中国国内線モバイルバッテリー厳禁 持込トラブル回避策 [7/27]

中国国内線の飛行機に搭乗する方は要注意! ”3C認証” 表示がないモバイルバッテリーの中国国内線の機内持ち込み禁止が実施中。その具体的な対策を徹底解説しています。

搭乗手続後、安全検査(セキュリティチェック)に未認証のモバイルバッテリーを持ち込みますと手続きをしない限りは回収となり、実質的に没収されて戻ってきません。

3C認証がないモバイルバッテリーは中国国内線の機内持ち込みはできません

報道だけでは得られない機内持ち込み禁止に関する情報の ”続き”、具体的な対策 ”をどうすればよいか?” に重点を置いて深掘りしていきます。

【 最終更新日:2025年7月27日 】

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記事執筆者の紹介

”中国旅行ドットコム” では、旅行経験豊富な筆者 "旅人@中国旅行一筋30年" が知見に基づいた独自の視点に加えて、中国語での情報収集力を駆使して、中国旅行や業務渡航など短期滞在に役立つ情報を発信しています。

急な発表でしたので、先に速報としてアップして、写真を織り交ぜつつ、中国との付き合いが長い筆者による対策の提案やその背景の解説を加えた、実際に役立つ構成にまとめました。

公式発表の一番重要な部分って何?

この措置は中国政府部門である中国民用航空局(民航局)が急きょ正式に打ち出した施策で、2025年6月26日に公式発表があり、2日後の6月28日に施行されました。

赤色下線部分が一番重要で、その日本語訳は次のとおりです。

「航空機の運行上の安全を保障するため、中国民航局は6月28日から旅客が3C表示のない、又は、3C表示が不明瞭なモバイルバッテリーの国内線機内への持ち込みを禁じる。
(翻訳:旅人@中国旅行一筋30年)

”3C”という固有名詞が登場しましたがは別項で解説します。

キーワードは、”3C标识 ”、”3C标识不清晰” の2点です。标识は標識にあたる中国語です。”不清晰”ですが、はっきり表示されていない、不明瞭という意味です。

Youtube動画で解説や対応策を配信中

緊急発表を受けて、急きょ解説動画を作成して持込禁止措置実施開始当日の6月28日中に公開しました。興味ある方はぜひご覧ください。

動画やブログへの筆者(旅人@中国旅行一筋30年)へのコメントや質問、チャンネル登録をお待ちしております!

民用航空局「公式発表」背景解説

公式発表の中国語全文がこちらの画面となります。これを読み解きますと、発表したのは実施2日前の6月26日(水)13:00過ぎです。

こうなった背景ですが、今年に入ってから中国国内でモバイルバッテリーが機内で発火するといった事故が多発していることや製造メーカーによるリコールが頻繁に起こっていることがあります。

日本でも知られているメーカーAnker(アンカー)をはじめとする中国の大手モバイルバッテリー製造メーカーによるリコール(回収)が相次いでいますが、大手メーカーでも安心できないことを意味します。

製品自体の品質について、日本では問題になることは少ないのが現状ですが、中国では品質問題は日常的に取り上げられる関心事項です。モバイルバッテリーに限った話ではありませんが、日本人が思っている以上に不合格品が出回っているのです。

当局としては、偶発的な発火、爆発事故が飛行機の機内で起きると大変な事故に繋がりかねないため、安全対策上必要と判断されたと分析しています。

国際線は規制適用外

緊急発表の内容はあくまでも中国国内線に限定された規制で、中国と海外の都市を結ぶ国際線では適用されません。

香港、台湾、マカオを結ぶ路線も準国際線扱いなので、同様に適用外です。

日本と中国の都市との単純往復、韓国など第3国経由の中国渡航であれば、モバイルバッテリー持ち込みは可能で、旅行や出張には影響しませんのでご安心ください。

日本から3C認証されていないモバイルバッテリーを中国へ持ち込むことは物理的に可能です。

モバイルバッテリー以外の機器は対象外

では、スマートフォンやワイヤレスイヤホンなど、バッテリーが内蔵されている他の周辺機器は持ち込み規制が適用されるのでしょうか?

今回の規制対象はあくまでも ”充电宝”(モバイルバッテリー)と中国語で明記されており、他の機器は適用されません。

"3C認証"って何?

