【解説】中国入国時の税関健康申告登録方法
11月1日から出入国時の健康申告が不要となりました。詳しくは、【朗報】中国入国・出国時の健康申告が不要にで解説しています。
仕事や旅行などで中国へ渡航する際、入国前までに健康状況を入力して事前登録し、到着空港の税関でQRコードの提示が必要ですが、その事前登録に関する詳細を解説します。
健康申告とは?
中国税関公式WEBサイトやミニアプリで、自身の健康状況や個人情報を入力が完了した後に表示されるQRコード(バーコード)を表示させて、入国審査や出国審査場に備え付けられているリーダーに読み取らせることで、中国入国・出国時の税関を通過することができる仕組みです。
正式には、日本語では「中国税関出入国健康申告」と称するもので、この健康申告を、中国語では「出入境健康申报」、英語では「Health Declaration」といいます。
中国語と英語が併記されており、英語表示も作成の一助となりますが、こちらでは現地の公式言語であります中国語ベースで解説していきます。
元々はコロナ対策の一環であった
新型コロナが大流行していた頃、PCR検査や抗原検査にも関連した防疫措置や感染対策のなかで、中国政府は全ての入国者に健康状態の申告が必須としてきました。
新型コロナに関する中国政府の対応推移
中国政府による中国への渡航に関する防疫対策について対応の変化をまとめました。徐々に緩和され、撤廃という流れまでたどり着きました。
2023年8月30日
・ コロナのPCR検査又は抗原検査は不要に
・ 健康申告においてもコロナ関連事項の申告が不要に
2023年4月29日
・ 出発から48時間以内に必要なPCR検査を抗原検査での代替が可能に
・ 検査結果に関するでのオンライン税関健康申告は必要
・ 航空会社による抗原検査結果及びPCR検査の陰性証明の確認を廃止
・ 税関で一定割合で新型コロナの抽出検査を実施
・ 健康申告及び検疫において異常がない人は隔離措置なしで入国可能
2023年1月17日
・ 出国便の航空機が出発する48時間前までにPCR検査による陰性確認
・ 航空会社によるPCR検査陰性証明書の確認
・ 入国時の中国税関当局による陰性証明書の抜き取り検査
・ 健康申告及び検疫において異常がない人は隔離措置なしで入国可能
・ 健康申告に異常がある、発熱などの症状がある方は税関検査が必要
・ 陽性と判定された場合、国境衛生検疫法に基づく税関の通常検疫実施
・ 「中国税関出入国健康申告」を事前に行うことを義務付け
2023年1月8日
・ 中国入国後のPRC検査及びホテルなどでの隔離を廃止
・ 健康申告や税関通常検疫で異常ない場合は入国後の行動制限を廃止
・ PCR検査実施後の陰性証明書に基づく「健康コード」の申請を廃止
健康申告電子化の背景
コロナ前は紙で対応していたことがコロナ感染がひどい時期に非接触化が進む中、2020年の中国税関当局が発した通知に基づきスタートした制度が現在も続いているイメージです。
海南航空のホームページで乗客に向けた案内を例示しますが、すべての出入国者が申告をしなければならないことや具体的な入力ツールなどが記載されています。
入国時だけでなく出国時も申告必須
注意が必要なのは、入国時だけでなく、出国時も同様に申告が必要であることです。何れも出入国する人全員を対象に課せらるもので、基本的にこれをしなければ、飛行機に乗れなくなる恐れすらありますので注意が必要です。
空港到着がギリギリで時間がない場合
健康申告でトラブルがあると帰国便のフライトに間に合わなくなることがあります。
例えば、北京空港はターミナル内トレインでの移動があり、出国手続が終わるまで最低30分は必要です。帰国に支障をきたす可能性がありますので、余裕をもって空港に到着した方がよいでしょう。
申告期限
通関する24時間前までに入力完了した情報でなければなりません。
入力完了後、QRコードの下に表示される時刻が期限ですので、それまでに税関で読み取りしなければ無効となりますので注意してください。その場合でも、再度作成して、表示させれば大丈夫です。
入力項目が簡素化
2023年9月に入力項目が簡素化され、以前より負担が軽くなりました。
その違いの例を示しますと、過去14日以内にいつからいつまでどこにいたかのうち、いつからいつまでの記入が不要となりました。
加えて、搭乗するフライトのシート番号の入力欄はなくなり、連絡先についても項目が簡素化されました。
入国時にデータ通信環境がない場合
2023年9月の簡略化後に中国に入国した時の話ですが、入国直後に通信環境がないことが確実でしたので、日本にいる間にスマートフォンで入力してスクショを撮って備えました。
スクリーンショットでも税関のリーダーで読み取ってくれました。画面を表示したままなら大丈夫と思われるかもしれませんが、出国前にブラウザー上に表示されていても、通信できていないと、入国時に開いた時点で消える可能性がありますので、注意が必要です。
