上海浦東空港と虹橋空港を40分で直結!連絡鉄道が開通

上海の2つの空港、浦東国際空港と虹橋空港を高速で結ぶ鉄道が2024年12月に開通し、市内へのアクセス方法が増えて便利になりました。

浦東空港から虹橋空港など上海市中心部のうち西部へのアクセスが便利になりました。虹橋空港手前の中春路駅で乗換えすれば地下鉄への乗換えが便利です。

単純に浦東空港から虹橋空港までは直行でも、地下鉄や空港バスで1時間半(90分)必要でしたが、その半分以下の所要時間となりました。

渡航者の利便性がアップ

上海空港連絡線開通で旅行やビジネスなどでの上海を訪問する人たちにとってどのようなメリットは次の5点あります。

  • 浦東・虹橋空港間の乗継ぎの利便性が向上
  • 両空港への移動時間短縮
  • 虹橋地区へスピーティーに移動
  • 蘇州など江蘇省へのアクセスが便利に
  • 中国西部、南部への鉄道移動が容易に

空路アクセスが良くなるだけでなく、上海虹橋駅は高速鉄道駅ですので、乗り継ぎによって華中、華南、西北地区への移動が便利となります。

また、スピード優先での江蘇省への移動も便利になります。タクシーですと何百元で済むどうか料金が非常に高く、蘇州といった江蘇省の近郊都市への移動は、虹橋から地下鉄の乗継ぎやバスでの移動が便利です。

関連しているトピックが記載された記事が複数ありますので、併せて参考にしていただければ幸いです。

連絡線利用が適さないケース

立地の関係でアクセスに使えないケースが次の5点あります。中心部を通らない空港連絡線の弱点でもあります。

  • 上海市内中心部へ早くアクセスしたい場合
  • 安く移動したい場合
  • 観光に行きたい場合
  • 上海南駅や上海駅へ直行したい場合
  • 人ごみにまみれて上海を満喫したい場合

少しでも安く便利に移動したい場合や現地の人たちの生活感を体感したいのであれば、地下鉄を利用することをお勧めします。

空港連絡線概要

この路線は「空港連絡線」(机场联络线)とも呼ばれまして、どのような鉄道かの概要については次のとおりです。

  • 2024年12月27日に開通
  • 全長68.6km(開通済区間は59km)
  • 設計時速160km/hで高速運行可能
  • 市内3つの区(浦東新区、徐汇区、闵行区)に跨る路線
  • 7駅(全9駅のうち2駅は未開通)
  • 上海市最初の”市域鉄道”

”市域鉄道”上海地下鉄のネットワークの一部を成す軌道交通に位置付けられていますので、地下鉄と同様、途中駅間の利用が可能です。

浦東国際空港と虹橋国際空港の間には7駅が設けられ、最高時速160km、40分で結ばれています。

連絡線の正式名称

空港連絡線の正式な路線名の表記は中国語と英語があります。日本語で中国語の意味を説明しますと、大都市中心部と郊外を結ぶ軌道交通を指します。

  • 市域机场线(shìyù jīchǎng xiàn) 
  • Airport Link Line

英語からは空港間を結ぶ意味が強く、対象により表現を変えていますので、中国語と意味合いが違います。名称を直訳にしないことで利用者に対するアプローチを変えていることが見えてきます。