この”3C認証”ですが、初めて聞く言葉ではないでしょうか?それを解く鍵ですが、日本のウィキペディアに相当する "百度"(Baidu)に説明がありました。

3CはCCCで、”中国強制認証”、英文で”China Compulsory Certification”、略して”3C”ということです。

中国の ”3C”(CCC)マーク

中国ではこのような認証を管理する部門(国家認証認可監督管理委員会)があります。

これは「強制性製品認証管理規定」に基づき設定された制度で、2023年8月1日からモバイルバッテリーが3C認証の対象となりました。

もっと詳しい説明をお読みになりたい場合は、JETROサイトの貿易・投資相談Q&A 中国の強制製品認証制度について が詳しいです。

飛行機マークに注意

”可携带登机”(機内へ携帯可能)という中国語の文字と飛行機のマークが現地で販売されているモバイルバッテリーの箱に散見します。2025年7月下旬に北京へ行かれた読者の方からの情報から判明しました。

いったいどんなマークなの?

読者から提供いただいた写真で、少しぶれていていますが、左側にテキストが、右端には飛行機のマークがあるのが特徴です。

商品の側面や表面、裏面といったパッケージの箱のどこかにある場合が多いです。

このマークないと持込できないのか?

飛行機マークがないと機内持ち込み不可なのか?決してそうではありません。こちらは非公式、非公認のマークであって、メーカーが自主的に用意したものらしいです。

根拠となるぺ―ジを探しましたが、Yahoo! 知恵袋に相当する「百度知度」というサービスで解説されていたページによれば、中国民航当局(政府航空部門)や公的機関が出しているマークではなく、モバイルバッテリー製造メーカーが自主的に用意したものです。これを唯一の判断基準にすることはできないとのことです。

百度知度による飛行機マークの解説ページ(2025年7月)

飛行機マークの表示があったとしても、見分け方としては、これまでどおり、絶対的な指標としては使わないようにしてください。あくまでもCCCの3C表示の有無を見てください。

3C認証がないものを持ち込んだ場合どうなる?

どの空港も共通ですが、中国国内線はチェックイン後にセキュリティチェック(安全検査)があります。モバイルバッテリーは確実に見つかります。

空港での安全検査の流れ

中国国内線の搭乗手続が終わると、搭乗者しか入れない制限エリアへの入口があります。それが過ぎたらセキュリティチェック(安全検査)エリアがあるのが通常です。

検査ブース入口

バックからモバイルバッテリーをすぐに出せるようにしてください。

手荷物検査

最初に、飛行機の機内へ持ち込む手荷物をベルトコンベアにひとつずつ流します。小物類はプラスチックのケース(箱)があるので、そこに入れてからベルトコンベアに流します。

他の係官が禁止物品が入っていないかどうかモニターしています。もし、モバイルバッテリーがあれば、その画面ですぐに発見されます。

再検査

チェック後、再検査が必要な場合は、写真をのように搭乗客の荷物チェックをすることになります。

ベルトコンベアを過ぎたところで、女性係官がお待ちかね。バックを開けるように指示されるといった流れになります。

セキュリティチェックの様子(出典:日照空港)

出典:山东省机场管理集团日照机场:攻克安检难点 强化安全屏障

毎日の話なので、係官がバックに入っているモバイルバッテリーを見逃すことは決してないとお考え下さい。

中国人も容赦なくモババを回収される

2000年代から現場にいる係官から「モバイルバッテリーがあるか。」と毎度のように聞かれるのは日常光景でしたが、今回の規制により一段と検査が厳しくなったと言えます。

既に実施された中国でも国内線を利用する中国人の皆さんが混乱している様子が分かる動画がありました。

快看看自己的充电宝 28日起 没有3C标识过不了机场安检!(腾讯视频)

上のリンクですが、2025年6月26日にアップされた「新京報」という新聞メディアが制作した関連動画です。

たった10秒ですが悲痛な音楽が流れていて、臨場感があふれています。ただ、映像は資料画面とありましたので6月28日に撮影されたものではありませんが、雰囲気が分かります。

なぜ回収されるのか?ですが、古いモバイルバッテリーは3C認証を受けていないため、かなり多数のモバイルバッテリーが規制対象となるからです。

これだけのモバイルバッテリーが回収されている様子があるのですが、基準に満たないものを容赦なく回収されることを発表当日にメディアが示していることが、中国国内でも広く周知が必要であることが垣間見ることができます。

現場での限られた選択肢

3C認証がないモバイルバッテリーを空港まで持ってきた場合に、安全検査の現場で旅行者が実際に対応可能な選択肢は次のふたつしかありません。

  • 放棄する。(実質的には没収。)
  • 一時保管手続を行う。

ペットボトルの水や容器類と同様に求められるはずです。

前者ですが、放棄すれば回収となりますので、戻ってきません。せっかく購入したのに無駄になってしまいます。

後者は次項で解説します。

この措置のために各空港での人員を増強することが民航局の緊急通知にも記されています。

空港の一時預りサービスとは?

