中国旅行で使おう!「路線バス」乗り方指南
都市や郊外を走る路線バス。バス停表示の読み方やバス代の支払方法、降りるバス停を知るコツなど、先に知っておくと便利な「路線バスの特徴」や「路線バスの乗り方」を中国旅行歴30年70回の作者が様々な視点で解説します。
中国の路線バスはいろいろな特徴があります。実際に言葉で挙げてみるとたくさんありました。街中を走るバスと郊外を走るバスでは違いがありますので、別々に解説します。
中国語では「公共汽车」とか「公交车」といいます。旅行先で乗ると移動が便利になります。路線バスの特徴や乗り方を知って活用できるようなっていただければと思います。
市内を走る路線バスの特徴
中国の都市部を中心に縦横無尽に走るローカル路線バスは今も昔も人々の足として重宝されています。個人旅行や仕事などの移動で安く気軽に活用できる便利な交通手段で、郊外への路線も多数伸びています。
均一料金で先払い
バス運賃は1元又は2元が大半で、乗車時の先払いが基本です。まれですが1.5元といったバスを旅先で見たことがあります。
均一運賃の場合は、バス停に運賃の記載がある場合があります。ない場合ですが、バスのボディーに書かれていることや運賃箱に記載があったりします。
現金で乗車する場合は、特に小銭は面倒でもバスに乗る前には必ず確認して、不足するなら近くのお店やコンビニ、スーパーなどで買い物してお釣りをもらっておくと運賃箱に入れる時に「しまった。」ということがなくなります。
ICカードからスマホ決済へ
《交通卡》というICカードが各都市で発行され、その都市住民に広く普及していて今でも大きなウエイトを占めています。今でも使われている運賃の支払手段です。
ここ数年のキャッシュレスが広まったことで、QRコード決済、WechatPay(微信支付)やAlipay(支付宝)が使えるバスが登場してきて、人々の生活に浸透しています。
一方で、現金で支払う人は地元でない別の地方から来た人(外国人も含みます)が多いですので、無くなる訳ではありません。
運賃箱はただの箱
日本のバスとは違い、運賃箱は単なる箱でして、自動計算してお釣りがでる機能はありません。ワンマン運転ですので運賃関係での客対応は基本ありません。両替も受け付けませんので注意してください。
機械ない理由の一つとして、古いお札やしわくちゃなお札を読み取ることが困難であるからだと推測します。
2000年代からはICカードが普及し、2010年代後半以降はスマホ決済が導入されつつありますので、そもそも運賃箱を改良する意味もないと考えるのが妥当ではないでしょうか。
機械で動く運賃箱は30年来1度も見たことがありません。せいぜい、足踏みでお金が箱の中へ落ちる仕掛けがある運賃箱は何度も見かけました。
路線数が町により異なる
北京・上海・広州など大都市なら数百路線、誰も把握できないくらいの数が網の目のように運行されています。省都クラスの都市なら百以上、地方の都市なら数十路線、県クラスの小さな町ならメインストリートから郊外に向かう路線が数本あるのが相場で、町の規模を測るバロメーターと言えます。
路線図が必要ない
昔の路線バスのコーナーで触れましたが、紙媒体での路線図がほぼ壊滅しました。「百度」や「高徳」といった地図アプリが代替えしています。使うと便利なもので、経路検索や乗継ぎによる運賃計算といった、日本の乗換案内のような機能があります。
何度か検索して分かりましたが、検索の仕方によっては、最安の移動手段が見つからないケースがあるということ。A→Cを調べるのと、A→B、B→Cを調べるのと結果が異なる場合があるということです。
バス停の表示に特徴あり
中国のバス停には時刻表はありません。「バス停名称」、「路線名称(○○路)」、「始発と最終の時刻」、「経由するすべてのバス停」が載っているのが中国旅を始めた90年代から今まで変わらない基本パターンです。
運行頻度が不明
旅先で非常に困ることなのですが、バスが何分に一度やって来るのかが表示されておりません。
都市部のバス路線だからといっても頻発とは限りません。数分に1本のバス路線もあれば、1時間以上待っても待てどもバスが来ない路線ありました。
同じ場所にバス停が多いと、誰がどのバスを待っているのかさっぱり分からず、乗りたい路線の運行間隔を聞こうにも聞きづらいことが結構あります。
現地の人に聞いても「知りません。」という答えが多くて、思ったほど知らないので、当てにはなりません。
現場や事前に発車時刻が分かる!
