旅人視点で語る《中国短期ビザ免除》徹底活用法!

旅行者という独自目線で、中国ビザ無し旅の提案や注意点を詳しく解説。現地を存分に楽しむために知っておくと良い情報をお伝えします。中国ビザ免除を活用すれば、思い立ったタイミングで中国を訪れることが可能です。

ついに実現!日本人の中国ビザ無し渡航

駐日中国大使館は2024年11月22日付の通知で「24年11月30日から日本を対象に短期滞在ビザ免除措置を実施する。」と発表がありました。

あくまでも中国側による一方的な施策であることがポイントです。手続の煩雑さから解放され、日本人がスムーズに中国へ行くことができ、現地滞在を楽しむことができます。

中国渡航者の負担が大幅減!

ビザ申請費用、証明写真代金、往復交通費といった費用負担だけでなく、中国ビザ申請センターや総領事館へ行くための時間、人によっては仕事などを有給休暇を取得して、休んで行かなければならないため、皆さんのとって大きな負担になっていたはずです。

名古屋中国ビザ申請センター入口
ビザ申請センターや総領事館へ行く必要がなくなりました

ビザ免除により、申請費用が不要となったり、東京、名古屋、大阪のビザセンターや札幌、新潟、福岡、長崎の総領事館を2度往復する必要がなくなりました。

特に、申請場所の所在地から離れている地方在住の皆さんにとっては、このメリットは絶大です。

中国行きを思いとどまっていた皆さんへ

コロナ禍が過ぎて海外旅行が解禁となった後でも、中国への旅行や業務渡航は不調が続きました。中国は近くて遠い国となってしまいました。

ビザ取得が不要となったことで、他のビザ不要の国と同様に、中国への渡航が簡単になりました。これを機会に中国へ行くことを考えるきっかけになれば幸いに思います。

ビザ免除の背景に関する情報

背景に関して知りたい方は別の記事 【独自解説】中国ビザなし渡航に関する動きとメディア報道 がありますのでぜひどうぞ。

短期滞在ビザ免除の”4大”メリット

では、中国ビザ免除が実際にどのようなプラスをもたらすか、具体的なビザ無しで渡航できるメリットを4つの視点で解説します。

  1. 柔軟性 ~計画が立てやすい~
  2. 瞬発性 ~すぐに出発できる~
  3. 経済性 ~安い時を選ぶことができる~
  4. 長期性 ~2週間から1ヶ月の旅行ができる~

① 柔軟性

一番大きなメリットは、訪中予定が立てやすいことです。計画しやすくなり、敷居が低くなったことが実感できるのではないでしょうか。

ベトナムやミャンマーなど第3国から陸路で入国することも容易になりますので、片道で入国して第3国への移動するといった旅程を作成することもできるようになります。

② 瞬発性

ビザ申請というプロセスがなくなること自体、大きな制約でしたが、それが無くなったことで、渡航準備に必要な時間が大幅に減りました。

極端な話、片道の航空券さえ確保できれば、確保したその日や翌日でも出発できます。急に休みが取れたり時間が空くなどすれば、すぐに動くことができますので、メリットとしては大きいのではないでしょうか。

ビザ取得が必要な場合は往復航空券の予約情報が必須でした。往復というのがみそで、必ず帰国する日程がなければビザ申請自体受付できない仕組みとなっていたのです。

往復航空券という制約が取り払われたことで、より自由な旅行ができるようになったことを意味します。

③ 経済性

ビザ取得の代金、ビザセンターや総領事館までの往復交通費、申請と受取に必要な時間確保や休暇取得、写真撮影の手間や代金、早めの宿泊の手配など、ビザ取得が故に必要なことが全て不要となります。

時間はあるが、予算が少ないといった方にとって、いかに安く渡航するかがポイントになります。

つまり、安価な航空券をゲットするか、ノービザであれば、情報収集さえ怠らなければ、きっと目にかなった格安航空券が入手できます。

そのためには、安い時期にピンポイントに選んで渡航することが必要です。ビザ免除はそれを可能としました。

④ 長期性

これまでは2週間以上の滞在はビザが必要でしたが、2024年11月のビザ免除措置の拡充により、15日~1ヶ月の渡航について利便性が向上しました。

ビザが必要なことで、中期的な渡航需要が伸びなかったのが、今回の措置によりニッチなニーズにも対応できるようになったのです。

関連して航空券手配が便利になったことも触れなければなりません。

以前は格安航空券は往復で手配しないと格安にならないのが普通でした。団体用の座席を小売で販売し始めたのが格安航空券のルーツだったことが背景にあります。

航空券には日程変更できないFIXと変更可能なOPENの2種類がありますが、格安航空券はFIX航空券が基本です。

しかし、今は、片道単位で手配できて、往復と差ほど変わらない価格で買えますので、往復FIX航空券というのは形骸化しています。

航空券は、中期で旅行する際のハードルは取り払われました。そして、今回のビザ免除措置が加わることで、短期でなない2週間から1ヶ月以内で渡航することが容易になったと言えます。

