まだ大丈夫!中国旅行や出張で《銀聯カード》を使いこなす徹底ガイド

「中国へ行くならキャッシュレス決済の準備は必須!」そんな声をよく耳にするものの、本当に現金なしで大丈夫なのか、どの決済手段がベストなのか、不安を感じる方もいるのではないでしょうか?

また、かつて中国で幅広く利用できた銀聯カードについて、「今はもう使えないのでは?」と疑問に思っている方もいるかもしれません。

この記事では、変化し続ける中国のキャッシュレス事情の中で、銀聯カードが今、どのような位置づけにあるのか、そして日本で銀聯カードを入手する方法から、現地での賢い使い方まで徹底的に解説します。

最新の情報と具体的な事例をもとに、あなたの中国旅行や出張がよりスムーズになるようサポートします。

銀聯カードって何?

「銀聯カード」(UnionPay・ぎんれん)は、中国で一番普及しているデビット機能があるカードです。

2002年に中国政府が主導して設立された運営会社により中国全土の銀行オンライン化が行われ、統一ブランドとしてつくられた由来があります。

全世界での発行枚数が90億枚を超えると言われており、世界中で使えるカードとなっています。

銀聯(UnionPay)ロゴ

中国人にとっては、クレジットカードは中国国内では普及していないことや、持ち出しできる外貨に制限があるため、その制限には入らないやり方として、銀聯カードで海外旅行先でキャッシングが利用されるようになりました。

決済の仕組み

銀聯カードの決済にはデビットカード方式とクレジットカード方式のふたつがあります。

デビットカード方式は、銀行口座に紐づけられていて、使用したらその分即時に銀行口座の残高から引落されます。

クレジットカード方式は、利用後、カード会社から後日請求されます。

厳しいが踏んばる銀聯カード

銀聯カードですが、こちらは中国人が銀行口座を開設すれば、漏れなくついている機能ですが、多くの店舗で決済端末取扱いを止める動きがあったことが影響しています。

コロナ後も決済できる店舗が減少している傾向はクレジットカードと変わりません。それでも駅の窓口で使えたりするのは、銀聯カードは中国での主要決済手段として認識しているからでしょう。

以前は使える所が多かったが・・・

中国国内で2,000万店舗に備えるPOS機で決済できる銀聯カード。クレジットカードと比べ、使える店はまだまだあって、不要だというまで落ちてはおりませんが、先行きは明るくないのが現状と言えます。

キャッシュカードの右下端には写真のロゴマークがカードにプリントされています。飲食店や店舗でも、スマホ決済と同様にこの表示がよく見かけられます。

銀聯カードは中国国内のクレジットカードのような扱いです。銀聯カードは使えてクレジットカードが使えない店があっても、その逆はありません。

北京のコンビ二店員「銀聯は使えないよ!」

コロナ後に中国へ旅行に行ったのですが、この銀聯が使えるところが減っているのではないかと肌で感じました。中国系でも大きなスーパーであれば使えたのですが、使えないと断られることが結構ありました。

北京のコンビニではローカル系ではほぼ使えませんでした。「7-11は使えるよ。」と現地の親切な若者に教えてもらいましたが、思った程使えない、限定されている感じがしました。

日本で入手可能な銀聯カード

中国で銀行口座を開設しなければ銀聯カードは入手できないというイメージがあるかもしれませんが、実際は日本でも銀聯カードの発行が可能です。2007年から日本の企業や日本に支店がある中国の銀行と提携して発行が始まりました。

方式により2種類ある銀聯カード

  1. デビットカード方式
    本項目で紹介しているのですが、中国国内では銀聯カードはデビットカードという位置付けです。この方式で発行するのは中国の銀行です。
  2. クレジットカード方式
    デビットカードはあまり利用されない関係で、日本ではクレジットカードとして発行する方式が広まりました。発行会社別に紹介していますがいずれもこちらに該当します。
日本で発行可能な銀聯カード

