中国主要都市の空港泊ガイド ~現地情報と中国語SNSから寝泊まり可否を解説~

中国での空港泊は予期せぬ状況で必要になることも。公式情報だけでは見えにくい現地のリアルな状況を知るには、筆者の長年の経験に加え、中国語圏の最新情報が不可欠です。

そこで、中国主要空港における空港泊の可否や深夜の過ごし方について、筆者の知見と中国語情報源から収集した確かな情報に基づき解説します。あなたの中国での空港泊が、より安全で快適なものになるよう、ぜひ参考にしてください。

空港泊の基本的な準備や快適に過ごすコツについて詳しく知りたい場合は、別の解説記事「空港泊で快眠、一晩を快適に!〜準備とコツで安心の夜を〜」にまとめました。

航空券手配から空港泊の準備はスタート

実際のところ、交通アクセスを手配する段階から空港泊の準備は始まっています。空港で一晩を明かすか、空港周辺で1泊するかといったことは、到着時刻や乗り継ぎ便の出発時刻に寄ります。

深圳空港での乗り継ぎのケース

例えば、深圳航空の日本発ダイヤですが、成田ー深圳は午後発ですが、関西-深圳、名古屋-深圳は何れも夜発なので、到着が何れも夜遅い時間になります。

また、成田行は8時台なので、夜に深圳着の便を選べば空港泊と自然となりえます。

深圳航空は深圳が拠点の中堅航空会社なので、中国国内各都市へのアクセスは俄然、深圳からの便が充実していますので、このような深圳経由のルートが多いです。

中国国内が目的地の場合は香港経由ですと航空券代が高くなる傾向があるので、深圳経由は合理的な選択です。

北京や上海への直行便には劣りますが、このような乗り継ぎ方法もあり得ることは知っておくとよいかと思います。

香港国際空港を経由して華南地方へ

中国ビザ取得が免除となったため、往路又は復路で香港やマカオへ寄ってから目的地へ向かうといった日程にすることができます。

陸路で広東省や福建省といった華南地方へ行く場合は、高速列車などを利用すればアクセスは比較的便利です。

24時間営業の香港空港であれば、深夜から早朝にかけて、空港に滞在したり、深夜バスで移動して、国境まで移動して深圳に入り、早朝から移動を始めるというスケジュールは効率的です。

深夜早朝営業している空港ラウンジ

数は少ないのですが、深夜早朝時間帯に営業しているラウンジがあるようです。

広州白雲国際空港ラウンジ

Googleで「广州 白云机场 24小时营业 贵宾室」と検索すると、トップには「龍騰出行」というラウンジ運営会社のホームページがトップに出てきます。

クリックしますと国際線出発で24時間営業のラウンジが出てくるのですが、条件の記載はありませんでした。

検索結果2番手には、広州白雲空港T2ターミナルにある中国南方航空プレミアム会員向けの国内線ラウンジの情報が出てきました。早朝4:30からの営業とありました。

広州を経由する際には確認してみたいと思います。

空港泊できるかどうかの見分け方

深夜から早朝まで滞在できる空港には特徴があります。どういう特徴があるか、その背景を解説します。

深夜の到着便がある空港は望みが高い

中国の大きな空港は夜半に発着する国内線や出発する国際線のフライトがありまして、午前0時を過ぎた深夜時間帯でも動きがあり、ある程度の人の流れがあります。

数は限られますが、空港で1泊する、夜を明かす需要は確実にあります。中国でも明らかに朝まで居ようとする人たちを見かけます。

早朝6時台から国内線の出発便のフライトがありますし、国際線のフライトもあり、チェックイン時刻が午前6時頃から始める便もあります。

チェックインは多くは2時間前からですので、空港により運用が異なるかもしれませんが、6時台発ですと、4時台から始まることになります。国際線であれば出発3時間前の場合がありますが、朝発ですと5時台搭乗手続開始は少ないと思います。

日本の成田空港で早朝出発するLCC(格安航空会社)をイメージしてもらえれば分かりやすいかと思います。

ですので、これらの早朝便や午前便を待っているためか、そこそこの人たちが同じように空港で一晩を明かしているので、人流のある大きな空港は24時間開いている場合が多いということです。