中国ビザ免除のための基本条件

ビザ免除の具体的な条件を公式情報を踏まえて、旅経験30年の作者がひとつひとつ解説します。

具体的な措置の内容が記された全文の抜粋です。各画像をクリック(タップ)すれば拡大できます。

基本事項

日本在住でも日本以外の国のパスポート所有者は対象外です。

日本国一般旅券を所持していること。

適用される渡航目的

短期渡航で考えられるほとんど渡航目的をカバーしています。

  • 商用、ビジネス(商業・貿易)
  • 観光
  • 親族、友人訪問
  • 交流
  • トランジット(乗り継ぎ)

ビザの種類で分類しますと、商業・貿易はMビザ、観光はLビザ、親族訪問はQビザ、交流・訪問はFビザ、トランジットはGビザにあたります。

ビザ無で渡航可能なケース例

ビジネスでの渡航は「商業・貿易」にあたります。

現地学校との交流行事がある修学旅行やスポーツ交流といった目的は「交流・訪問」に含まれます。

トランジットと記載されている意味

元々トランジットはビザ取得は免除されていましたが、滞在地域や時間など条件がいくつかありまして、使い勝手がよいとまでは言えませんでした。

今回、ビザ免除の対象となったということで、滞在場所に制限がなくなったことが一番大きなメリットです。

短期留学はビザ必要

留学は短期であっても目的が異なりますので、適用外と解釈できますが、一部留学関係サイトでは観光ビザでの渡航が可能と紹介されています。

入国時の審査官はビザ発給する組織とは別です。入国審査時のやりとりによって、トラブルになる可能性があります。

リスク管理のため、留学先の学校やビザ申請センターなどに問い合わせて情報を得てから判断されることをお勧めします。

滞在可能期間

日数ですが、コロナ禍前の短期渡航ビザ免除は15日以内でしたが、今回は30日以内と滞在可能日数が倍増しています。

30日以内であること。

公式情報では「入国した日から30日目の24時まで」が最長滞在期間です。

回数制限

マルチビザのような入国ができるかどうかですが、特に制限はないため可能です。

実施開始時刻

2024年11月30日(土曜日)午前0時

適用期間

2024年11月30日~2025年12月31日

他の対象国も同じ期間です。延長は十分にあり得ます。

人数

グループでの入国、個人での入国、人数については、特に制約はありません。

入国地

トランジットビザ免除の場合、入国地により行動範囲に制約がありましたが、特にありません。中国以外の国から入国可能です。入国地、出国地とも制限はありません。

移動手段

陸路、空路、海路何れもビザ免除が適用されます。

中国への団体ツアーはこれから

コロナ禍が開けて、海外旅行が自由に行これからになってからも、中国への渡航者数は低空飛行でした。ビザ取得が必要だったことが一番大きな原因です。

ツアーを催行する場合、ビザ取得は申込者個人で行うのが基本であるため、旅行会社は参加者を集めることが難しく、オペレーション的にもかじ取りが大変で、取得できなかった時の取り回しなど、リスクが多いため、ほぼ壊滅状態でした。

コロナ禍前のように、都市滞在型から周遊型まで、様々な形でのツアーが復活するのではないかと予想されます。

ただ、そこまでに至る動きをするには、中国側旅行会社との関係修復と連携が必要であるため、すぐにできるという訳ではありませんので、時間を要するかと思います。

ただ、航空券と宿泊ホテル、送迎のパッケージツアー商品であれば差ほど難しくないので、一番先に出回って来るのではないかと思います。

航空路線の復活、増便が鍵

コロナ禍前と比べて、日本-中国間の航空路線や便数は一般的に6割程度と言われています。

ビザ取得が必須だったことがあり、特に日本からの渡航者はじり貧状態で、需要喚起が難しかったのですが、この度のビザ免除措置実施を契機に、新規開設や増便がしやすくなります。

日中両国の関係が良くなっていけば、中国からの訪日観光客も今後はさらに増えるかと思います。過去には訪日観光客の3割程度を占めていて、100万人単位ですので、このボリュームは侮れません。

成田、羽田、関西、中部といった空港ではより多くの航空会社からの便数が今後増えて、選択肢が大きく増えることになります。

その他の各都市からの中国への直行便が復活しつつありますが、新たな就航先ができることもあり得ますので、数年後には、地方在住の方にとって、コロナ禍以前よりも更に便利になっている光景が日常になりそうです。

