中国旅行、現地での支払方法は何がある?
旅行経験30年70回の作者が中国の旅行先で使用する決済方法や支払方法別にその現状や特徴、経験談を紹介します。キャッシュレスも使えますが、使うまでが一苦労です。それはどういうことなのでしょうか。コラムをお読みいただき、旅行前の準備にお役立てください。

現金【使用難易度:低】
中国では「人民元」と呼ばれています。単位は「元」です。中国人のキャッシュレス化は日本よりも進んでいまして、スマートフォンの普及や4G、5Gといった通信環境が安定したことで、キャッシュレス決済の浸透したため、現金の流通が減少しており、現金の肩身が狭くなっています。
しかしながら、中国でのキャッシュレス決済は、旅行で訪中する外国人にとっては、あまりやさしくなく、ハードルが高いため、どうしても現金に頼らざるを得ないのが現状です。
例えば、バスに乗る際は、1元、2元といった均一運賃で、お釣りがでないように小銭を財布に常備しないと、日本のバスのように両替したり、おつりが自動的に出るといった運賃箱は中国では存在しません。といいますか、30年来見たことがありません。運賃箱はお金を入れるためのただの箱です。
人民元ですが、通貨として、「元」・「角」・「分」という単位があります。1元=10角、1角=10分です。物価上昇のため、2010年代以降は、角・分はほとんど使われなくなりました。

紙幣ですが、100元、50元、20元、10元、5元、2元、1元、5角、2角、1角がありますが、1元を除く2元以下のお札は既に流通していないように見受けられます。
硬貨は、1元、5角、1角、5分、2分、1分とありましたが、使う場面が減ってしまい、1元以外はほぼ壊滅してしまったと考えてよいでしょう。
体験談
日本円を人民元に両替する際、小数点以下のお金をくれなかったので、それを指摘しましたら、銀行では分がなかったため、角に繰り上げて、1角をくれました。何も言わなければそのまま差額が生じたままでした。逆に、何も言わなくても1元未満を繰上げて元をくれた事例もありました。
盗難を防ぐため、できる限り100元札を何枚も人前で見せないようにしたり、宿で次の日に使うかもしれない100元札を出して、他はセキュリティーポーチに入れておくなど、30年来ずっと安全対策をしています。おかげさまで、現金が盗られたことは記憶する限り、1回。それも本当に盗られたかどうか確証がないものでした。
古い使い古しのお札が流通していますので、自動販売機に入れても認識せずに戻ってきたり、入らなかったりすることがままあります。
スマホ決済【使用難易度:高】
QRコード決済のことで、あらゆる場面で使用することできます。既に中国人の日常生活に欠かせない決済手段となっていまして、個人経営の食堂や露店でも普通に使えます。
現地で聞いたところ、「手数料がかからず、QRコードが印刷された紙があるだけで、対応できる。」とのことで、爆発的な普及に繋がりました。公共交通機関での使用も広がってきており、使えない所を探す方が難しくなってきています。
スマホ決済の種類ですが、中国旅行で関係するのは「WechatPay」(微信)、「Alipay」(支付宝)の2種類と考えて結構です。


中国人なら誰でも知っています。知らない人はいないと言って過言はない圧倒的な知名度です。
決済アプリをダウンロードすることは簡単なのですが、試用するためにはチャージ(入金)が必要でして、そのためのハードルが非常に高いのです。
スマホ決済を使うためには、基本、中国で開設した銀行口座が必要です。オンラインの携帯電話残額のチャージなど、使用するサービスによっては、現地の携帯電話番号、ショートメッセージ(短信)を受信できる環境が合わせて必要です。
体験談
日本でのAlipayでの支払いは、携帯電話のチャージや12306の鉄道切符代の決済には成功しています。日本で発行したクレジットカードでの登録(紐づけ)が可能な時とそうでない時があります。私も数年前から何度もチャレンジしていますが、うまくいかない場合が多いです。
電子マネー【使用難易度:低】
Suica、PASMOといった「交通系ICカード」は中国にもあります。北京では《北京市政交通一卡通》、上海は《上海公共交通卡》など交通カードが存在しています。タッチ決済で、乗車時と後者時にタッチするパターンと乗車時のみタッチするパターンがあります。
最初はその都市公共交通だけ通用するICカードでしたが、他の都市でも使用できる互換性が出てきています。無記名のものを現地購入が可能です。
体験談
北京の交通カード(交通卡)を2000年代から持っていまして、カード使用でバス運賃が3割に減額されるのでよく使っていました。自分にとって、クレジットカード決済に次ぐ、キャッシュレス決済の走りです。
どこで作ったかは失念しましたが、名前の登録は不要で、カードは簡単に入手できました。空港や市内の大きなバス停留所の窓口でチャージをしていました。
キャッシュカード【使用難易度:高】
中国の銀行が発行したキャッシュカード
中国本土で銀行口座を開設すれば必ず《銀聯》マークがついた銀行のキャッシュカードになります。預けた人民元を出入金するときに使いますが、現地で銀行口座を作ること自体難しいのが現状です。

