上海浦東国際空港の空港泊 ~現地情報と体験談~

上海浦東国際空港での空港泊を計画する際、最も知りたいのは「実際のところ、深夜に到着してから仮眠ができるのか?」というリアルな情報ではないでしょうか。

この記事では、筆者自身の上海浦東国際空港での空港泊体験談をベースとしつつ、更には、現地の中国人旅行者がSNSで発信する生の情報やメディアの最新ニュースを織り交えながら、空港泊の「快適さ」と「不便さ」の現実を多角的に解説します。

乗り継ぎや早朝のフライトに間に合わせるため、浦東空港での一夜を安心して過ごすためのガイドや暇つぶしするための目安として、ぜひご活用ください。

浦東空港以外の中国の空港に関する空港泊について知りたい場合は、「中国主要都市の空港泊ガイド ~現地情報と中国語SNSから寝泊まり可否を解説~」をご覧ください。

筆者自ら浦東空港で空港泊を実践

中国旅を繰り返す筆者が日程で、あえて浦東空港経由のトランジットにして、乗り継ぎで1泊する状況をつくりだして、2回体験しました。

ターミナルビル2(T2)の制限エリア内と制限エリア外のケースの2例がありますので、それぞれ特徴や違いがあり、興味深いものとなっています。時間をつぶすことができる場所や方法を試行錯誤しました。

空港1泊体験談 in 上海浦東国際空港 ①

2024年9月、陸路で上海に入って帰国直前の1泊を浦東空港で過ごしました。こちらは国際線からの入国や国内線の乗り継ぎが無い場合の空港泊のケースです。

4階から2階まで巡回したものの・・・

T2の4階から3階、2階と上から順番にひととおり歩き回りました。前回2024年1月に確認した際、ゆっくり休める場所はないのではないかと認識していましたが、2階より上は人が多く手落ち着いて過ごせる場所はありませんでした。

上海浦東空港T2 22時台のロビー

最後は1階を残すのみ

落ち着いて休める場所はすぐには見つかず、あきらめかけて、最後の1階国内線到着ロビーを端から端まで歩いた所、椅子が無造作に多数置かれているスペースを見つけました。

ここから先が休憩スペース

落ち着いて休める場所はすぐには見つかず、あきらめかけて、最後の1階国内線到着ロビーを端から端まで歩いた所、椅子が無造作に多数置かれているスペースを見つけました。

何とか一晩過ごせそうな場所が見つかる

4本1列の椅子が本数だと数百本、席数なら1,000席以上あるような感じでの場所でした。最寄りの出口は27番、28番、29番です。

少数ながら横に慣れる椅子があるということが他の場所とは異なる点でした。割合としては4分の1以下ですが、22時~23時であれば確保できるくらいだと思います。

朝まで滞在した実体験談

私が確保したのは6席繋がっている席で、手すりが無いタイプでした。横になれるかどうかがかかっているので、探す眼は真剣でした。

1列6つの椅子のスペースを見つけて確保しました。手すりがない椅子は差ほど多くはなく、よく見るとありますが、人から選ばれている訳ではありませんでした。

他の方が寝ている様子ですが、3席分で済んでいます。

一番奥にトイレが1ヶ所あります。給水機が入口すぐのところにあります。

同じように過ごす人ばかりですのでその中に紛れて用を足すのであれば、荷物が盗難に遭う可能性は高くないと思います。少しだけ離れるくらいであれば、大丈夫な場所でした。であるにしても、自己責任が原則です。

飲料がなくても給水機があるので水分補給は問題ありません。

23時頃~翌朝5時まで滞在しました。リュックをまくら代わりにして眠りました。

冷房が効いていますので、薄手でも構わないので羽織るものを持参すると良かったのが反省点でした。

成人であれば、4席分確保できれば、足を伸ばして余裕で過ごすことができます。靴は椅子の下に置いて目立たないようにしました。

トイレに行く回数を少なくするために、水分補給は最小限にしました。

2時間弱程度の睡眠が3回ほど続きまして、途中でどうしても目が覚めますが、硬座の夜行列車に乗った時でも同じですので、気にはなりませんでした。

空港1泊体験談 in 上海浦東国際空港 ②

2024年1月に国内線で夜11時に到着した後の状況です。

翌朝8時台のフライトに乗り継ぐ必要がありまして、チェックイン開始時刻は5時半前でして、6時間を過ごすことができればOKでした。

乗り継ぎまで6時間しかないのに「宿泊を確保するのは面倒ですし、動きたくない。」ということで、深夜から早朝まで空港内でできる限り快適に滞在できる場所を探すためのチャレンジが始まりました。

到着ロビーに係員がいないと出れない!