中国ビザ無し渡航”6大”メリット

ビザ免除をいかにうまく活用するか、旅のスタイルの提案をしたいと思います。次の6つのケースを挙げて解説します。

  1. 超短期間の弾丸旅行
  2. 急な用事による訪中
  3. 15日~1ヶ月の滞在
  4. トランジットで立ち寄り
  5. LCCを利用した旅
  6. 国境越え

① 週末や連休を使った弾丸旅行

1泊2日といった短期間での旅行ができるようになります。ちょっと中国を体験したい」といったことが夢ではありません。といいますのは次の理由があるからです。

飲食店や商店の営業時間が長い

中国は日本よりも買い物や食事が大変便利で、旅行先として向いている地域です。

夜22時まで営業している店は数多くありますし、深夜まで、もしくは、終夜営業の飲食店は山ほどありますので、飲食に困ることは少ないです。

中国旅の醍醐味 夜の露店
夫婦など家族経営が多い露店。夕方になると、どこからか集まり、商売にいそしむ光景。

現地住民向けに早朝から開店している飲食店も多くありますし、店舗の開店時間も日本ですと10時が多いのですが、9時開店も多いです。

旅行プラン例

朝早く夜遅くまで活動できるので、朝一番のフライトで中国へ行って、翌晩最後のフライトで日本へ帰るスケジュールでも楽しむことができます。

フライトスケジュールによりますが、実質的に、2泊3日相当の滞在時間を得ることができます。このような旅の仕方も可能なのが中国です。

② 急な用務が生じた場合の訪中

仕事ですと、急に明日に訪中して現地工場へ行かなければならないといったことが生じたとしても大丈夫。

スケジュールと航空券が確保できれば、明日でも、その日の夜のフライトでも中国へ渡航できます。

今はWEBで航空券やホテルを手配するのが当たり前となってきていますので、確保するのも簡単です。

時間が重要なビジネスパーソンにとって、このメリットは絶大なものではないでしょうか。

③ 15日以上1ヶ月以内の滞在

訪問先で気に入った場所を見つけても、帰国まであと何日しかなくて、泣く泣く移動したということもあった人がいるかもしれません。

ノービザであれば、そういった気に入った町に長く滞在することができますし、日程の調整もフレキシブルに行うことができまる。

④ トランジットでの立ち寄り先として

ヨーロッパや東南アジアなどに行く際に、中国に立ち寄るといった旅行もありではないでしょうか。

中国を主な旅行の目的先ではないため、敷居が低くなり、初めての方でも、ちょっと中国を体験するのにちょうど良いパターンだと思います。

香港経由であれば、深圳や広州といった広東省へのアクセスが非常に便利ですし、中国系航空会社の格安航空券であれば、北京や上海などでトランジットができます。

⑤ LCCを利用した中国旅

Peachや春秋航空(SPRING JAPAN)といった日本から中国への直行便があるLCCを利用するのが一番手っ取り早いです。

エアアジアなど、大手LCCであれば中国路線がありますので、海外ハブ空港を経由して中国へ行くというルートもありです。

LCCでないレガシーキャリアでも、結構安い運賃で売り出している場合がありますので、時期によってはLCCでなくてもOKです。

⑥ 第三国への国境越え

コロナ禍前に新疆カシュガルからカラコルム峠(クンジュラブ峠)越えも可能ですし、ベトナムやラオスへの国境越えも可能です。ビザが不要な国への出入国が容易になります。

渡航前に準備が必要な”3大”ポイント

最近は、オンライン予約サイトは集約されており、楽になったと言えますが、比較検討対象が少なくなったのではないかと思います。

代理店経由の手配が主流だった時代は終わり、WEBでE-ticketを確保したり、宿泊先を予約して旅ができるようになりました。

代理店手配が主流だったころは、代理店が乱立して、比較検討できる相手がすごく多い状況でした。

ビザ無し渡航を実現するために避けて通れない3つのポイントがあります。

  1. 航空券確保
  2. 宿泊先手配
  3. 出発空港までの交通手段確保

① 航空券確保

航空券を手配する前に路線展開を確認しておくとよいでしょう。ルートの考え方は次の3つあります。

  • 直行便
  • 香港経由
  • 経由便

直行便

就航便数が多い空港発の航空券は安いくて選択肢が多い傾向にありますが、直行便を利用できるとは限りません。

関西-上海 格安航空券 価格例

最もチケットが安いのは直行便のケースです。北京、上海、広州、深圳といった大都市をはじめとして、天津、大連、瀋陽、南京、成都など、地方の中核都市へのフライトも多数あります。