民航局の通知でモバイルバッテリーを空港で一時預かりができると明記されています。具体的には下線部分です。

要合理设置旅客对充电宝的自弃、暂存区域,明确暂存手续和流程,为旅客自弃、暂存提供便利,提升旅客对政策的理解度和配合度。

ポイントをまとめると次の2つに収れんされます。

  • モバイルバッテリーを一時保管するエリアの設置する
  • 保管手続やその流れを明確にする

では、実際の運用をどうしているのかの鍵は、中国語情報から得ることができます。主要空港は既にサービスを始めています。

  • 北京大興空港 安全検査前に自宅への返送を勧める
  • 上海浦東空港 T1、T2で預かり可。料金無料、期限は7日間
  • 広州白雲空港 一時預かり所を設置
  • 深川宝安空港 7日保存サービスを実施
  • 長沙黄花空港 スタッフの増員や残業で預かり対応

実際のところ、同じ空港に1週間以内に戻ってくる予定がある場合は一時預かりサービスを利用することは可能ですが、そうでなければ現実的ではありません。

モバイルバッテリーの中国語発音は?

セキュリティチェックで係官が中国語でモバイルバッテリーを連呼しています。

「モバイルバッテリーは中国語で何ていうの?」ということですが、日本語訳は、”充电宝”(chōngdiànbǎo)といいます。日本語的に発音すると ”チョォーンディエンバァオ” になります。

実際、どういった中国語の発音なのかはこちらを聞いて下さい。2回繰り返しています。

モバイルバッテリー裏面を一度ご確認を!

実際に私、旅人@中国旅行一筋30年が持っている2種類のモバイルバッテリーを見ましたが、CCCマークはありませんでした。自分自身も対策が迫られています。

筆者が保有するモバイルバッテリー

認証マークの表示

本体の裏面にモバイルバッテリーの型番や使用、認証マークなどが表示されています。

下線部分が各種認証マークですが、Made in China(中国製)であるものの、緑色の表示のとおり、3C(CCC)表示はありませんでした。

こちらは、3Cマークの認証表示があるモバイルバッテリーです。一番右端にあります。なかなかこのマーク付きの製品を探すのは難しいです。

この記事をお読みになられましたらすぐにモバイルバッテリーの裏面の表示をご確認ください。

セキュリティの厳しさは空港が断トツ!

中国での公共交通機関におけるセキュリティレベルについて解説しますと、次の順に厳しさのレベルに違いがあります。

中国国内でセキュリティの厳しい順番を並べますと次のとおりです。

  1. 空港
  2. 鉄道
  3. 地下鉄
  4. 長距離バス
  5. 路線バス

順番ではなく、程度を重点に置いた書き方ですとこちらです。

「空港>>鉄道≒地下鉄>>バスターミナル>>>路線バス」

空港でのセキュリティは日本よりも更に厳しものとお考え下さい。以前、靴を脱いで検査するといったことが話題になったことがあるくらいです。

中国渡航前に特に注意すべきこと

「3C認証のモバイルバッテリーがない」と慌てず、この記事をよく読んで落ち着いて行動すれば、自分に合った対策を見出すことができますのでご安心ください。

3C認証に関する最新情報の見極め

緊急発表であったため、周知されるのが後追いとなっています。日本ではこの事実をまだ知らない事業者さん、個人さんが多数いらっしゃるかもしれません。

次の触れ込みで情報発信しているWEBサイトやYoutube動画、SNS、ショップサイトなど、最新情報に更新されていない、反映されていないケースが続出しております。

情報が古いと考えられるケース例

  • 中国へ渡航する際の注意事項を変更点なしに紹介
  • モバイルバッテリーを”機内持ち込み可能”と販売中
  • 2025年6月28日の中国当局発表に関して一言も触れていない

情報を確認する際は、以上の点を忘れずに、見た内容を見極める眼をお持ちいただくとよろしいかと思います。

トラブル回避のための”13”の対策

日本人が持っているのは3C認証のあるモバイルバッテリーではありません。このままでは、中国国内線でのモバイルバッテリーの持ち込みが実質不可能となります。

では、日本に住んでいて、旅行や業務でこれから中国へ渡航する人は、いったいどうすればよいでしょうか?

