中国行き格安航空券の《隠れ費用》~燃油サーチャージ~
中国へ行くときに購入する格安航空券に含まれる燃油サーチャージ。避けられない費用なのでしょうか?
航空機の燃料高騰に伴い、乗客に負担を求める趣旨で『燃油サーチャージ』が設けられてから20年になります。区間ごと、つまり往復するなら片道×2を負担する必要があります。
実はこの負担を求めない航空会社が少ないながらもあることはご存じでしょうか?一方で、LCCで有名なエアアジアは燃油サーチャージを徴収しなかった時期がありましたが、復活した航空会社があります。
燃油サーチャージとは?
燃油サーチャージは、正式には「燃油特別付加運賃」といいまして、通称や略称として「燃油サーチャージ」や「サーチャージ」という言葉がよく使われています。
燃油特別付加運賃とは、原油価格の高騰に伴い、企業努力で吸収しきれない航空燃料費用の一部をお客様にご負担いただく追加運賃のことです。本来、航空燃料費用は航空運賃に含まれるべきものですが、航空燃料価格の不安定な変動に対応するため、またお客様にわかりやすく提示させていただくため、通常の運賃とは別に収受させていただいております。(ANAホームページより)
世界的な原油価格高騰により、航空会社だけでは吸収できなくなったため、このような運賃を2005年に設けられたのが始まりで、廃止されることなく今もなお続いています。
航空券価格との関係
国際線航空券の購入時に表示される部分の内訳を見て見ましょう。
国際線航空券 = 運賃 + 燃油サーチャージ +空港使用料
利用者全員が等しく負担しなければならないと思われるかもしれませんが、必ずしもそうではありません。
運賃が安くてもサーチャージが無料であれば、負担額が逆転する場合がありますが、利用区間や時期など条件によって異なります。
サーチャージの適用時点
適用は航空券の発券時点となります。別の言い方をすれば、購入時点、予約確定時点とお考えてください。
出発日が適用される時点ではないので間違えないように気を付けてください。
マイレージで発行する運賃無料の特典航空券を発券する場合にも必要となります。
大半の航空会社は燃油サーチャージが必要
中国系も韓国系も基本的にサーチャージは必要で、日本発であれば金額は同じです。ピーチのように不要なのは例としてはまれです。
マイレージの国際線航空券も同様です。例えば、ANA国際線特典航空券のキャンセル待ちを始めて、各種費用合計が2万円ちょっとだったのが、翌月に入り3万円超えとなりました。
6千円の値上げだけかと思ったのですが、高くなった感じがしてなりませんでした。確認したところ、サーチャージによる値上げが理由でした。
サーチャージの確認方法
各航空会社のホームページには必ず燃油サーチャージについて記載があるはずです。搭乗予定の航空会社のWEBをぜひご覧ください。
横断検索サイトや代理店の場合は、搭乗便を選択後、表示がされるケースが多いです。
燃油サーチャージ時期別一覧
日本発の日本円建ての燃油サーチャージの情報です。1区間毎ですので、往復の場合は2倍になります。
値動きは2ヶ月毎にあります。2024年6月から11月までのように半年間動きがない時期があると思えば、2ヶ月ごとに毎回上下がある時期もあります。
サーチャージ最新情報
最新は2025年4月1日~5月31日発券分です。ご覧のように、中国線ですと片道2,500円、往復5,000円の値上げとなります。
国・地域 | 主要都市 | サーチャージ ( )前期比 |
欧州・北米(ハワイ除く)・中東・オセアニア | ニューヨーク、ロサンゼルス、ロンドン | 36,300円 (+7,300円) |
ハワイ・インド・インドネシア | ホノルル、ジャカルタ | 23,100円 (+4,600円) |
タイ・シンガポール・マレーシア・ミャンマー・カンボジア | バンコク、クアラルンプール | 18,900円 (+3,400円) |
ベトナム・グアム・フィリピン | ホーチミン、マニラ | 12,100円 (+2,600円) |
東アジア(韓国を除く) | 北京、上海、広州、香港、台北 | 11,000円 (+2,500円) |
韓国・ロシア(ウラジオストク) | ソウル、プサン | 3,900円 (+900円) |
過去のサーチャージの値動き
中国線の燃油サーチャージの値動きです。時期によってかなりの幅があることを知っておくとよいのではないでしょうか。
- 2025年4月1日~2025年5月31日 11,000円
- 2025年2月1日~2025年3月31日 8,500円
- 2024年12月1日~2025年1月31日 7,000円
- 2024年6月1日~2024年11月30日 10,500円
- 2024年4月1日~2024年5月31日 10,000円
最低が7,000円、最高で25年4月からの11,000円ですので、片道4,000円の値幅があり、往復で最大8,000円となります。これを見ても旅行費用のなかで無視できないパートではないでしょうか。
燃油サーチャージ不要な航空会社
中国へ行く時に関係する航空会社のうち、燃油サーチャージが要らない航空会社は2社です。
- Peach(ピーチ)
- シンガポール航空
Peach(ピーチ)
国際線につきものの燃油サーチャージが不要で航空券を購入することができる数少ない日本版LCCです。上海、香港、仁川、金浦などへ就航しています。