バス停の常識が一部打ち破られた場面を発見!
2023年9月に北京でのことですが、外環道路を走る快速バスに乗ったのですが、そのバス停に電光掲示板があって、次の何番の路線がバスが約何分後にこのバス停に到着するのか目安が表示されているではありませんか。
地図アプリ(WEBサイト)が対応している場合があって、発車時刻を確認できる場合があります。北京郊外の長城へ行く際に日本で事前に調べたら、1日数便しかない路線バスがあって、朝の出発時刻を間違えることがなかったので助かりました。
残念ながら、こういった所はまだまだ少ないのが現状です。前段のように分からないと考えた方が無難です。
冬の運行時間が夏とは異なる
冬場の日照時間が短く日暮れが早い地方都市では、冬ダイヤと夏ダイヤが存在します。冬ダイヤでは30分~1時間早くバスが終わってしまいます。
ターミナル駅発のバスは荷物だらけ
大きな駅最寄りのバス停は始発が多いのですが、すごい数や量の荷物を抱えた地元でない人がバスに乗ってきて通路に荷物を置いてしまうため、車内移動が困難になります。
バスの停車位置が一定しない
バス停の標識があるすぐ近くに停車するのが日本のバスですが、バス停のすぐ近くでない所にも停車するのが中国のバスです。停車位置に幅があるということで、地元の方はそれを承知で待っています。
なぜかといいますと、都市部のバス停は同じ場所に数路線以上発着するのが普通です。運航頻度が高いと、一度に数台のバスが来た順番にバス停前の停車帯に突っ込んできます。
それを見越して、バスが数台連続して停車できるよう長い車道や停車帯が確保されています。
乗客は、あっちへ行ったり、こっちへ行ったりしなければならないのですが、慣れたもので、所構わずバスの乗車口の近くに歩いて近づきますので、間違えてひかれはしないかひやひやものです。
基本ワンマン運転
旅を始めた1990年代は車掌がいる有人のバスが多かったのですが、合理化により、運転手のみのワンマンバスがほとんどになりました。
郊外を走る路線バスの特徴
バス停の表示がいい加減
都市部では必ずバス停の表示がありますが、郊外や地方になりますと、本数が少なくて、バス停の存在すら分からなかったことが結構ありました。
屋根のある待合が残っているが、逆に廃止されて、使われていないケースがありました。写真のように、バス停が使われているのかどうかどうか分からないのがこの一例です。
運航頻度も分からないですし、待っていても待ちぼうけをくらいかねないため、周りの人に聞いても知っているかどうか、あまり期待できません。始発から乗って来るのが一番間違いありません。
ワンマンではなくなる
運転手が車掌を兼ねて運賃を受け取ったり、お釣りも出すことはままあります。人件費削減の関係で、車掌は地方でも少なくなっておりますが、車掌がいる場合も少ないながらまだあります。
運賃が距離制になる
郊外へ出るバスは、例外なく、距離による運賃となります。長距離、長い時間乗ればその分だけ運賃が上がります。といってもぼったくりもない庶民価格です。
バス停看板の読み方
バス停の看板には、様々な情報、具体的には、バス停の名前、路線番号、路線の全てのバス停の名前、始発と最終の時刻が記載されています。これはどこの都市や町のバス停もほぼ共通しています。
注意が必要なのは、これだけ情報が載っていても、次に挙げた肝心な情報が分からないのです。
- 発車時刻
- 運行頻度
- 運賃
- 始発や最終の時刻が本バス停発なのか
日本のバスでは当たり前であっても、中国や海外ではそうでないことは多々あります。
実例を挙げて、バス停に記載されていることがそれぞれ何を指すのか、どんな意味なのかを解説します。
どこの路線バスのバス停表示もデザインは違っても表示される内容は差ほど変わりませんが、情報が少ないことはあり得ます。
写真のように、複数の路線が一緒のバス停にあることが多々あります。
陝西省南部にある紫陽県は地方の小さな町です。
3路線でも多い方です。人民医院という町中心部のランドマーク的な場所に立地するバス停です。
バス停の読み方を例を挙げて具体的に解説します。
① 「人民医院」がバス停の名称。「本站」はこのバス停という意味。
②「1路」はバス路線名で、数字+路の表現がバス路線のスタンダード。
③ 運行区間を指す。「高客站~県城」を運行している路線。
④ 運行時間の幅を示している。
夏季:6時~19時30分 / 冬季:7時~19時
何月から何月までが夏季・冬季なのかは地元の人しか分かりません。
