいでしょう。
質問やお便りは大歓迎!
この記事についてぜひご意見をお聞かせください。中国語の発音に関するお悩みなどありましたら、最下部のコメント欄やメールでいただければお答えいたします。遠慮なくご連絡ください。
おわりに ~日本人講師からメッセージ~
発音は中国語学習の基礎であり、会話力を伸ばすキーとなる部分で、一朝一夕にはマスターできません。正確な発音をマスターするための練習方法の精度を高めて、継続的な練習を続けることが大切です。
発音を上達させるには、”多听多说”(たくさん聞いて、たくさん話す。)が基本です。耳と口を使って、ネイティブに近い自然な発音に近づけます。
発音を身に着けるまでには時間がかかりますので結構な根気がいりますが、一歩一歩、着実に練習を積み重ねることで上達します。
入門から初級段階では、上達するために、独学だけに頼らず、講師の発音指導を受けることを強くお勧めします。
通じる中国語を目指して、焦らずに自分のペースで、楽しみながら学習を続けてください。そういった皆さんのお役に立つことができれば、大きな励みとなりますし、日本人中国語講師として大変うれしく思います。
作者プロフィール
- 中国旅行歴30年の旅のレジェンド。旅先では中国語を駆使して、中国人との交流を楽しんでいる。簡単な中国語を使って旅を楽しくするための中国語を専門として、ボランティアで中国語講師をして初めての方から初級者を対象に中国語学習を実践している。
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