入国した北京空港はフリーWifiはあるのですが、登録制で、携帯番号は不要です。ただ、専用の機械でパスワードの取得が必要であるため、入国直後に利用することは困難ですが、他の方法として、中国の携帯電話番号での認証やWechatでの認証がありますので、これらの対応が可能であれば、Wifiの使用は可能です。
現地でのフォロー体制は期待できず
香港メディアの2023年9月25日付けの情報では、香港羅湖から「特別通道」20台のパソコンを設置して対応。全部の空港や陸路での入管で対応しているかどうかは不明です。余り期待しない方が無難です。
では、通信環境がない人はどうしているか。なのですが、2023年9月に旅行で北京に入国した際の話です。現場では確認できませんでしたが、スマホでの手続が当たり前の雰囲気で、できない人への案内は、北京空港では見当たりませんでした。
入力手段
WEBページ
中国海関( https://htdecl.chinaport.gov.cn/ )の公式ホームページにアクセスすれば必要な手続が可能です。こちらでは、ハードウェアの環境に依存しないWEB版での登録について解説します。
スマホアプリ
WechatやAlipayのミニアプリに対応しています。既にこれらのアプリがスマートフォンに入っている場合に使うと便利です。
トップページメニューの選択
メニュー上部には「无障碍模式 Accessibility mode」「长者模式 The elder mode」2つのモードが選択できますが、選択しなくても影響ありません。
下部に「申报(Declare)」「查看记录(View)」があります。前者は初めて健康申告を入力する場合はこちらをクリック。
後者は次に解説しますが、スマートフォンやパソコンなど端末に保存したデータを呼び出す時に使います。
入力前の注意喚起表示
旅客须知 (Tips) ということで、入国、出国時に正しく健康申告すること、そうしなければ中華人民共和国国境衛生検疫法や中華人民共和国刑法に基づき責任が追求されたり、3年以下の懲役又は禁錮刑で処罰される恐れがあることが記載されています。右下にある「确认/ok」又は右上の×ボタンを押せば消えます。
前回入力した情報をスマホに保存可能
こちらは知っておくと便利な情報ですので、仕組みを説明します。任意の項目ですので必ずそうしなければならないということではありません。
「为方便下次填报,本次输入信息可保存在本设备中。不建议在公共或不可靠设备上存储。」は「次に入力した情報をその端末に保存できます。共用端末などでの保存はお勧めしません。」という意味です。
「Agree 同意保存」「Disagree 不同意保存」が選択肢にありますが、前者が「保存に同意する」で、後者が「保存に同意しない」ですので、入力を簡略化したい場合は、前者を選んでください。
出国時の税関検査で流用
この機能を利用すれば、出国時に改めて入力する必要はなくなりますので、入国時に入力した情報を保存することをお勧めします。
QRコードを再表示する方法
入力完了している場合、トップページの「查看记录(View)」から入りますと、過去に入力したデータがシステム側で付与された番号単位で呼び出すことができ、読み取り時に必要なQRコードを表示させることができます。
入力完了したデータを呼び出す方法
トップページの「申报(Declare)」をクリックして表示される入力画面の最初の部分にある「Last saved data 上次保存信息」は前回セーブしたデータという意味です。
こちらを選ぶと、入力された情報が呼び出されますので、搭乗する航空便を変更する程度で完成します。
健康申告の入力手順
こちらでは、項目の順番に沿って、具体的な項目や内容、入力方法などについて詳しく解説します。
Personal Information 个人信息
渡航者個人の基本情報を入力する欄です。
Are you travelling from/to Hongkong SAR or Macao SAR
「是否往来香港或者澳门人员」は、香港やマカオを往来しているかどうかという質問です。していないのであれば「No 否」、している場合は「Yes 是」を選択。
Exit or Entry 出入境类型
「入境」は入国、「出境」は出国です。何れかを選択します。保存した記録を呼び戻した後でも、その都度変更を要する項目です。
Name 姓名
パスポート記載の英文の氏名を姓→名の順で入力します。姓と名の間にはスペースを空けてください。
Nationality and Region 国籍(地区)
国名がアルファベット順に並んでいます。日本国籍でしたら、Japanの頭文字 "J" にある「日本」を選びます。
Occupation 职业
画面に示したリストから選択します。身体を資本として働く仕事に従事されている人は「务工人员 Migrant Worker」 、会社員や個人事業主でしたら「经商人员 Business practitiner」、公務員は「政府工作人员 Government Official」 無職でしたら「无业 Unemployed」、該当しない場合は「其他 Other」となります。