機内持ち込み禁止の対策の具体的対策をこれから解説していきます。考えられる選択肢を多数挙げました。旅経験豊富な旅人だからこそ打ち出せる提案も含まれています。

”旅前” や ”旅中” それぞれの場面でできることが色々あります。ひとつだけでなく、組合わせて複数選択することが可能です。

① スマホの運用方法を再考する

今のところ、内蔵バッテリーがあるスマートフォン本体までは持ち込み制限対象としていません。モバイルバッテリーの持込や取り止めますが、スマートフォンの使い方を改めて検討します。

スマホの使い方を考える

外出先でずっと動画を見るような使い方でなければ、電力消費を少なくするモードに変更したり、使い方を工夫してハードな通信データの消費が少なければ、スマホの電池は半日~1日維持できる可能性があります。

中国滞在1日のスケジュール

朝はスマホのバッテリー100%にしてホテルを出発します。

外出先では電力消費に気を付けつつ、昼間どこかで1回充電してください。

宿泊先のホテルへ戻ったら、すぐに充電すれば大丈夫です。

こういったことをするだけ、スマホだけで対応するというのはコストをかけずに運用で対応できる極めて有効な手段です。

② 日本で3C認証モバイルバッテリー購入

今後、3C認証済のモバイルバッテリーが日本の通販サイトや店頭で流通する可能性はありますが、ニッチなニーズに対してどこまで対応できるか問題は山積しています。

  • 日本のPSEマークが載っているモバイルバッテリーは多い
  • 中国の3C認証済の表示までは及んでいない
  • 裏面を画像で掲載している商品自体、決して多くない

店舗で購入する場合

商品実品を確認できるケースがあったり、店員に確認すると情報を持っている場合があります。詳しくは別の記事「中国【3C認証モバイルバッテリー】実店舗での選び方」で詳しくレポートしました。具体的な3C 認証ありのモバイルバッテリー機種情報も掲載しています。

実店舗の現品を見て3Cマークの有無を確認

実施直後の通販サイト

2025年6月29日に3C認証ありという商品紹介をしているところをWEB検索して探しましたが見当たりませんでした。

日本の大手通販サイト、Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングを確認しました。「モバイルバッテリー 3c 認証」で商品検索してみましたが、なかなか3C認証済、3Cマークありとなっている商品を見つけることができません。

Yahoo!ショッピングで検索した結果

中国系通販サイトのTemu、SHEIN、AliExpressといったサイトでも見てみました。こちらも駄目でした。

SHEINで検索した結果

通販サイトの問題点

商品の見せ方としてモバイルバッテリーの裏側を見せるというのは手法的にあまり重視されていないので、商品一覧画面で3C認証マークがあるものかどうか区別ができません。

ひとつひとつクリックが必要で、写真があるかどうかを見なければならないため、探すのにすごく苦労します。

あくまで、駄目なのは今であって、時間が経過するなどすれば、3C認証済のモバイルバッテリーの商品がそう遠くないうちに日本でも買える日がくるのではないかと思います。

ついに発見!3C認証モバイルバッテリー

3C認証のモバイルバッテリーがとうとう登場しました。写真にあるのはAmazonで販売されているものです。

日本で入手ができないと思いきや、商売上手な業者が表記を改めた後なのかもしれません。

商品はあくまで一例で、これら商品を個別に勧めている訳ではありませんので、予めご了承ください

楽天市場

Anker公式ストアで見つけた3Cマークがある商品を見つけました。日本では比較的メジャーなメーカーです。

楽天市場で売っている3C認証モバイルバッテリー例(2025年7月21日)
Amazon

一般には知られていないメーカーのモババです。

HIDISC公式ストア

近日発売という表現で掲載されていました。他の通販サイトを見ましたが、同じ型番の製品でも3C表示がなかったので、注意が必要です。

3Cバッテリー近日発売告知(2025年7月21日)

商品タイトル、説明や写真を確認

返品リスクに備えるため、可能な限り、通販サイトで商品を選ぶ際、商品写真に3C マークがあるもの、もしくは、商品タイトルに”3C”が含まれているものを購入するとよいでしょう。

到着後の実物をよく見ること

入荷の時期、ロットによっては、同じモバイルバッテリーでも3C認証マークがないものがあり得ます。購入したものをすぐに確認してください。

PSE認証表示もチェック

日本も認証制度がありまして、2019年2月以降に販売しているモバイルバッテリーにはPSEマークの表示があります。

PSEマーク

購入場所に関わらず、日本でモバイルバッテリーを使う場合はPSE表示があるかどうかをご確認ください。

③ 急速充電器を日本から持参する

日本のショップでよく売られている「30分充電して40%回復する」といった仕様の急速充電器を持参することはお勧めです。アイテムとして”急速”が必須です。

バッテリーではないため、持込制限の規制対象ではありませんし、宿泊先のホテルでの充電にも使えますので持って行って損はありません。

昼間、食事や休憩時など、飲食店やファストフード店、有名なチェーン店などに入ることがあると思います。

2023年年末 雲南省昆明市内の喫茶店

飲食店に入り10分ですぐに店を出るということはありません。注文するものを選び、来るのを待って、食べて出るまで、大抵は30分くらい滞在するのではないでしょうか?そのくらいの時間があれば急速充電にはちょうどよいインターバルです。

2023年9月 江西省南昌市内の飲食店で充電

写真のようにカウンターにコンセントが設置されている飲食店が結構ありますので、飲食店に入ったら着席前によく観察してみてください。

旅人目線で、席になくても充電する方法はありますがそれはまたの機会に。

すきま時間を活用して充電すれば、バッテリーが切れてなくなるといったことを避けることができます。ぜひお試しを!

