旅行者が中国で宿泊する意味
中国で外国人が旅行する場合、72時間以内に所管の派出所へ滞在届を提出しなければならないルールが私が旅行を始めた30年以上前から存在します。
「中華人民共和国出境入境管理法」という法律に基づく制度で、「外国人はホテル以外の住所に居住または宿泊する場合は24時間以内に本人又は家主が居住地の公安局で登録しなければならない。」とあります。外国人が中国人の友人宅へ泊まることがあり得ますが、その際に適用されます。
中国語では「住宿登記」といいまして、宿泊登録手続と言えば分かりやすいでしょうか。ホテルなど外国人が宿泊する施設では「境外人員臨時住宿登記表」という名称の紙が用意してあってチェックイン時に記入しているはずです。
ホテルなど宿泊先がオンラインで宿泊者情報を送信したり、宿泊者が手書きで記帳した帳面を提出しますので、個人旅行者には余り目立って見えないものとなっています。
例えば、広東省広州市公安局がWEBに設けているオンライン登録システムがありまして、個人が滞在登録できたり、登録情報を検索できる仕組みになっています。
広州市公安局境外人員網上服務系統
安宿に泊まる際も同様で、中国人は宿泊の際、身分証提示が必須で、同様に報告を要するため、公安機関が開発した同じシステムで運用されています。現場で見る限り、管轄ごとにあるようです。
10年ほど前、知人のリクエストで企画した旅で北京のユースホステルに宿泊した際、フロントスタッフとの会話で分かったのですが、入国したという情報が宿にオンラインで届いていました。
中国入国の際に、外国人は指紋をスキャンしなければなりませんが、パスポート情報とリンクさせるとともに、滞在先情報をオンラインで確認することができるようになっているようです。
宿泊手続をする際、どこから来たか、どこへ行くかを書く欄がありますが、別の規程に定められています。
これだけを見るとこわい国だなと思うかもしれませんが、犯罪にでも巻き込まれない限りは、影響がある訳ではありません。世界各国の国情はそれぞれで、そういったことを知ることも中国を知ることに繋がります。
実際のところは、旅をするだけであれば、気にすることはありませんので、ご安心くださいね。