WEBには快適に滞在できる国内線の具体的な搭乗口番号まで示されていたのですが、心配だったことがひとつありました。それは「早朝4時に到着ロビーへ出ることができるか」です。

中国の大きな都市にある空港は深夜1時、2時でも到着便が普通にあるのですが、どんなに大規模な空港であってもさすがに定時のフライトで4時5時到着はありません。数時間、到着便がない時間が生じるのです。

ということはどうなるかといいますと、到着するフライトがないので、係員が誰もいなくて、到着ロビーの自動ドアが閉まっていてそもそも外へ出れないことが想定されるのです。

万が一、いない場合は、探して開けてもらう必要はあります。これは可能だと思います。リスク軽減のため、できる限り、時間に余裕を持つことが大切です。

寝る場所を探すため探索を続ける

実際のところですが、心配だったのですが、杞憂にすぎず、到着ロビー出る前に一晩過ごすとができました。久しぶりの浦東空港だったのが別の心配でした。

降り立ったのはS2というサテライトビルの2階。来たことがない所で、このS2が何なのか最初は分かりませんでした。搭乗口はH179。調べましたら、コロナ前の2019年9月に供用が開始された新しいサテライトで、明日搭乗するT2とは別の場所にできたものでした。

下の地図は中間部分のみですが、その上に当たる部分から真ん中へ向かいます。

浦東空港ですが、ターミナルビルがふたつ(T1・T2)、サテライトビル(S1・S2)がふたつあります。今回、国内線でS2に到着しまして、施設が新しく、人も少ないのでここで朝まで過ごそうかとも思いましたが、先へ進んだところ、フロアマップでサテライトビルの全貌を確認して、MRTでT2へ移動できることが分かりました。

係員がいて早朝に動いているかどうか分からないことから、S2から到着ロビーがあるT2まで移動することにしました。

実際に過ごした様子

T2ターミナルビルを歩いて自分の目で確認した結果、事前情報で得ていた場所とは異なりますがC62搭乗口近くで休むことにしました。

過ごす場所としては広すぎるくらいで人がいないので、難なく充電できる場所を確保できました。その時刻は0時30分過ぎでした。

横になれるかどうかは、疲労感に大きな差が出ます。頭や身体、両足をフラットにして寝ることができました。枕はリュック、足のせと防犯対策でショルダーを足に引っかけて寝ました。万が一の盗難に備えて、人がいなくてもセキュリティ、安全管理には気をつけていました。

トイレはなるべく行かないようにするため、飲み物は飲まずに横になりました。

そんな感じでも結構寝れるもので、3時間程、ほとんど目が覚めることなく普通に休むことができました。3時間半ほど過ごしました。

4時前には起床しました。近くのトイレで身支度をして、いざ、国内線到着ロビーへ進みます。ターンテーブルがあるフロアに向かいました。

遅延のため1便だけ3時台に到着した便があった関係で預け荷物のターンテーブルがまだ動いていて、出口に係員が1名いましたので、出口をすんなり通ることができました。

動画 ~上海浦東国際空港で深夜探検!~

Youtube動画では深夜の浦東国際空港の様子や実際に静かな夜を過ごした様子などをまとめて公開しています。

到着ロビーに出なくてよかった・・・

到着ロビーを出た後、午前4時頃、実際にT2の1階3階4階と見て回りましたが、椅子自体も少なく、人が一杯で快適に過ごすどころか、座れる場所の確保も難しい状況でした。

夜明け前の浦東空港出発ロビー(3階)2024年1月撮影

穴場として、国内線ファーストクラスチェックインカウンター前にあるソファー椅子です。そこにもちゃっかり荷物を横に置いて寝ている人がいました。クッションがあって他のシートよりも柔らかいので、過ごしやすいのではないでしょうか。

浦東空港(T2)1階  空港泊マップ

実際に自分の眼で見聞した結果を踏まえて、浦東空港ターミナル2国内線到着ロビーにある椅子が1,000個以上あるエリアを図示しました。画像をクリックすると拡大できます。

浦東空港でWifiが使えるようにするには

空港泊で朝まで時間つぶしをする時に必要不可欠なWifi環境。この空港では専用の番号を取得しなければWifiでインターネットをすることができません。

上海浦東空港 ターミナル2 Wifi番号取得機

上海浦東空港T2では、写真にあるような番号を取得するキオスク端末がありまして、外国人はパスポートをスキャンすることでアクセスに必要な情報を得ることができます。

空港泊の基本的なことを知りたい方は

空港泊が初めての方や、必要な準備・持ち物、快適な過ごし方について知りたい方は、「空港泊で快眠、一晩を快適に!〜準備とコツで安心の夜を〜」をご覧ください。

浦東T2国内線到着の1階ベンチが撤去!