設置目的

上海市政府の意図として、市民向けの交通利便性向上のための中距離運輸を担う交通手段という位置付けがあります。

具体的には、郊外に立地する区(区に属する小さな町を含む)と市中心部の各地区を結んでいる路線です。

上海空港連絡線と地下鉄との接続関係

空港間直結の鉄道に見えるのは一面に過ぎず、上海市の交通ネットワークが強化されたという流れです。

周辺との立地関係

空港連絡線の起点と終点を結んだ線を図示したものです。途中、上海のどこを通っているのか大まかな地理的な位置ですが、中心部を避けているのが分かります。

周辺の主要観光ポイントの位置をマーキングしましたので、イメージしやすくなりました。

豫園、外灘、南京路、浦東の東方明珠テレビ塔など、上海の有名な観光地へのアクセスは残念ながらよくありません。

上海ディズニーランドも地図上は近いように見えますが、距離は1.2km程あり、入口がすぐ目の前ではありません。七宝古鎮も同様です。

利用者

利用者層は大きく二つに分かれます。

  • 空港間を直行で移動する人々
    (外国人や上海以外から来た中国人)
  • 郊外在住者
    (松江など西部、南部にある区に在住する上海市民)

中国語の各種情報を総合しますと、空港間の移動手段だけでなく、広域的な通勤路線としての位置付けがあります。

通勤客の一部は職場へのアクセス時間が短くなるので利用する人がいますので、スーツケースを持っている旅行客やビジネス客以外にも地元利用者も乗車します。

停車駅

空港連絡線の途中にある駅は9駅のうち7駅が開通済で、2駅は延伸された際に営業開始予定です。空港両駅では地下鉄2号線に乗り換えできますが、乗換可能な駅は少ないです。

各駅にはトイレや多目的トイレが設置されていたり、車いすでの移動にも対応しています。

駅名リスト

空港連絡線の駅は9つありますが、7駅は開通済です。現在の起点は浦東空港です。

  • 上海東(未開通)
  • 浦東3号楼航站楼(未開通)
  • 浦東1号2号航站楼(現在の始発駅)
  • 上海国際旅游度暇区
  • 康橋東
  • 三林南
  • 景洪路
  • 中春路 【改札内乗換可能】
  • 虹橋2号航站楼

下線駅名の補足ですが、「浦東1号2号航站楼」は浦東国際空港ターミナル1(T1)、ターミナル2(T2)のことで、「虹橋2号航站楼」は虹橋国際空港ターミナル2(T2)を指します。

アクセスの特徴

空港連絡線は、上海での観光に使える駅は多くなく、空港間のアクセス又は地下鉄路線がない地区へのアクセス鉄道です。

駅間距離が長いのですが、横へ一直線の路線なので、生活利用も見込まれますので、現地住民の利用状況の増加により、混みあうこともあります。

「出站换乘」と表記がある駅と路線がありますが、駅改札を出て乗り換えするという意味です。駅構内で乗り換えができないため不便な面もあります。

浦東空港から上海東站までの灰色部分の線は未開通部分です。

上海東駅とは?