香港経由

香港から近い地域へ陸路で訪問するのであれば、香港経由もぜひ検討ください。

便数が多いこともあり、便数が多くない広州や深圳経由と比較する価値があります。北京や上海経由でも安く移動できる場合がありますので、時間が許せば、様々な経路を検討されるとよいでしょう。

経由便

中国の地方都市を目指す場合は、北京や上海、広州、深圳といったハブ空港経由で移動することをお勧めします。

また、中国系航空会社が地方都市と日本との直行便を運航しています。中核都市をハブ空港として拠点化していますので、そこからの乗り継ぎも比較的便利です。

北京と上海を同時に訪れたい場合、高速鉄道も便利ですが、北京を拠点としている中国国際航空や上海を拠点としている中国東方航空であれば、両都市間の移動はシャトル便が設定されており大変便利です。

高速鉄道は割引のチャンスが少ないですが、格安航空券であれば、経由便の利用も可能で、到着して数日間滞在して、次の空港へ移動、その空港から帰国するといった使い方も可能です。

多くの航空会社では乗り継ぎ空港での無料宿泊サービスが用意されています。私も2024年9月に深圳空港で利用しました。専用のカウンターに集合して、マイクロバスでホテルへ送られます。空港への戻りも無料で便があって送ってくれます。

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② 宿泊先手配

オンラインで予約すれば確保できますので、日本国内と同じような感覚で手配できますので、差ほど難しいことではありません。

大きく分けて、外国系、中国系、日本系の宿泊予約サイトがあります。直接予約を受けるホテルチェーンもあります。

ただ、外国人の宿泊滞在については、地元公安派出所への届け出が必要であるため、リーズナブルな安宿では外国人の宿泊を断るケースが多々あるため注意が必要です。

翠園賓館 外観(吉林省集安市)
地方のホテル ”賓館”は”ホテル”という意味

③ 出発空港までの交通手段確保

空港までのアクセスが便利な場所にお住まいでない方の場合は、この3つ目のポイントも必要となります。

最寄りの空港ではなく、成田、羽田、関西など別の空港を経由して行く場合は、新幹線や在来線、高速バスなどの移動手段確保が重要です。

出発便の時刻に次第では、空港近くでのホテル予約が必要になる場合もあります。

(番外)パスポート

パスポート取得済の方は基本的に問題ありませんが、有効期限はご確認ください。

入国審査時の渡航目的確認

ビザが免除になるため、渡航目的に合致するかどうか審査官に聞かれることは想定しておいてください。

入国を許可するか、不許可にするかの最終判断権限は入国管理官にあることを忘れないでください。

この書類が必要ということはありませんが、人によっては念のため用意するといったことはあり得るかと思います。

滞在日数を超過する恐れがある場合

先に分かっている場合は、日本でビザを取得する必要があります。万が一、入国後にやむを得ない、合理的、正当な理由で滞在の継続が必要だとされる場合は、現地の出入国管理機関へ申請をしてください。許可されるかどうかの保証はありません。

中国渡航に関する質問、遠慮なく!

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まとめ

ビザ免除は、渡航目的が条件に合致している場合のみ適用されます。通常の渡航目的であれば大抵は大丈夫です。適用外の場合は必ず日本でビザを取得してください。

作者プロフィール

旅人@中国旅行一筋30年
旅人@中国旅行一筋30年ブログサイト「中国旅行ドットコム」運営者
1991年から30年間で70回以上の中国訪問歴を有するベテラン旅行ブロガー。

中国旅行に興味がある方や個人旅行を計画している方、中国のリアルな姿を知りたい方向けのブログサイト「中国旅行ドットコム」を運営。

大都会の路地裏から田舎の町や村まで足を運ぶ、ツアーでは決して体験できない独自の旅行スタイルを持つ。

【個人旅の実績】 訪問した省・市・自治区:32(残1) 訪問地:200以上
【印象に残る旅のエピソード】 数え切れず
【撮影した写真】 45,000点以上

安宿に泊まり、長距離バスや夜行列車などのローカルな移動手段を使って、現地の人々と触れ合い、肌に感じる旅をして、リアルな中国渡航情報を発信中。

1日100元以内での滞在に挑戦するなど、旅の費用を抑える工夫が得意。独自の旅のノウハウを有し、海外モバイル経験も長く、ANA陸マイラーでもある。

旅先での中国語会話を実践して、通じる中国語を教えることにも取り組んでいる。中国語に堪能でVIP通訳に従事したことがあり、訪日視察団のアテンドをしたことも。経験を活かして、コミュニケーション促進のための中国語も含め講師として教えて6年超。

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