読者のtakomaruさんから驚きの情報が次の情報が寄せられました。

「こちらの記事で紹介されていた浦東国際空港T2の1階のベンチですが、2025年5月22日現在、全て撤去されておりました。代わりに僅かながらの丸いベンチが置いてあるのみで、記事の写真のように広々と寛げる状態ではありません。浦東国際空港T2で夜を越される方は2階以上のベンチを利用するしかないことを知っておいたほうがいいと思います。」

衝撃の事実から言えること

1階にあれだけの数、人数がすごしていた場所が消えたのはショックでした。1,000もののイスがあったのが全てなくなったとなりますと、人の往来が多い浦東空港で一晩過ごす場所が、消失したのは相当な痛手となります。

制限エリア外の空港泊難易度が大きく上昇

浦東空港ターミナルビル2で一晩過ごす場所が消えました。

  • 元々人が多い
  • 国際線利用者が多い

など、多くの方が空港で1泊しようとする中で、2階から4階までで過ごす場所を探すことはできますが、いかんせん、競争率が高く、中国人、外国人あらゆる人たちとの争奪戦となります。

到着時刻が遅いと、既に場所が取られ、目をつぶって寝るのもままならない可能性が生じます。

浦東空港の安全検査が24時間対応に

2025年5月11日から国内線出発の安全検査(セキュリティチェック)が24時間対応となりました。

「当日のフライトは当日に安全検査」のモデルを採用し、0時以降の深夜に上海浦東国際空港に到着して国内線を乗継ぎをする又は国内線に搭乗する旅客がチェックイン完了後、安全検査を経て、搭乗前の制限エリアに入ることができます。

東方航空が24時間チェックイン制を採用

中国東方航空は2024年6月から浦東空港の国内線チェックインカウンターで「国内值机柜台通宵服务」を始めました。

深夜時間帯に飛行機で浦東空港に到着して、朝早い時間帯に出発する乗り継ぎ客に対して、毎日午前0時~4時までの間、搭乗手続きが可能な取り組みを実施していましたが、2025年5月より「全天24小时办理值机服务」と銘打って、24時間チェックインサービスを始めました。

これにあわせて、S1(第1サテライトターミナル) 118番ラウンジは24時間営業となっています。

関連情報 浦东机场东航国内航班可全天24小时办理值机

全航空会社が対応しているとは限らない

このアナウンスだけ安心するのは早計です。これまでの経験や情報分析から言えることは、他の航空会社が対応しているかどうかです。

当日早朝のフライトが適用されるのかですが、実際にカウンターで確認するのが確実です。

中国東方航空は上海を拠点とする航空会社なので一番対応しやすいのですが、他の航空会社全てが対応しているとは限らないので、航空券手配時に問合せするなど、確認が必要なことにご注意ください。

まとめ

事前に情報が得られればと思い、浦東空港で仮眠されて1泊を過ごす方に向けた情報を発信しています。

全体をお読みになられると分かるかと思いますが、状況変化があるので、可能な限りフォローアップしていきます。

読者の皆さんからの体験談や最新状況の投稿をいただけると情報共有ができてよりよい記事にできるかと思います。

空港泊の質問や体験談投稿は大歓迎!

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筆者情報

旅人@中国旅行一筋30年
旅人@中国旅行一筋30年ブログサイト「中国旅行ドットコム」運営者
1991年から30年間で70回以上の中国訪問歴を有するベテラン旅行ブロガー。