⑤ 矢印は右に向いているのでバス停は左端から右端までの順番に通るのを見て、上り下りや行先の方向を判断。日本のバス停のように「○○行」という表記はない。
「下一站:紫府大酒店」は「次のバス停は紫府大酒店」という意味。
⑥ バス停の中で、ひとつだけ赤色で書かれているのが本バス停「人民医院」。
⑦ 運行区間のバス停名が左から順番に記載。
路線バスの乗り方
どの路線に乗るかを確認
目的地までの行き方を地元の人に聞いたり、百度地図などのWEBサイトやアプリで検索するなどして、何路(中国では何番の番に相当)バスに乗るか、どこのバス停からどこのバス停まで乗るかを確認します。
小銭を事前に用意
現金でバス運賃を支払う場合は、小銭を用意しておくと安心です。
中国語が話せれば車内にいる誰かに両替してもらうこともできますが、乗車するとすぐに運賃箱にお金を入れる流れであるため、混んでいたりすると、タイミングをはかるのが難しいです。
最近はキャッシュレス社会であるため、現金両替のハードルは高くなりました。乗車前に食堂や商店などで、お釣りをもらっておき、市内バス乗車に困らないようにするのが最も合理的なやり方です。
バス停を探す
日本と同じで、バス停は方向別に設置されています。全くの対面に位置するとは限らず、前後にずれている場合が多々あります。
方角を間違えると大変なことになりますので、上りか下りか、バス停のプレートに矢印がありますので、並んでいるバス停の順番と終着のバス停を目印にどちら側か確認してください。
お目当てのバスが見つかったらスマートフォンでバス停のプレートの表示を写真で撮っておくことをお勧めします。
何番目のバス停で降りるのか、バス停の発音を確認したりするなど、予め準備しておくと便利なことがあります。
運行頻度を確認する
中国語が少しでも話せるのであれば、周りの人たちに運行頻度を確認すると待ちぼうけを食らうリスクが下がりますし、精神的に備えることができます。
バスが来るのを待つ
中国の都市部にあるバス停は同じ場所に5路線以上あることはざらで、中には10路線くらいある所もあります。新しいバス停ですとベンチがありますが、ないバス停も多いので、荷物を置く場所に気をつけながら待ちます。
運賃を確認
バスを待つ間に、運賃がいくらなのか確認されるとよいでしょう。バス停に記載があったり、バスのボディーや窓に表示があったり、まちまちです。
通常は1元、2元といった均一料金ですが、距離が長い、中心部から近郊へ向かう路線バスは距離に応じた運賃となる場合があります。
お目当てのバスに乗車
市内を走るバスの大半はワンマンで、扉が2~3あります。前方乗車後方下車が基本です。現金払いの場合は前扉から乗車してください。待っている時に他のバスがどうなのか確認するとよいでしょう。
朝夕のラッシュ時にあたると、乗るだけでも大変です。押し合いへしあいは当たり前です。中国のラッシュアワーをぜひご体験を!
運賃を支払う
支払方法によって異なります。現金の場合は運賃箱に入れます。お釣りは出ません。
バス停の表示に記載がないため、運賃が分からない場合は、運転手や乗客に、いくらですか? 「多少钱?」(ドゥオシャオチィエン)とお尋ねください。
よく訪れる町がある場合は、ICカードを購入して使用するのもひとつです。チャージして使用してください。WechatPayやAliPayが使えるバスもあります。
距離制の場合は、行き先を聞かれますので、中国語で答えるか、筆談で行き先を書くなどして伝える必要があります。
乗車中の過ごし方
空いていれば椅子に腰かけて、窓から外を眺めて、町のようすを伺いながら移動すると退屈しません。途中で足裏マッサージ屋があって、気づいた直後、すぐに下車したこともあります。
普通のシートは青で、優先はオレンジといった、色違いで優先シートが設けられているバスが多いです。ご高齢の方に譲られる光景は今も昔もたまに見かけます。
降りるバス停のひとつ前になりましたら、すぐに下車できるようリュックを背負うなど準備をしてください。
降りるバス停を確認
ローカルバスに乗る前にスマホで撮ったバス停プレートの写真を確認します。
撮影していなければ、バス内に路線の停車するバス停の表示があるのでぜひご確認を。
自動音声による案内がスタンダードですが、中国語が分かる方はこれを聞いていればOKです。
そうでなくても、降りるバス停を確認する手段はいくつかあります。