深夜は完全シャットアウトの空港

空港によっては、数時間でも玄関を閉めて出入を禁ずる運用をしている場合があります。ローカルであるほどその傾向にあります。

便数が元々少ないため、最終日便が到着(出発)したら開けておく意味がないからです。セキュリティ的にも人員配置といったコストを考えても不合理であるためです。

中規模都市より小さい町に立地する空港で、便数が少ない場合は残念ながら望み薄です。

寝泊まり可能な中国の空港の探し方

中国人がWEBやSNS上に空港泊の情報が投稿されていますが、中国語なのでハードルが高いかと思いますが、情報を得るコツがあります。

空港泊検索のキーワードは2つ

”百度”など、中国語のWEBを検索すると中国人が実際に空港泊をした実績を見ることができます。

情報を得るために必要なキーワードは次の2つです。

  • ○○机场
  • 过夜

どの空港か特定する必要があるのと、1泊することを示す気ワードの組み合わせとなります。

前者は「○○空港」を指します。○○は都市名を入れます。
後者は「一晩を過ごす」という意味で、発音はguòyè、グゥオイェです。

他に「攻略」といったキーワードもよく入っています。これらの単語をコピペして、検索を利用するときにご活用ください。

事前情報収集のやり方例

航空便は予約済みで、スケジュール自体は前に確定していたため、事前に、情報量が日本語よりも多い中国語のWEBで情報収集をしました。

調べた結果、「国内線到着ロビーには出ずに、搭乗口近くに陣取るのが良い。」という声が多かったです。これはどういうことを意味するかですが、中国国内線では、到着と出発の動線は分けておらず、重複しているという背景があります。

 スクリーンショットを見て分かりますように、動画や文章でたくさんの人が投稿しているのが分かるかと思います。

先ほど挙げた各条件を満たす場所を探すため、サテライトから到着ロビーのあるターミナルビルへ移動することにしました。

出口から遠いのは乗継が遅れるリスクとなるからです。また、中国人からの投稿情報もは到着ロビー側だったことも幸いしました。

事前に情報収集した結果、到着ロビーを出た後の浦東空港内はどこも空港泊をする乗客でいっぱいで、椅子には手すりがあり寝転がることができないということでした。

空港泊できる中国の空港リスト

中国旅行を30年、バックパッカーを続けていますと、空港泊は宿泊先としての選択肢の一つとして定着していますので、次の空港泊に向けて情報収集をしています。

インターネットで調べていますと、同じように寝泊まりされる中国人の方が多数いらっしゃることが分かりました。中国人の皆さんからの情報をまとめました。

前日に制限エリアへ入れるケースは少ない

世界的には、セキュリティの関係上、出発前日に制限エリアに入ることができないのがスタンダードですが、中国では一部空港に限られますが、サービスの一環で認めているケースがあります。

制限エリア内に入って1泊可能な空港

翌日発の国内線搭乗券をお持ちでしたら、出発時刻の制約はなく、保安検査を通過した「制限エリア」、具体的には搭乗口近くに待合スペースなどで休むことができます。

  • 北京首都空港
  • 北京大興空港
  • 上海浦東国際空港
  • 成都天府空港

首都国際空港は乗り継ぎをする関係で航空会社から動線について確認していた中で知ることができました。

大輿と天府2空港は、どちらの空港も先にできた旧空港(北京首都国際空港・成都双流国際空港)よりも遠くに建設された新空港で、立地が市街地からかなり遠い場所に立地しています。何れも前日に制限エリアに入れます。

上海浦東国際空港も2025年5月からT1、T2各ターミナルで国内線安全検査が24時間対応が始まりました。

翌朝早いフライトの利便性のために可能であるとされています。基本的に当日しか保安検査に入ることができませんが、これら空港は例外です。

荷物を預けている場合とそうでない場合の動線が異なる場合がありますので注意が必要です。

制限エリア外で1泊可能な空港

「制限エリア外」とは、誰でも出入りできるエリアを指します。制限エリアは保安検査を通過する場所なので、ハードルは制限エリアよりは低いです。

  • 上海浦東空港 人流の割には快適に寝れる場所は少ない。最新情報や寝泊まり場所について徹底解説しています。
  • 広州白雲空港 航空券販売エリアにフラットにリクライニング可能なソファーが多い。
  • 西安咸陽空港 冬はかなり寒い。T2-T3通路で眠る人多い。
  • 南京禄口空港 0時過ぎれば人が少ないので過ごしやすい。
  • 成都双流空港 最後のフライトが終了すると減灯する。
  • 厦門高崎空港 到着階のみで、椅子が少ない。遅くなるとそれすら確保できない。
  • 昆明長水空港 地下3階に休息エリアがあり、20以上のマッサージ椅子あり。充電も可能で、室温も高い。
  • 哈爾浜太平空港 チェックインエリアは真冬でも暖かい。椅子は仕切りあり。
  • 青島胶東空港 ”过夜旅客休息区”が設けられている。
  • 蕭山空港 こちらにも”过夜旅客休息区”がある。 