④ 中国でモバイルバッテリーを購入

2023年8月から中国国内で販売されているモバイルバッテリーは3C認証を経たものが出回りはじめました。

2024年8月以降、3C認証がないモバイルバッテリーの販売はできないルールとなっているため、日本からはモバイルバッテリーを持参せずに、現地に着いたら、速やかに購入するという手があります。これは現実的なやり方です。

そういった製品をお持ちであれば、国内線の飛行機に乗って移動することは問題ありません。

中国で流通している3C認証済のモバイルバッテリーを通販で購入することで解消はされますが、そう簡単ではありません。

ただ、中国以外では使えるかどうかは、日本や各国の認証制度に合格していなければならないため、何とも言えません。

日本と同様に、携帯電話のキャリアショップや小米之家といったメーカーのショールーム的なお店、SIMカードを売っている店など、様々な店舗でモバイルバッテリーが売っています。

ちなみに、空港ですがショップ自体が少ないこと、人が多くて売り切れの可能性があるなど、入手できる可能性は必ずも高くはありません。

確認時のチェック事項

気になることとして、「品質のばらつき」があるので注意が必要です。ほこりがかぶっているような製品は入荷してから長く売れていない証拠なので、箱の状態を確認することも有効です。

⑤ スマホの2台持ち

もし、家にスマートフォンが余っていたら、モバイルバッテリー代わりに中国へ2台持っていくのはいかがでしょうか?

例えば、写真をよく撮る方は、一方をカメラ端末にして、もう一方は別の用途利用に分けるといった使い方があるでしょう。

スマートフォンは国内線持ち込み禁止対象外です。環境をつくるのは大変ですが、使い方を工夫すれば、1日過ごすことも不可能ではありません。

⑥ 高速鉄道や夜行列車で移動する

これまでとは全く別の切り口、旅人が「旅前」にどうすればよいか考えました。移動手段を変更するアイデアがあります。

具体的に例を出して説明します。北京と上海へ旅行に行く場合、当初、都市間移動は国内線利用を想定されていたところを、その移動手段を高速鉄道に変更する。

飛行機の移動を止め、高速鉄道での移動に日程を変更する

といったことをされますと、モバイルバッテリー問題を回避することができます。

高速鉄道は都市間移動を短縮できる交通手段です。空港までの移動時間や待ち時間を考慮すると、行先によっては十分競争力のある目的地は出てくるかともいます。

⑦ 訪問都市を再考する

国内線の飛行機に搭乗しなければ日本で買ったモバイルバッテリーを持ち込めない訳ではありません。

ですので、逆転の発想、「長距離の移動をしなければよい。」という発想をしてみてはいかがでしょうか?

具体的な方策ですが、「日中国際線単純往復と入国都市から近い都市に訪問先を絞る」ことです。

例としてですが、もともと北京と上海を旅行する予定だったのを、北京とその周辺、上海と蘇州や南京、無錫など近隣都市の組み合わせで旅行するといったことを検討するのは一考です。

⑧ 日程を練り直す

「しばらく中国への渡航を見合わせる」(リスケジュール)ということもひとつの選択肢ではありますが、極端な選択肢と言えます。

ただ、そういった煩雑さが中国へ足を運びづらくなって、次の渡航が遠くなってしまいそうです。

こういったことの積み重ねにより、旅行者が増えない遠因になることは十分にあり得ます。

⑨ 機内でスマホを直接充電する

中国国内線の最近導入された飛行機にはUSBポートやコンセントが席の下や上部にあるケースがあります。シートの周りににあるかどうか確認するとよいでしょう。

国内線飛行機座席下の緑色○はUSBポート

上の写真は2024年1月に昆明から上海の国内線に乗った時の座席下にあるUSBポートです。3席のうち通路側と中間の2席の下だけで、窓際はありません。

別の飛行機でUSBポート(Type-A)