浦東空港の西側に位置する、上海市域からすると東側の浦東地区に位置する駅なので”上海東駅"といいます。

空港と鉄道が一体化するとのことで、虹橋空港での鉄道への乗り換えよりも短時間できるように設計される見込みです。

ただ、上海の他の高鉄駅との役割分担の関係で、浦東空港から華北の都市へ行けるとは限りません。方面別発車体制を採る可能性が高いと踏んでいます。

所要時間

浦東空港T2から虹橋空港T2までの所要時間は45分です。これは徒歩も含めたものです。

空港連絡線の運転時間としては39分です。次の運行時間の時刻表をご覧いただけると具体的に分かります。

運行時間

6:00~22:00が運行時間です。到着時刻が午後10時以降のフライトや到着に遅延が生じますと乗ることができませんので注意が必要です。

浦東空港始発時刻は午前6時です。虹橋空港の始発も同時刻です。最終は何れも夜22時です。

運行間隔

15分毎で運行されています。

浦東1号2号航站楼駅からの行先は虹橋2号航站楼駅、虹橋2号航站楼からの行先は浦東1号2号航站楼駅です。

車両編成

4両編成又は8両編成何れかです。

運賃

空港連絡線は区間ごとの距離制の運賃を採用しています初乗りの最低運賃(初乗り運賃)は4元(80円)で、浦東虹橋両空港間は26元(520円)で移動できます。

交通ICカードやスマホアプリ ”随申行” ”上海公共交通乗車吗” 利用者に適用されます。

乗継運賃

一旦改札を出て120分以内のバスへ乗り換えする場合は、地下鉄運賃から1元割引となります。

運賃通算

同じ駅の改札内で乗り換えする場合は通しの運賃が適用されます。開通時点では中春路のみ有効です。

割引運賃

また、軌道交通(地下鉄)1ヶ月の利用合計70元以上となるとその後の運賃が1割引きとなります。

車内

車内ですが、北京の空港からの地下鉄路線と同様に空港からの利用者を想定した車両となっています。上海地下鉄のようにロングシートのみではないので居住性は悪くありません。

スマートフォンでの充電ができるところがあります。座る位置にもよります。5V×2.1Aですので10W出力の充電に対応しています。USB Type-A ケーブルが必要です。無線充電も対応しています。

空港で乗車するには

日本人が空港連絡線を利用する場合は、浦東空港や虹橋空港が多くを占めると見受けられます。

浦東空港

駅はT1(ターミナルビル1)とT2(ターミナルビル2)の間に位置します。場所的にはT1寄りですがほぼ真ん中ですのでT2からすごく遠いということはありません。

出入口は6ヶ所です。2階から改札へ向かいます。T1、T2何れターミナルビル内の案内表示があるので、それに従って移動すれば迷うことはありません。

虹橋空港

第2ターミナルの地下1階の美食街両側に連絡線の改札、北改札、南改札ふたつがあります。出発エリア11号、12号入口付近にも入口があります。

乗車券

乗車券ですが、地下鉄と同様に、自動券売機では現金での購入に対応しています。アリペイのミニアプリ(乘车码)や随申吗、交通ICカードにも対応しています。

空港から上海市内への移動手段

浦東空港や虹橋空港から上海市内中心部へのアクセス方法ですが、連絡線以外のライバルとなる交通機関は多数あります。

どの手段を活用するかは、利便性や所要時間、運賃・料金のバランスが取れるかどうか次第です。

中国での交通機関の利用方法については次のブログ記事で詳細に解説しています。

空港バス

「机場一線」が浦東虹橋両空港間を運行しています。所要時間は95分、運賃は36元(720円)です。

荷物が多い場合や連絡線が運行されていない早い時間や遅い時間に利用する価値があります。

残念な情報ですが、開通後、浦東空港から虹橋空港へ歯26便から14便に虹橋空港から浦東空港へは日31便から17便にそれぞれ減便されました。1時間に1本程度の運航頻度です。

浦東空港の場合は、空港連絡線の運航が終わった22時~23時までの間には集中して3便があるため、利用価値が高いです。

地下鉄で直行できない場所とのアクセスが便利な場合がありまして、スーツケースといった大きな荷物を持って移動するのは不便なので、使い勝手次第では活用できる余地はあります。

地下鉄

浦東虹橋空港間の移動は地下鉄も使えます。乗換駅が多く、旅行やビジネスで行く所であれば大抵アクセスできます。

地下鉄2号線は各駅停車ですので、バスと同じくらい1時間30分程度の時間がかかりますが、運賃が8元(約160円)と安いのが大きなメリットです。

途中駅は上海市内中心部を貫く形となりまして、乗換駅が多く、乗降客がものすごく多いです。荷物の管理には気を付けてください。

アクセスネットワーク図

運営会社が作成した空港連絡線を含めた上海地下鉄の路線図を見れるようにしておきますので、市内へのアクセス検討の参考としてください。

路線バス

上海市内各地を縦横無尽に路線が設置されていて、使いこなすと大変便利です。地下鉄ですと乗り換えが必要な場合でも、路線バスなら1本で直行できることがあります。

今は路線図が売っていないため、地図アプリやサイトでの検索で代替して使いこなすことできます。

タクシー

DIDIといった配車アプリが日常使われるようになり、流しのタクシーをつかまえづらくなったとされますが、ドアツードアでの移動には最適の移動手段です。

WEBサイト版の百度地図で検索しますと所要時間はどのルートでも1時間で料金は204~219元、だいたい200元(4,000円)強と考えてください。都市高速道路を通りますので、高速料金が別に必要で、一緒に請求されます。