中国旅行に興味がある方や個人旅行を計画している方、中国のリアルな姿を知りたい方向けのブログサイト「中国旅行ドットコム」を運営。

大都会の路地裏から田舎の町や村まで足を運ぶ、ツアーでは決して体験できない独自の旅行スタイルを持つ。

【個人旅の実績】 訪問した省・市・自治区:32(残1) 訪問地:200以上
【印象に残る旅のエピソード】 数え切れず
【撮影した写真】 45,000点以上

安宿に泊まり、長距離バスや夜行列車などのローカルな移動手段を使って、現地の人々と触れ合い、肌に感じる旅をして、リアルな中国渡航情報を発信中。

1日100元以内での滞在に挑戦するなど、旅の費用を抑える工夫が得意。独自の旅のノウハウを有し、海外モバイル経験も長く、ANA陸マイラーでもある。

旅先での中国語会話を実践して、通じる中国語を教えることにも取り組んでいる。中国語に堪能でVIP通訳に従事したことがあり、訪日視察団のアテンドをしたことも。経験を活かして、コミュニケーション促進のための中国語も含め講師として教えて6年超。

ブログをご覧になられた読者との交流も大切にしており、いただいた質問に対応したり、いただいた情報をブログや動画に反映している。

詳細は作者紹介をご参照ください。問合せはこちらまで。

上海浦東国際空港の空港泊 ~現地情報と体験談~” に対して8件のコメントがあります。

  1. Kaori Otohara より:

    初めまして。2月にドバイへ行くのですが、往路で上海浦東国際で乗り継ぎがあり約18時間滞在します(18:20着、翌12:15発)。今回思い切って外へ出て観光しようかなと思うのですが、空港から上海の外灘へのアクセスは簡単ですか?また一泊するならおすすめはありますか?できれば1泊1万以下で泊まりたいですが、治安的にどうでしょうか?

    1. ご覧いただきありがとうございます。
      浦東空港から地下鉄2号線で乗り換えなしに最寄駅「南京東路」まで行けます。駅からは東へ1キロもないくらいの距離です。
      お勧めのホテルは残念ながら専門外ですので、具体的にはお答えが難しいのですが、Booking.comやTrip.comなどのホテル予約サイトで料金や立地、宿泊者の評価を見ながら決めるとよろしいのではないでしょうか。立地で考えるなら翌日10時には空港着するとすれば、地下鉄2号線沿線がベターでしょう。
      南京東路は繁華街で夜10時までは営業している店がありますので、夕方着でも散策に適しています。
      治安は、盗難に気を付けさえすれば、通常の海外旅行と同様でよろしいかと思います。
      他に質問があれば、遠慮なくどうぞ。

      1. Kaori Otohara より:

        ご返信いただきありがとうございます!
        乗り換えなしで行けるのですね!
        ホテルも星の数ほどあって大変ですが、地下鉄の沿線で探してみます。
        2月の後半なので、春節の混雑も大丈夫そうですよね。
        トランジットビザ免除制度があるようなので、楽しみしています!

        1. 春節を外せばホテルはたくさんありますし、予約すればよいので問題ないでしょう。
          トランジットビザ免除はビザが必要な時に適用されるものでして、昨年11月に30日以内ビザ免除が適用されます。

  2. Tetsuji Ta Kabe より:

    こんにちは、がおぶです。昔、陽朔から桂林に行くバスの中で、熟睡してしまい、バスを降りてから、財布を入れていたジーパンのポケットがぎざぎざに引きちぎられているのに気づきました。財布はポケットから落ちそうな状態でしたが、なんとか無事でした。隣にすわっていた中国人の兄ちゃんが寝てる間に一生懸命何かやっていたみたいです。だから、空港で一夜過ごすなんて怖くてできないです。でも、面白そうですね^^

    1. がおぶさん、おはようございます。旅人@中国旅行一筋30年です。
      20年くらい前ですが、広西で夜行寝台バスに乗っている最中に荷物を盗られたことに気づき、バスを途中で停めたことがありました。
      監視カメラが方々に設置されて、犯罪抑止になっておりますが、体験談で触れられたような古典的な盗難は今でも起きる話です。
      私もリスクを感じながら夜を過ごしておりまして、空港で一晩明かすことも当然ながら自己責任であります。
      もちろん、一番大切なもの、その次に大切なものは肌身離さず持ち歩いています。

      1. takomaru より:

        こちらの記事で紹介されていた浦東国際空港T2の1階のベンチですが、2025年5月22日現在、全て撤去されておりました。代わりに僅かながらの丸いベンチが置いてあるのみで、記事の写真のように広々と寛げる状態ではありません。浦東国際空港T2で夜を越される方は2階以上のベンチを利用するしかないことを知っておいたほうがいいと思います。

        1. 最新情報、ありがとうございました。
          これは重要情報です。これから浦東空港での空港泊は厳しくなりそうです。

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