この写真は座席と座席の間にあるパターンです。機体や航空会社により仕様が異なります。

急速充電器やUSBケーブルを持参すれば機内で充電が可能です。託送荷物に預けたりするなど、機内への持参を忘れないよう注意が必要です。

一部航空券予約サイトですが、搭乗便の情報の中にUSBポートや電源の有無が記載されているケースを見たことがありますので、格安航空券を購入する際に使えます。

⑩ レンタルモバイルバッテリーを使う

空港や町の各所にモバイルバッテリーのレンタルサービスが点在しています。貸し出しするサービスなので返す必要があります。

日本でもモバイルバッテリーのシェアサービスがありますが、中国では日本よりも普及度合いは高いです。

こちらは北京大興国際空港到着ロビーにあったレンタルサービスの機器です。2023年12月に撮影したものです。

こちらは、中国人の投稿者による情報ですが、昆明空港の到着ロビー4ヶ所にモバイルバッテリーが借りれる場所について案内しています。2025年2月時点の情報なので比較的新しいものです。

昆明空港のモバイルバッテリーレンタルサービス

レンタルといいましても格安で貸し出しているとは限りません。借りる際は、ハードルがそこそこありまして、返却する場所や代金、支払い方法を考える必要がありますので注意が必要です。

⑪ 空港で充電する

充電器やUSBケーブルが必要ですが、民用航空局の緊急通知には「空港ターミナルビル内に充電設備を増設」(翻訳:旅人@中国旅行一筋30年)が明記されています。

民用航空局の通知抜粋(充電設備の充実)

出発階だけでなく、セキュリティチェックを過ぎた待合いスペースにも充電できるコンセントやUSBポートがある場合がありますので、預け荷物にせずに、手持ちにしましょう。

上海浦東空港の充電設備

USBポートはType-Aがほとんどです。Type-Cであるケースはかなり少ないです。ほとんど見かけたことがありません。ですので、コードはType-AとType-Cのタイプが必要です。

北京大興国際空港到着ロビーで深夜撮影した充電スポットの写真ですが、コンセントだけでなくUSBポートもあります。昼間でしたら何人かのひとがシェアして充電している光景が目に浮かびます。

⑫ 空港で3C非認証のモババを預ける

制度として空港で預けることが可能であるとなっています。緑色の下線部分がその部分です。

民用航空局の通知抜粋(一時保管)

中国語、最低でも英語が話せないと手続きが面倒なこと、手間がかかることが予想されますが、同じ空港に戻ってくるのであれば、一時預りをするということも選択肢としてはあり得ます。

預かり期間は?

現地の情報を読み解く限りは、北京首都、北京大興、上海浦東、上海虹橋、広州、深圳、西安など、各空港では、最大7日間の無料預かり期間を設けている空港が多いです。

帰りも預けた空港を経由するのであれば有効な方策です。

現地在住者であればOKなのですが、旅行者としては、空港から先、預けるモバイルバッテリーが使えないので、持っていく意味があるのかどうかを考えなければなりません。

事例解説(杭州粛山国際空港)

具体的な例示をします。上海の南隣の浙江省杭州空港では、臨時でモバイルバッテリーの一時預かり場を設けられました。


「民航資源網」記事より①

手続きをしたモバイルバッテリーはビニール袋に預り票と一緒に入れられ大きなプラスチックの箱に保管されます。


「民航資源網」記事より②

日本人も含めて外国人も利用できるサービスで、同じ空港に戻ってくる場合は、この方法が使えます。

⑬ 新しいスマートフォンを購入する

手持ちのスマホが古くなって、機種変更や端末購入をお考えでしたら、これを機に、電池持ちがよい機種を検討されることをお勧めします。

充電する場合のコミニュケーション方法

現地では外出先での充電は、コンセントがある飲食店やファストフード店などに行けばよいですが、中国語が分かればハードルは高くありません。

私自身の経験ですが、電池が少なくなったら中国語で充電の許可を得て、よく充電しています。

言葉が分からなくても、ジェスチャーや文字を書いたメモ、アプリを見せるなど、やり方はいろいろあります。

偽3Cシールが市場に出回る

違法だと思われることがまことしやかに行われています。「上に政策あれば下に対策あり」を実践しているのでしょうか。

こっそりとになるのでしょうが、透明の3C表示のシールがWEBで販売されています。

斉魯晩報 微信公衆号より 「偽3Cマーク」シール

どちらかといいますと、売り手であるショップが販売するときに貼るといったことを警戒しているようです。

いわば、偽物のCCCマーク。ばれたら大変なことになりますので、決して真似をしないようにしてください。

鉄道は3C規制あるのか?