他の公共交通機関に比べると料金が高いので、安く移動したいというニーズには応えられません。どこでもアクセスできる便利さを求めるのであれば一択となります。

リニア

浦東国際空港から浦東地区北部の龍陽路まで、途中400km以上の時速で走っていますが、アクセスが中心部まで及んでおりません。

上海に来た記念や試しに乗車するといった使い方は十分OKですが、移動手段として考えるのは余り現実的ではありません。

高鉄(高速鉄道)

いわゆる高速鉄道のことですが、連絡鉄道も地下鉄とは別路線で高速に走るので高速鉄道の一種と言えますが、一般的には、都市間を結ぶ長距離鉄道のことを指します。

上海市内からは「上海」、「上海南」、「上海虹橋」各駅が3大ターミナル駅で、「上海東」駅が開設予定です。

日本からアクセス便利な浦東国際空港に隣接する高速鉄道の駅がなく移動先によって別の高速鉄道の駅へアクセスしなければなりません。

深夜、空港に到着した場合は?

中国語の呼び方を覚えるかメモすることをお勧めします。正式には「守航夜宵线」ですが、次の表現で十分に通用します。

守航线(夜宵线)shǒuhángxiàn(yèxiāoxiàn)

深夜バス

上海空港連絡線や地下鉄2号線が運行されていない深夜23時から翌朝午前5:30まで浦東空港と虹橋空港間を結ぶバス路線が運行されています。詳細情報は次のとおりです。

  • 運行時間 23:00~翌日5:30
  • 発着地 浦東空港:1号航站楼、2号航站楼
    虹橋空港:虹桥枢纽东交通中心
  • 運賃 18元~34元
  • 運行間隔 最長30分間隔(乗客の数により変動)
  • 経由地 龙阳路芳甸路、世纪大道地铁站、延安东路浙江中路、延安中路华山路、延安西路虹许路

今後の延伸計画

連絡線の東の終点は「上海東駅」(上海东站)です。虹橋空港に隣接する高速鉄道駅と同様の機能を持った駅が建設予定です。

上海東駅は2027年7月に開通する見込みとなっておりまして、T1(ターミナル1)から5km程離れた位置になる予定ですが、できると大きなインパクトになることは間違いありません。

まとめ

2024年末に完成した上海空港連絡線。両空港への移動が速く便利になっただけでなく、空路や鉄道での移動にも使える手段として活用できます。

旅行や仕事などで渡航する皆さんが活用できる方法も紹介しましたが、応用がきく移動手段となること相違ありません。

作者プロフィール

旅人@中国旅行一筋30年
旅人@中国旅行一筋30年ブログサイト「中国旅行ドットコム」運営者
1991年から30年間で70回以上の中国訪問歴を有するベテラン旅行ブロガー。

中国旅行に興味がある方や個人旅行を計画している方、中国のリアルな姿を知りたい方向けのブログサイト「中国旅行ドットコム」を運営。

新型コロナウイルス後の中国旅行に対応した最新情報から、大都会の路地裏から田舎の町や村まで足を運ぶ、ツアーでは決して体験できない独自の旅行スタイルを持つ。

【個人旅の実績】 訪問した省・市・自治区:32(残1) 訪問地:200以上
【印象に残る旅のエピソード】 数え切れず
【撮影した写真】 45,000点以上

安宿に泊まり、長距離バスや夜行列車などのローカルな移動手段を使って、現地の人々と触れ合い、肌に感じる旅をして、リアルな中国渡航情報を発信中。

1日100元以内での滞在に挑戦するなど、旅の費用を抑える工夫が得意。独自の旅のノウハウを有し、海外モバイル経験も長く、ANA陸マイラーでもある。

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