近くに宿泊施設がある空港

空港へ少しでも早く行きたい人のニーズを満たすために、空港近くにホテルといった宿泊施設があって、送迎サービスをしたり、徒歩でアクセス可能な空港があります。

  • 深圳宝安空港
  • 西安咸陽空港
  • 重慶江北空港
  • 南京禄口空港
  • 哈爾浜太平空港
  • 昆明長水空港
  • 海口美蘭空港
  • 大連周水子空港

実際に、この中で重慶空港から徒歩圏内の安宿に泊まったことがあります。毎回、旅行する前に空港周辺に宿があるかどうかは必ず調べるルーティーンとなっています。

空港近くのホテルを探す方法

完成が古い空港は近隣に住宅地があるケースが多いのですが、乗り継ぎ客を狙った個人営業の小規模な宿泊施設がありますが、余り知られていません。

どのように探すと見つかるかですが、事前に百度や高徳の地図サイト(アプリ)やホテル予約サイトでどこにあるかあたりをつけておくと便利です。

実例紹介① ~深圳空港~

2024年9月に日本から深圳経由で移動する途上、深圳航空での乗り継ぎの際に利用しました。夜遅かったのですが、空港への往復送迎と時間が早かったので弁当でしたら朝食サービスがありました。

ちょっとトラブルがありましたが、何とか、空港近くのホテルでの無料宿泊サービスの利用ができました。条件に合致すれば格安航空券でも利用できます。

実例紹介② ~南京空港~

空港泊とともに周辺泊を検討しました。百度地図で禄口空港北側の禄口汽車站周辺に集中していますが約8km離れているので遠く感じました。

そこで南側はどうか探しみますと、空港右手に南北に伸びている金航路を南へ下ると宿が集中している場所が2ヶ所あることが分かりました。最初の部分は4km先なので射程圏内でした。

昼間や夜21時過ぎまでであれば、何れもバスアクセスできそうです。

実例紹介③ ~西安空港~

2019年に確認しましたが、西安咸陽空港まで徒歩で移動できる至近距離、車で5分くらいの場所にあって、1軒家タイプの民宿やペンションのような個人営業の宿が多数あった地区がありました。

飲食店や商店が多くあり、生活空間でもありました。そこで夕食を屋台飯を食べて、空港へ徒歩で向かい、西安咸陽空港内で1晩を明かしました。

中国の空港関係者が勤務するオフィスや工場が空港近辺に点在していて、住宅区域がある場合があって、宿があるケースが結構ありますので、空港泊はためらう方で、市内へ行かずに、近くで宿泊したい方にはお勧めの場所です。

空港に至近での宿泊は選択肢のひとつ

空港の立地によりますが、すぐ近くに送迎サービスを行っている小規模なペンションやホテルなどがあります。市内へ行くのであれば往復に時間がかかるので非効率ですが10分以内でアクセスできるのであれば、時間のロスが少ないので、ベットで横になることも選択肢に入るでのはないでしょうか。

重慶や大連も宿泊経験があったり、自分自身の眼で宅地が多いなど確認しています。知る人ぞ知る空港周辺の環境を地図で見てみると知らない世界を垣間見ることができます。

中国の空港泊に関する質問や体験談募集!

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筆者情報

旅人@中国旅行一筋30年
旅人@中国旅行一筋30年ブログサイト「中国旅行ドットコム」運営者
1991年から30年間で70回以上の中国訪問歴を有するベテラン旅行ブロガー。

中国旅行に興味がある方や個人旅行を計画している方、中国のリアルな姿を知りたい方向けのブログサイト「中国旅行ドットコム」を運営。

大都会の路地裏から田舎の町や村まで足を運ぶ、ツアーでは決して体験できない独自の旅行スタイルを持つ。

【個人旅の実績】 訪問した省・市・自治区:32(残1) 訪問地:200以上
【印象に残る旅のエピソード】 数え切れず
【撮影した写真】 45,000点以上

安宿に泊まり、長距離バスや夜行列車などのローカルな移動手段を使って、現地の人々と触れ合い、肌に感じる旅をして、リアルな中国渡航情報を発信中。

1日100元以内での滞在に挑戦するなど、旅の費用を抑える工夫が得意。独自の旅のノウハウを有し、海外モバイル経験も長く、ANA陸マイラーでもある。

旅先での中国語会話を実践して、通じる中国語を教えることにも取り組んでいる。中国語に堪能でVIP通訳に従事したことがあり、訪日視察団のアテンドをしたことも。経験を活かして、コミュニケーション促進のための中国語も含め講師として教えて6年超。

ブログをご覧になられた読者との交流も大切にしており、いただいた質問に対応したり、いただいた情報をブログや動画に反映している。

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