クレジットカードとは異なり審査がない又は厳しくないので、カードが作りやすいというメリットがあります。

① デビットカード方式の銀聯カード

デビットカード方式で発行できるのは銀行のみです。大きく、日本にある中国系の銀行と中国にある銀行に分かれます。

日本にある銀行

中国銀行中国建設銀行にある日本支店で口座開設をした個人向けにデビットカードが発行可能です。

デビットカード方式の銀聯カード
日本で発行可能なデビットカード方式の銀聯カード

いずれの銀行も日本にある支店が限られていて、口座をつくるハードルが高いのが難点です。

中国銀行の支店

  • 東京
  • 大阪
  • 名古屋
  • 横浜

中国建設銀行の支店

  • 東京
  • 大阪

中国各地の銀行

中国銀行、中国建設銀行、中国工商銀行、中国農業銀行など、各銀行で口座を開設して、キャッシュカードをもらうと、銀聯カードのマーク表示されています。これがデビットカード方式の銀聯カードです。

旅行者など一時滞在者でも発行が不可能ではありませんが、ハードルが高いです。言葉の問題、取り扱う支店やスタッフ次第となります。

② クレジットカード方式の銀聯カード

こちらでは発行会社別にどのようなブランドの銀聯カードを発行しているのか解説します。

三井住友カード

《三井住友銀聯カード》や《ANA銀聯カード》を発行しています。クレジットカードと同じように締切日があって、使用後に請求されるサービスです。デビットカード機能はなく、キャッシングはできませんので、クレジットカード的な扱いになります。

過去に発行側の事情で《三井住友銀聯カード》の申込を一時停止した時期がありました。

三井住友銀聯カード

親カード(クレジットカード)を保有している方の場合はオプションで追加発行する形態を採っています。単独で発行することも可能です。

ANA銀聯カード

クレジットカードのようにVポイントがつきますし、マイルへの移行も無料で出来ます。旅行前に1枚作っておいて損はありません。

九州カード

三井住友カードと連携して《九州銀聯カード》を発行しています。カードの内容は《三井住友銀聯カード》と変わりありません。

九州銀聯カード

三菱UFJニコス

《MUFG銀聯カード》はMUFGカード保有者限定で発行できます。ない場合は、MUFGカードの発行が必要です。提携先によっては発行できない場合があります。

海外利用時のポイントが2倍となります。キャッシングサービスが使えないのはは、他社発行の銀聯カードと同様です。

三菱UFJニコス銀聯カード

JAL

《JALアメリカンエキスプレスカード》の会員がオプションで取得できるもので、発行元が三菱UFJニコスですので、その内容は《MUFG銀聯カード》と変わりありません。

Trip.com

中国のオンライン旅行会社(OTA)Ctrip.comの外国版といえばいいのでしょうか、ホテル、航空券、列車の切符などをオンラインで販売していて、《Trip.comグローバルカード》を発行しています。

Trip.comグローバルカード

日本で銀聯カードを作る方法

例として「三井住友銀聯カード」を挙げます。このカードは、三井住友カード会員でなくても作成可能です。WEBでの入力不備がなく、発送方法を書留を選択した場合は最短1週間後に自宅に届きます。

発送方法を特定記録を選択することをお勧めします。ポスト投函されるので、土日祝は届きません。急ぎの場合は、状況によりますが、次の窓口へ相談可能です。

三井住友カード
 発行案内デスク 06-6223-6628 年中無休10~17時
  担当部署直接なので話が早い
 入会案内デスク 0120-816-437 年中無休10~17時
  全般的な窓口なので取り次ぎとなります

実際の発行した方の事例

知人の話ですが、「以前に解約して三井住友カード持っていなかったのですが、オンラインで申込みをして、1時間ですぐ送りますとメールがきた。」とのことでした。

筆者が発行した銀聯カード

私も10年くらい前から銀聯カードを使用していますして、三井住友カードを通じて発行した銀聯カードを中国で使っています。

有効期限は5年で、クレジットカードと同じ後払い形式ですので、高額の決済に向いています。使い勝手や事務処理手数料が必要なのは日本のクレカと同じです。

手数料

銀聯カードの手数料は、基本的にクレジットカードと同じ仕組みです。決済時の人民元に運営会社の銀聯国際が決めた決済用の為替レートを掛け合わせます。

【例】100元利用した場合 100元 × 20.743 = 2,074円

中国国内での銀聯カード利用場面

日本で発行されたクレジットカード方式の銀聯カードは、現地では、銀聯カードのロゴマークが表示されている店舗では使用可能ですが、インターネットショッピングはNGです。