Date of birth 出生年月
生まれた年月を選択します。
Passport type 证件类型
外国人が中国へ出入国する場合ですので、「护照 Passport」(パスポート)を選択してください。
Passport No. 证件号码
前項に対応したもので、パスポート番号を入力します。
Transportation information 乘用交通工具情况
「是否乘用交通工具」
表示が長いので省略しますが、飛行機や鉄道などで出入国するかどうか?という質問です。「是(Yes)」を選択します。
Flight (Ship/Train/Vehicle) No 航班/船班/车次
航空便名や列車番号などを記入する欄です。中国国際航空のCA106便であれば「CA106」と記入してください。
Contact information 联系方式
「本人或境内联系人有效联系电话」ですが、中国語と英語の表現を見る限り、本人又は中国の知人などの連絡先を書く項目です。本人が中国に居るときかどうかまでは明記されていません。
実際に入力した自身の事例を話しますと、8109012345678といった、日本国内の連絡先を入力しましたがシステム的にはねられることはありませんでした。中国国内の電話番号でなくても大丈夫です。
Travel History 旅居史
「过去14日内至今,您旅居的国家和地区」は、14日前から現在まで、どの国や地区にいたかを尋ねるものです。
日本にいたのであれば「日本」を選びます。アルファベット順に並んでいますのでJapanの頭文字 "J" を探してください。
Health Condition 健康状况
「请选择您是否有以下症状」は、次に列記された症状があるかどうかで尋ねるものです。
何れの症状もなければ「No 否」を選択します。もし、ひとつでもあれば「Yes 是」を選ぶとともに、Fever 发热(発熱)やCough 咳嗽(咳)など、具体的な症状を選択します。複数選択可能です。
Captcha 校验
最初はまだ認証を行っていない状態であるため、赤字で「× Unverified 未完成校验」と表示されます。
右側に青色の「校验 Verify」のボタンがありますので、クリックしてもらい、別の画面が前面に出ますので、下の矢印を右方向でスライドさせてください。
移動させたパズルのピースが合致するようにすれば、自動的に入力画面に戻り「✔ Verified已完成校验」と表示されていれば認証は成功です。
最終確認項目
「本申告に入力した内容は間違いありません。もし、虚偽の内容であれば法的責任を追わなければならない。」という趣旨について確認を求められています。チェック(✔)をしなければ、終了となりません。
Submit 提出申報
背景が青色で白字のこのボタンを押せば、申請完了となります。QRコードとバーコードが表示されますので、この画面を入国・出国時の税関で表示させたものを読み取らせれば、健康申告の手続が完了となります。
税関でのQRコード提示
前項で説明したQRコードを入国時の空港、出国時の空港にある税関で提示して、スキャナーに読み取らせれば税関手続は完了です。
最後に
コロナ拡大後からずっと中国へ行くことがままならず、その間に中国渡航ひとつをとっても様々な変化がありました。
2023年9月に4年ぶりに中国へ行くことができ、その変化を体感してきたところです。
今後、ビジネスや旅行などで中国へ行かれる方が増えると思いますが、参考にしていただければ幸いです。質問があればメッセージフォームへ遠慮なくどうぞ。
作者プロフィール
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1991年から30年間で70回以上の中国訪問歴を有するベテラン旅行ブロガー。
中国旅行に興味がある方や個人旅行を計画している方、中国のリアルな姿を知りたい方向けのブログサイト「中国旅行ドットコム」を運営。
新型コロナウイルス後の中国旅行に対応した最新情報から、大都会の路地裏から田舎の町や村まで足を運ぶ、ツアーでは決して体験できない独自の旅行スタイルを持つ。
【個人旅の実績】 訪問した省・市・自治区:32(残1) 訪問地:200以上
【印象に残る旅のエピソード】 数え切れず
【撮影した写真】 45,000点以上
安宿に泊まり、長距離バスや夜行列車などのローカルな移動手段を使って、現地の人々と触れ合い、肌に感じる旅をして、リアルな中国渡航情報を発信中。
1日100元以内での滞在に挑戦するなど、旅の費用を抑える工夫が得意。独自の旅のノウハウを有し、海外モバイル経験も長く、ANA陸マイラーでもある。
ブログをご覧になられた読者との交流も大切にしており、ほぼ毎日質問がきて、いただいた情報をブログや動画に反映している。メーリングリスト立ち上げなど、新しい取り組みも行っている。
詳細は作者紹介をご参照ください。問合せはこちらまで。
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