バスによっては前方(運転手席手前上部)に電光掲示板があり、次のバス停はどこか案内されるケースがあります。「次のバス停は○○○○」といった表示がされる場合があるので、それを見ても構いません。
電光掲示板がない場合は、真ん中や後ろの乗降口ドアの上などにある運行区間が書かれている表示があったら確認するとよいでしょう。見える範囲に座るというのも悪くありません。
都市部でも旧市街地であれば、バス停間の距離は短く、郊外へ向かうバスや高速鉄道の駅から中心部へ向かうバスですとバス停間の距離が長くて、降りるバス停を間違えると大変なことになりますので注意してください。
目的地のバス停で下車
ワンマンバスで降りるドアが決まっている場合はそのドアから降ります。一駅でなければ、車内を観察すれば分かるかと思います。
日本はバスが停まってから下車するよう運転手が呼び掛けられていますが、中国ではそのようなことは一般的ではありません。
乗車と下車が同じドアの場合、早く降りないと、すぐに大勢が同時に乗り込んできます。並んで乗るというのは、鉄柵がある始発のバス停くらいでしか見ることができません。
バスを降りたら
旅行者は地理には不案内ですから、念のため、降りたバス停の表示や周りにある目印を確認しておくと、戻る場合の手助けとなりますし、時刻も記録されるため、所要時間を推測することもできますし、確認しておいて後々間違いありません。
スマホでバス停の表示や周りを撮影しておいて、何かあれば、写真を見せて道を訪ねることができます。
これで心置きなくバスを降りて次の目的地へ行くことができるでしょう。
〈回想〉1990年代の路線バス
90年代の路線バスは現在のバスとは異なって、人情あるバスでした。
例えば、激混みで車掌が後ろまで行けない時に、運賃を支払う人は、お金を車掌までリレーします。車掌はお釣りや切符を何人かのお客にリレーして受け取るといったことがありました。
車内には必ず車掌がいて、どこから乗ったか目を光らせていて、運賃を徴収していない人が誰かを瞬時に判別します。車掌にはそんな能力がありました。
トロリーバスも多く運行されていました。北京市内には何路線もあって、日本では既になくなった架電する光景を見ることができました。
路線バスの地図がなくなった
訪問する都市ごとに、バスのルートが路線別に掲載された「交通地図」を使って、アナログですがルート確認をしていました。写真のような地図は1990年代から2000年代の旅行時の主力アイテムでした。
ちなみに、1990年代は3毛(0.3元)とか5毛(0.5元)でしたが、2000年代に入り1元になり、2010年代に入ると2元、3元のバスも登場してきました。
交通地図は町の玄関口となる駅や人が集まる長距離バスターミナルなどで人手で「交通地図」を売っていたのですが大変懐かしく思います。そんな売り子はスマートフォンや無線通信網の整備が進んで壊滅してしまいました。
今は、地図サイトでアクセス検索できるため、販売されなくなりました。都市全体の公共交通体系全体を俯瞰できる地図がなくなり、不便になったのか便利になったのか微妙なところです。
作者プロフィール
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1991年から30年間で70回以上の中国訪問歴を有するベテラン旅行ブロガー。
中国旅行に興味がある方や個人旅行を計画している方、中国のリアルな姿を知りたい方向けのブログサイト「中国旅行ドットコム」を運営。
新型コロナウイルス後の中国旅行に対応した最新情報から、大都会の路地裏から田舎の町や村まで足を運ぶ、ツアーでは決して体験できない独自の旅行スタイルを持つ。
【個人旅の実績】 訪問した省・市・自治区:32(残1) 訪問地:200以上
【印象に残る旅のエピソード】 数え切れず
【撮影した写真】 45,000点以上
安宿に泊まり、長距離バスや夜行列車などのローカルな移動手段を使って、現地の人々と触れ合い、肌に感じる旅をして、リアルな中国渡航情報を発信中。
1日100元以内での滞在に挑戦するなど、旅の費用を抑える工夫が得意。独自の旅のノウハウを有し、海外モバイル経験も長く、ANA陸マイラーでもある。
ブログをご覧になられた読者との交流も大切にしており、ほぼ毎日質問がきて、いただいた情報をブログや動画に反映している。メーリングリスト立ち上げなど、新しい取り組みも行っている。
詳細は作者紹介をご参照ください。問合せはこちらまで。
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