銀聯カードを活用できる有用なシーン

長年、中国を旅をしてきて、銀聯カードにお世話になっていますが、その経験から言える、支払いに適した場面を例示します。

① 高額決済

他のキャッシュレス決済では、200元以上の消費は別に決済毎に3%で手数料が生じるのですが、銀聯カードにはそれがありません。

② 長距離移動

コロナ前から使えるだけあって、公共交通機関では普及してて、航空券や鉄道の切符、バスの乗車券を購入に便利な決済手段です。

  • 鉄道、高速鉄道
  • 国内線
  • 長距離バス

③ 宿泊

ランク、星の数を問わず、星なしも含めて、多くのホテルで銀聯カード対応が多いです。個別には、OTAといったホテル予約サイトの各ホテルの支払い方法をご確認ください。

決済手順

クレジットカードと同じような使い方で、店舗での決済することが可能です。その具体的な順番は次のとおりです。

  1. カードを提示してPOS機でスキャン
  2. 決済金額を確認
  3. 暗証番号(00+最初に指定した4桁の数字)を入力し、実行キーのボタンを押す。
  4. 伝票が出力されますので、金額を改めて確認して、サインをする。

店によっては暗証番号の入力が不要なケースがあります。

取引為替レートの確認方法

銀聯カードを使うと日本円と中国人民元のレートがいくらなのか、運営会社の銀聯国際のサイトには取引時の為替レートの計算ができるWEBページがあります。

他の国際ブランドと同様に決済毎に適用される為替レートがあります。適用される時点は、取引日である場合と決済日となる場合があり、決済データ送信の関係でタイムラグが生じる場合があります。

銀聯カード 為替レート計算ページ

現地では元で決済しますが、日本円の為替レートは毎日北京時間午前11時に更新されます。

銀聯カードの決済事例

中国の鉄道駅で列車の切符を買ったり、長距離バスターミナルでバスのチケットを購入するときに三井住友銀聯カードを使うことができました。

河北省滦县駅の切符売場で、銀聯カードとアリペイ(支付宝)の決済が対応可能。[2017年5月]

比較的決済額が大きいものに使っていますし、少額でも日本のクレジットカードと同様にポイントが貯まりますので、銀聯のロゴマークがあった場合は、現金を使わずに銀聯カードで決済していました。

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筆者情報

旅人@中国旅行一筋30年
旅人@中国旅行一筋30年ブログサイト「中国旅行ドットコム」運営者
1991年から30年間で70回以上の中国訪問歴を有するベテラン旅行ブロガー。

中国旅行に興味がある方や個人旅行を計画している方、中国のリアルな姿を知りたい方向けのブログサイト「中国旅行ドットコム」を運営。

大都会の路地裏から田舎の町や村まで足を運ぶ、ツアーでは決して体験できない独自の旅行スタイルを持つ。

【個人旅の実績】 訪問した省・市・自治区:32(残1) 訪問地:200以上
【印象に残る旅のエピソード】 数え切れず
【撮影した写真】 45,000点以上

安宿に泊まり、長距離バスや夜行列車などのローカルな移動手段を使って、現地の人々と触れ合い、肌に感じる旅をして、リアルな中国渡航情報を発信中。

1日100元以内での滞在に挑戦するなど、旅の費用を抑える工夫が得意。独自の旅のノウハウを有し、海外モバイル経験も長く、ANA陸マイラーでもある。

旅先での中国語会話を実践して、通じる中国語を教えることにも取り組んでいる。中国語に堪能でVIP通訳に従事したことがあり、訪日視察団のアテンドをしたことも。経験を活かして、コミュニケーション促進のための中国語も含め講師として教えて6年超。

ブログをご覧になられた読者との交流も大切にしており、いただいた質問に対応したり、いただいた情報をブログや動画に反映している。

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