上の写真の右下に銀聯のロゴマークがありますが、どこの銀行でも口座開設して入手できるキャッシュカードは必ずこのロゴがあり、デビットカードとしても使えます。
体験談
私は1990年代から2000年代にかけて現地で銀行口座を開設して、解約した口座もありますが、現在まで維持しています。旅行者であることを明示して、パスポートだけで開設しました。出金など窓口で手続きするときは必ずパスポートの提示を求められます。
2019年に初めての方向けに中国への体験旅行を企画して、参加者と一緒に陝西省北部へ行ったのですが、立ち寄った県クラスの町で、私がサポートして、参加者がパスポートだけで銀行口座を開設することに成功しました。
仮にうまく開設できた場合でも、インターネットバンキングをできるようにしてください。その際、トークンが必要な銀行は有効切れに注意してください。新型コロナ感染症流行の関係で、3年半以上中国へ行くことができなかった間に、トークンが有効期限切れで使えなくなってしまい、ログインができなくなりました。次、中国へ行ったときに新しいトークンを入手しなければなりません。
日本の銀行が発行したキャッシュカード
日本の一部銀行のキャッシュカードでは、中国を含めた海外のATMで出金可能なものがあります。口座の日本円残高から引き出す形となります。
クレジットカードと同様に、現金をキャッシングする手段、人民元を得るためのバックアップ手段として考えれば使えますが、盗難リスクがありますので、管理には十分注意してください。
デビットカード【使用難易度:中】
銀聯カード
《銀聯カード》(UnionPay)は、中国で一番普及しているデビット機能があるカードです。銀行口座に紐づけられていて、銀行のキャッシュカード=銀聯カードです。使用したらその分即時に引落されます。
下の写真にあるロゴマークがカードにプリントされています。

日本で入手可能な銀聯カード
三井住友カードが《三井住友銀聯カード》や《ANA銀聯カード》を発行していて、インターネットショッピングはNGですが、現地の銀聯カードのロゴマークが表示されている店舗では使用可能で、クレジットカードと同じように締切日があって、使用後に請求されるサービスです。
体験談
直近の旅行は2019年5月と9月ですが、中国に着いた後、駅で列車の切符を買ったり、長距離バスターミナルでバスの切符を購入するときに使っていました。
比較的決済額が大きいものは特に意識して使っていますし、少額でもポイントが貯まりますので、銀聯のロゴマークがあった場合は、現金を使わずに銀聯カードで決済していました。
クレジットカード【使用難易度:低】
国際ブランドのカードは中国では全くと言ってよいほど普及しておりませんが、外国人観光客やビジネス客向けに、ハイクラスのホテルや、デパート、外資系スーパーなど、使える場所はそこそこあります。
北京、上海、広州など省都クラスの大都市では外国人がよく来るレストランやバーなどの飲食店や空港の免税店でも使えます。

では、中国旅行にクレジットカードが必要かどうかですが、高額決済となる宿泊代金の支払いについては、3星以上のホテルでは、VISA、マスター、アメックス、JCBといったクレカは使用可能であることが必須であるため、現地決済をされる場合は、持参することをお勧めします。
体験談
自分自身の例ですが、クレジットカードは必ず1枚持参しています。中国では24時間営業のATMは一般的でして、手数料がかかるのでほとんどしたことはありませんが、現金のキャッシングが可能であって、元の現金を用意するバックアップ手段として活用できることがその理由です。
JCBカードを使用していた時期があったのですが、その時は、事前に中国のJCB加盟店が紹介された冊子を事前に入手して参考にしていました。
トラベラーズチェック【使用難易度:不可】
T/Cと称する場合があります。1990年代時点で存在してた旅行小切手で、銀行でドルや円のトラベラーズチェックを購入して、1ヶ所目にサイン。現地で使用する際に1ヶ所サインするもので、店舗によっては、そのまま使用できる場合がありました。
日本では2014年3月末に発行が終了してしまいましたので、今は使用することはできません。
体験談
1990年代、中国旅行を始めた最初の頃は、セキュリティ的な観点から、現金とともに、銀行で円のトラベラーズチェックを数万円用意して持っていき、現地でサインをして、人民元に換金していました。
関連リンク
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