格安航空券の隠れ費用:燃油サーチャージと賢い航空券を選ぶコツ

旅費節約の鍵を握る格安航空券と燃油サーチャージの知識。具体例を交えて、格安航空券の料金体系、サーチャージの相場、燃油サーチャージ不要な航空会社など、お得に旅行するための情報を分かりやすくまとめました。

格安航空券と燃油サーチャージの関係

格安航空券をいかに安く購入するか。海外旅行をする際のポイントです。中国でも同じ。具体例を示して、安い航空券を探す方法にも繋がります。

その中で、燃油サーチャージが大きな要素となることは間違いありません。長距離であればあるほど片道5万円以上、近場のアジアでも1万円以上要します。

どの程度、格安航空券の料金に影響しているのかを見ていきましょう。

実例解説(2024年9月出発)

では、こちらでは例を挙げて、格安航空券の値段と燃油サーチャージの関係について詳細解説をします。

通常シーズンの週末に、大阪・関西国際空港から中国上海浦東国際空港への往復、2024年9月6日(金)出発、9月9日(月)帰国、3泊4日の日程で、7月21日に最安価格帯の航空券を検索しました。

各社運賃構成は様々

結論から申し上げますと、燃油サーチャージと運賃設定が航空会社により異なるため、その都度、格安航空券の運賃比較をすべきです。

では、各社の実例を挙げて、どのような構成なのか、実際に見ていきましょう。価格検索に利用したのはTrip.comです。他にもありますので一例とお考え下さい。

往復:春秋航空(スプリングジャパン)

以外にも、最安の航空会社は春秋航空でした。

  • 合計 21,540円
  • 運賃 4,160円
  • 税金・燃油サーチャージ 17,380円

往復:ピーチ(Peach)

2番目に安いのはピーチでした。

  • 合計 33,080円
  • 運賃 28,560円
  • 税金・燃油サーチャージ 4,520円

往路:厦門航空 復路:春秋航空

ピーチに僅差で続くのは、同じ航空会社での往復ではなく、組合せでした。一番上にあるスケジュールのフライトを選択すると最も安くなりました。

  • 合計 33,430円
  • 運賃 11,950円
  • 税金・燃油サーチャージ 21,480円

往復:中国東方航空

もう組み合わせが多すぎて、順位付けが不可能になりました。次は、中国系航空会社で上海を拠点とする中国東方航空の単純往復です。利用する便によって料金が変わってきます。

  • 合計 44,240円
  • 運賃 15,910円
  • 税金・燃油サーチャージ 28,330円

往復:全日空(ANA)

日系航空会社の運賃も出しましたが、他社とは運賃で大きく差が出ています。

  • 合計 68,120円
  • 運賃 39,000円
  • 税金・燃油サーチャージ 28,450円
  • 追加料金 670円

格安航空券の構成要素

事例に基づいて、運賃を表にまとめました。合計料金の違いには、運賃の差と税金・燃油サーチャージの差がのふたつに分かれます。それらの合計額が安い順に並んでいます。

合計運賃税金・燃油
サーチャージ
追加料金
往復:春秋航空(スプリングジャパン)21,540円4,160円17,380円
往復:ピーチ(Peach)33,080円28,560円4,520円
往路:厦門航空 復路:春秋航空33,430円11,950円21,480円
往復:中国東方航空44,240円15,910円28,330円
往復:全日空(ANA)68,120円39,000円28,450円670円
各社運賃一覧 24/09/06発 09/09着 大阪-上海

具体的な項目を深掘り

性質で①②③に分けました。項目としては存在しますが、サイトによっては、合計額は分かっても、これらの内訳が明確に分からない場合があり得ます。

① 各社により差がでる項目

  • 航空運賃
  • 燃油サーチャージ

燃油サーチャージは別項で解説していますが、ANAですと片道10,500円×2=往復21,000円です。

② 各航空会社何れも同一価格

  • 中国国際線出国税

中国国際線の出国税は90元(約1,800円)です。

③ 発着するターミナルビルにより異なるケース

  • 関西国際空港使用料・サービス料

関西国際空港の旅客サービス施設使用料と旅客保安サービス料で第1ターミナルビル(T1)は3,100円、第2ターミナルビル(T2)は約半額の1,570円です。

②+③の合計額は約4,900円又は3,400円。

金額差があり、これ以上の内訳が分からないのですが、ピーチの4,520円はこれらが含まれているものと思われます。ピーチと春秋航空は関西空港ではT2発着です。

いかにして安い航空券をゲットするか?

今回の事例を見て、格安航空券の値段について言えることとしては、次のとおりとなります。

  • 航空会社各社による運賃や料金設定がかなりまちまちであること。
  • 燃油サーチャージが安いからトータルが安いとは限らない。

燃油サーチャージとは?

続いて、燃油サーチャージとはどういった性質の費用なのかを解説します。

正式には「燃油特別付加運賃」といいまして、通称や略称として「燃油サーチャージ」や「サーチャージ」という言葉がよく使われています。

世界的な原油価格高騰により、航空会社だけでは吸収できなくなったため、このような運賃を2005年に設けたのが始まりで、今もなお続いています。

燃油特別付加運賃とは、原油価格の高騰に伴い、企業努力で吸収しきれない航空燃料費用の一部をお客様にご負担いただく追加運賃のことです。本来、航空燃料費用は航空運賃に含まれるべきものですが、航空燃料価格の不安定な変動に対応するため、またお客様にわかりやすく提示させていただくため、通常の運賃とは別に収受させていただいております。(ANAホームページより)

サーチャージの適用

料金の適用は航空券の発券時点となります。別の言い方をすれば、購入時点、予約確定時点とお考えてください。

マイレージで発行する運賃無料の特典航空券を発券する場合に必要となります。

大半の航空会社は燃油サーチャージが必要

中国系も韓国系も基本的にサーチャージは必要で、日本発であれば金額は同じです。ピーチのように不要なのは例としてはまれです。

マイレージの国際線航空券も同様です。2023年11月にANA国際線特典航空券のキャンセル待ちを始めて、各種費用合計が2万円ちょっとだったのが、12月に入り3万円超えとなりました。6千円の値上げだけかと思ったのですが、高くなった感じがしてなりませんでした。

各航空会社のホームページには必ず燃油サーチャージについて記載があるはずです。搭乗予定の航空会社のWEBをぜひご覧ください。

サーチャージはいくら?