7月6日(日)現在、中国でのメディア情報を調べる限り、高速鉄道も含む、鉄道移動においては、3C認証でないと安全検査が通らないといった情報はありません。

12306カスタマーサービスからの情報では「モバイルバッテリーの表示がはっきりしていて、100Wh(約27,000mAh)を超過しなければ列車内への持ち込みは問題ない。」という趣旨の回答を得た。といったメディア報道が多数ありました。

今の所、鉄道当局がルールを改定したという事実は確認できず、「3C認証の有無の検査を実施しない」運用だと考えます。

具体的には、2022年7月から適用されている《铁路旅客禁止、限制携带和托运物品目录》(鉄道旅客の持込禁止物品、持込制限物品及び託送物品リスト)が根拠規定となります。

今後の動向に注意!

中国旅行一筋30年の経験からこの通知からその先に何が起こるか動きを想定しました。

他にも波及すると大変なことに

今は「国内線だけ」というのは不幸中の幸いなのですが、正直な話、私は国際線にも適用されたり、鉄道や地下鉄の安全検査にまで及ぶことを危惧しています。

政府が一声かければ、各都市の鉄道駅や地下鉄の駅はすぐ一斉に措置をとることになります。

実際にそうなりますと、外国人が中国国内を飛行機で移動するのに大きな障害が生じたと言っても過言ではありません。

各国政府が団結して政府当局へ申し入れ?

北京にある日本大使館をはじめとする各国の大使館などが中国政府へ「海外で認証されたものも機内への持ち込みが可能な範囲内とするよう」働きかけを行うことはひとつの打開策です。

成功したとすれば別の流れができます。ただ、3C認証と同等であることをどう認めるのかといった運用上の諸問題があり、これはそう簡単なものではないかと思います。

読者から寄せられたコメント

動画やこのWEB記事の公開に伴って、感想のコメントをYoutube動画【最新情報】モバイルバッテリーが中国国内線の機内持込が禁止!~解説と対策提案~ やDMでいただきました。

感想 その1

【読者からの書き込み】
そのうちスマホ本体にこの手法を適用したりして・・・「中国にくるなら中国の製品を買え!」かな?

【旅人@中国旅行一筋30年】
こちらこそ。緊急発表に対応した動画、至らない点があったかもしれません。モバイルバッテリーのシェアサービス(レンタル)ですが、日本でもあって、あまり普及していないように見受けられますが、中国は日本より普及しています。 実際に使うとなると、値段や支払方法、返却場所といったことを考えないといけません。

感想 その2

【読者からの書き込み】<25/06/29>
中国国内のあちこちに設置してある充電器の貸し出しの機械。利用したことは無いのですが、そういうのを利用したりとか、するとのもありですかね。ためになる情報ありがとうございます

【旅人@中国旅行一筋30年】
こちらこそ。緊急発表に対応した動画、至らない点があったかもしれません。 モバイルバッテリーのシェアサービス(レンタル)ですが、日本でもあって、あまり普及していないように見受けられますが、中国は日本より普及しています。 実際に使うとなると、値段や支払方法、返却場所といったことを考えないといけません。

読者からの質問

バッテリー持込禁止が始まってから筆者へ来た質問を紹介します。

Q. イヤホンは規制対象か?

【読者からの質問】
モバイルバッテリーだけと読み込めますが 私のイヤホンも充電器としてもできます。それも没収されるのでしょうか。ご存知でしたら教えてください。

【旅人@中国旅行一筋30年】
もしそういった解釈で運用すれば中国人も混乱します。モバイルバッテリーとバッテリーが内蔵している機器とは別物です。対象外と考えてください。

Q. モバイルバッテリーはどこで買える?

【読者からの質問】
空港で購入できたらしてみたいと思っています。現地に行って聞いた方がいいでしょうか。

【旅人@中国旅行一筋30年】
空港での物販店は差ほど多くありません。コンビニがあればのぞいてみてください。空港の案内カウンターで聞くのもよいでしょう。

質問や体験談投稿は大歓迎!

モバイルバッテリー持ち込み禁止の関係で、質問や投稿を受け付けています。入力フォームに必要事項を入力して送信してください。

質問フォーム

まとめ

驚かれた方が多いかと存じますが、急な通知は中国ではよくあることで、これ自体は珍しい事ではありません。

多くのメディアで既に報道されましたが、本記事では公式情報に焦点をあてた情報の深掘りを行ったり、旅経験30年の視点でどのように対応すればよいかの提案をしました。

今後、中国国内線に乗る予定がある人や中国へ行く予定のある人、計画しようとしている人は、どのようにしてこの問題を解決するかを考えていく必要があります。

筆者情報

旅人@中国旅行一筋30年
旅人@中国旅行一筋30年ブログサイト「中国旅行ドットコム」運営者
1991年から30年間で70回以上の中国訪問歴を有するベテラン旅行ブロガー。