例えば、「76時間限定セール」では、搭乗対象期間が2ヶ月半、燃油サーチャージ不要、空港使用料、各種手数料などは必要です 。中国線ですと、東京-上海、大阪-上海がセールの対象でした。
関西―上海浦東 10,990円
羽田―上海浦東 14,390円
サーチャージ不要となると、片道1万円弱が往復分、×2不要となるので、大きいように見えますが、これだけで最安だと判断できないのが奥深い話です。
シンガポール航空
Peach以外にサーチャージ不要な航空会社ですが、アジアではシンガポール航空が運賃に含まれるという位置付けです。全部込みの航空券代金によってはお得感を感じるケースがあるのではないでしょうか。

Air Japan
現時点では、バンコク、シンガポール、仁川が就航先です。時期や組み合わせる区間など、条件に寄りますが、訪問先に東南アジアを含めたりするのであれば、中国行きでも使える場合があります。
ZIP AIR
アメリカ路線が多いのですが、仁川、マニラ、バンコク、シンガポールへの運行があります。中国への直行便はありませんが、香港などへの就航があれば活用の余地があります。
特典航空券でサーチャージを無料に
特典航空券でも燃油サーチャージは必要ですが、次の二つのパターンであれば必要なくなります。ANAを例に解説します。
ANAでシンガポール航空の特典航空券
ANAのマイルを利用してシンガポール航空便を利用した特典航空券を発券すれば燃油サーチャージはその部分は不要です。
シンガポール航空でANAの特典航空券
例えば、ANA便で燃油サーチャージを無料にする技があります。先ほど紹介したシンガポール航空のマイレージでANAの特典航空券を発行する場合は、サーチャージは無料となります。
中国国内線の燃油サーチャージ
中国でも国内線に乗って移動するときは、日本と同様に燃油サーチャージが必要です。中国語は「燃料附加费」といいます。距離で料金が分かれています。
- 800km未満 20元(約400円)
- 800km以上 40元(約800円)

日本で発券した場合も発券先経由で徴収されます。
過去の値動きの激しかった頃の例を示します。
- 2024年10月 800km未満 10元 800km以上 20元
- 2023年 6月 800km未満 20元 800km以上 30元
- 2023年 4月 800km未満 30元 800km以上 60元
- 2023年 1月 800km未満 40元 800km以上 80元
- 2022年12月 800km未満 60元 800km以上 120元
国際線のサーチャージよりは高くはないですが、高い時期は結構な重みとなります。
国内線サーチャージをゼロにする方法
WEBで情報を得たのですが、中国の旅行系アプリを使わなければなりませんが、燃油サーチャージの割引券が出まわっています。

投稿によれば、ある中国国内線区間の格安航空券が941元なのが263元になるとのこと。数百元の割引だと計算が合わないような気がするのですが・・・。
燃油サーチャージを安くする方法
渡航費用を安くするため、燃油サーチャージを削減することができる方法がふたつあります。
- 搭乗区間を少なくして、できる限り単純往復にする。
- 燃油サーチャージのレートが安い期間に発券する。
(出発時期はその時期でなくてもよい)
まとめ
航空券代金の大きな部分を占めている燃油サーチャージ。経由地を工夫すれば、遠回りであっても、トータルの旅費が合理的な金額になる場合があります。
利用航空会社によってはサーチャージない場合が合ったり、限られますが特典航空券利用でも不要な場合があり、使えるケースがあります。
燃油サーチャージばかり見ていますと、全体経費がどうなのかが見えなくなりますので、あくまでもパーツの一部ということで俯瞰するとよいのではないでしょうか。
作者プロフィール

- ブログサイト「中国旅行ドットコム」運営者
-
1991年から30年間で70回以上の中国訪問歴を有するベテラン旅行ブロガー。
中国旅行に興味がある方や個人旅行を計画している方、中国のリアルな姿を知りたい方向けのブログサイト「中国旅行ドットコム」を運営。
大都会の路地裏から田舎の町や村まで足を運ぶ、ツアーでは決して体験できない独自の旅行スタイルを持つ。
【個人旅の実績】 訪問した省・市・自治区:32(残1) 訪問地:200以上
【印象に残る旅のエピソード】 数え切れず
【撮影した写真】 45,000点以上
安宿に泊まり、長距離バスや夜行列車などのローカルな移動手段を使って、現地の人々と触れ合い、肌に感じる旅をして、リアルな中国渡航情報を発信中。
1日100元以内での滞在に挑戦するなど、旅の費用を抑える工夫が得意。独自の旅のノウハウを有し、海外モバイル経験も長く、ANA陸マイラーでもある。
旅先での中国語会話を実践して、通じる中国語を教えることにも取り組んでいる。中国語に堪能でVIP通訳に従事したことがあり、訪日視察団のアテンドをしたことも。経験を活かして、コミュニケーション促進のための中国語も含め講師として教えて6年超。
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詳細は作者紹介をご参照ください。問合せはこちらまで。
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