2024年8月1日から2024年9月30日ご購入分までは次のとおりで、前回の6月1日から7月31日までと変更はありません。

国・地域 都市サーチャージ(前々期比)
欧州・北米(ハワイ除く)・中東・オセアニアニューヨーク、ロサンゼルス、ロンドン35,000円(+2,000円)
ハワイ・インド・インドネシアホノルル、ジャカルタ22,500円(+1,500円)
タイ・シンガポール・マレーシア・ミャンマー・カンボジアバンコク、クアラルンプール18,500円(+500円)
ベトナム・グアム・フィリピンホーチミン、マニラ12,000円(+1,000円)
東アジア(韓国を除く)北京、上海、広州、香港、台北10,500円(+500円)
韓国・ロシア(ウラジオストク)ソウル、プサン4,000円(+500円)
24年8月~9月発券分のサーチャージ

2024年4月1日から5月31日までは少し安かったのがこの表で分かるかと思います。

国・地域 都市サーチャージ
欧州・北米(ハワイ除く)・中東・オセアニアニューヨーク、ロサンゼルス、ロンドン33,000円
ハワイ・インド・インドネシアホノルル、ジャカルタ21,000円
タイ・シンガポール・マレーシア・ミャンマー・カンボジアバンコク、クアラルンプール18,000円
ベトナム・グアム・フィリピンホーチミン、マニラ11,000円
東アジア(韓国を除く)北京、上海、広州、香港、武漢10,000円
韓国・ロシア(ウラジオストク)ソウル、プサン3,500円
24年4月~5月発券分のサーチャージ

燃油サーチャージ不要な数少ない航空会社

Peach(ピーチ)は、国際線につきものの燃油サーチャージが不要で航空券を購入することができる数少ない日本版LCCです。

例えば、2023年12月7日~10日まで行われていた「76時間限定セール」では、同月16日から2024年2月29日まで2ヶ月半を対象期間で、燃油サーチャージ不要、空港使用料、各種手数料などは必要です 。

例えば、中国線ですと、東京-上海、大阪-上海がセールの対象でした。

関西―上海浦東 10,990円
羽田―上海浦東 14,390円

サーチャージ不要となると、片道1万円弱が往復分、×2不要となるので、大きいように見えますが・・・。

これだけで最安だと判断できないのが奥深い話です。

ピーチ以外にサーチャージ不要な航空会社

アジアではシンガポール航空が運賃に含まれるという位置付けです。全部込みの航空券代金によってはお得感を感じるケースがあるのではないでしょうか。

燃油サーチャージの値動き

燃油サーチャージは2023年12月に大幅に値上がりしました。東アジア行きの片道ですが次の通りです。

2023年12月~2024年1月発券 11,500円(+3,000円)
2023年10月~11月発券 8,500円

往復で3,000円値上げですが、ばかになりません。

ちなみに、2023年8月~9月の燃油サーチャージは7,000円でしたので、当時と比べたら片道4,500円、往復9,000円違ってきていますので大きいのではないでしょうか。

ピーチで購入すれば、羽田発上海往復が28,780円+空港使用料など約1万円程度で、往復23,000円の燃油サーチャージが要らないので、実質4万円程度で上海へ渡航できます。

関連リンク

まとめ ~最新情報はこまめに収集~

いずれにしましても、情況が変化する場合があります。航空会社のホームページや問い合わせ窓口、代理店などに最新情況を確認して、往復の国際線航空券の手配をお決めになられることが肝要かと思います。

作者プロフィール

旅人@中国旅行一筋30年
旅人@中国旅行一筋30年ブログサイト「中国旅行ドットコム」運営者
1991年から30年間で70回以上の中国訪問歴を有するベテラン旅行ブロガー。

中国旅行に興味がある方や個人旅行を計画している方、中国のリアルな姿を知りたい方向けのブログサイト「中国旅行ドットコム」を運営。

新型コロナウイルス後の中国旅行に対応した最新情報から、大都会の路地裏から田舎の町や村まで足を運ぶ、ツアーでは決して体験できない独自の旅行スタイルを持つ。

【個人旅の実績】 訪問した省・市・自治区:32(残1) 訪問地:200以上
【印象に残る旅のエピソード】 数え切れず
【撮影した写真】 45,000点以上

安宿に泊まり、長距離バスや夜行列車などのローカルな移動手段を使って、現地の人々と触れ合い、肌に感じる旅をして、リアルな中国渡航情報を発信中。

1日100元以内での滞在に挑戦するなど、旅の費用を抑える工夫が得意。独自の旅のノウハウを有し、海外モバイル経験も長く、ANA陸マイラーでもある。

ブログをご覧になられた読者との交流も大切にしており、ほぼ毎日質問がきて、いただいた情報をブログや動画に反映している。メーリングリスト立ち上げなど、新しい取り組みも行っている。

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