中国旅行に興味がある方や個人旅行を計画している方、中国のリアルな姿を知りたい方向けのブログサイト「中国旅行ドットコム」を運営。

大都会の路地裏から田舎の町や村まで足を運ぶ、ツアーでは決して体験できない独自の旅行スタイルを持つ。

【個人旅の実績】 訪問した省・市・自治区:32(残1) 訪問地:200以上
【印象に残る旅のエピソード】 数え切れず
【撮影した写真】 45,000点以上

安宿に泊まり、長距離バスや夜行列車などのローカルな移動手段を使って、現地の人々と触れ合い、肌に感じる旅をして、リアルな中国渡航情報を発信中。

1日100元以内での滞在に挑戦するなど、旅の費用を抑える工夫が得意。独自の旅のノウハウを有し、海外モバイル経験も長く、ANA陸マイラーでもある。

旅先での中国語会話を実践して、通じる中国語を教えることにも取り組んでいる。中国語に堪能でVIP通訳に従事したことがあり、訪日視察団のアテンドをしたことも。経験を活かして、コミュニケーション促進のための中国語も含め講師として教えて6年超。

ブログをご覧になられた読者との交流も大切にしており、いただいた質問に対応したり、いただいた情報をブログや動画に反映している。

詳細は作者紹介をご参照ください。問合せはこちらまで。

中国国内線モバイルバッテリー厳禁 持込トラブル回避策 [7/27]” に対して3件のコメントがあります。

  1. 富士山 より:

    これから中国へ行きます。国内線にも乗ります。この記事を拝見して驚きました。
    モバイルバッテリーを2つ持っていく予定でしたが、急遽とりやめました。
    また、スマホも持っていく予定のスマホを変更いたしました。
    事前に飲食店等で充電できる、充電器のレンタル等の情報を得ることできました。ありがとうございました。

  2. みー より:

    大変役立つ情報発信をありがとうございます!
    実は、私は2025.6/27-30に重慶に行った際(北京トランジット)、国内線(北京-重慶)搭乗時にモバイルバッテリーを没収されてしまいました。全くのノーマークでした!しかも施行日当日!
    チェックインを済ませ、保安検査場に向かって進むと、制限エリア入口に沢山の空港職員と乗客の人だかりで、時々怒号も聞こえる大混乱!
    そこにある掲示で初めてこの件を知りました。
    皆さん、自分のモバイルバッテリーは大丈夫なのかを確認しているようで、その場で手放している人も少なく、また鼻から素通りする人もいるので、私もとりあえずそのまま進むと、更に何箇所か確認所があり、そちらもスルーすると、保安検査場直前に大きなカウンターがあり、全員「モバイルバッテリーを持っているか?」と聞かれ、持っていると見せなければいけなくなっていました。そこで初めて取り出して見せると(因みに、Anker PowerCore 10000 / 10000mAh 大容量/モバイルバッテリー/PSE技術基準適合)、「3C認証マーク」の有無をじっくりと確認して、無いとわかると「手放さないと搭乗できません!」。周りでごねて騒ぐ中国人も沢山いましたが、容赦ないです。どうやら「3C認証マーク」付きで機内持ち込みOKのモノは、その場で係員が専用の袋に入れるようですが、周りで入れてもらった人は誰もいませんでした。
    私は重慶到着後すぐに至近の家電店を探し、「3C認証付き、且つ機内持ち込み基準を満たす10,000mAh」のモノを159元で買いました。
    ところがこの家電量販店(苏宁 SuningPro)、
    日本の家電量販店とは全く違い、スマホの各ブランドコーナーがあるだけで、スマホのアクセサリーが種類毎に集められているコーナーがなかったです。
    仕方なく、寄ってきた店員さんにモバイルバッテリーを空港で没収されたので、3C認証のモノが欲しい旨を伝えたら、ショーケース下の棚から出してきました。現物は以下写真をご覧ください。空港職員も大量のモバイルバッテリーの裏の「3C認証マーク」だけを探して対処しているので、現地で調達したこの貴重なバッテリーの「3C認証マーク」が薄れてきて見えなくなったら大変だと思い、保護テープでも貼ろうかと半分本気で考えたりします。

    1. みーさん、貴重な体験談をお寄せいただき、本当にありがとうございます。
      中国国内線のモバイルバッテリー規制が始まったまさに実施初日に没収されたとのこと、さぞかし驚かれたのではないでしょうか。

      これから中国国内線を利用される方々にとって、このような生の声は大変参考になります。

      中国旅行に関するご質問や、何か新たな発見がありましたら、ぜひ教えてくださいね!

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