中国のホテル宿泊拒否は怖くない!克服するためのトラブル回避術

中国旅行でホテルのインターネット予約が当たり前になった現在、予約したはずのホテルで宿泊拒否される事態は後を絶ちません。「中国 ホテル 外国人 泊まれない」「中国 宿泊拒否」といったキーワードで検索している方がいるかもしれません。

中国旅行経験35年の筆者から見て、時が流れても日本人の旅人視点から見て、いつまでたってもなくならない問題があります。それが、外国人旅行者が直面する「外国人お断り」といった宿泊拒否に関するトラブルです。知らないと痛い目に遭います。

この記事では、35年の旅経験者として、外国人旅行者が中国で直面する宿泊トラブルの実態と、日本人個人旅行者の立場、そして旅行者目線で、それを避けるための具体的な対策の詳細をお伝えします。

中国旅行を計画している方、すでに何度も訪れている旅行者も、この記事で紹介するリアルな情報や背景を知って、対策を確認しておけば、宿泊トラブルによる旅の台無しを避けることができます。

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35年間中国で見てきた「変わらない現実」

筆者自身、中国各地で数え切れないほど宿泊拒否問題に直面してきました。個人の一人旅を始めた頃ですが、言葉もままならない中、安宿で門前払いされた時の途方に暮れた経験。真夜中に次の宿を探して街をさまよったこと。疲れた身体で長旅の末にたどり着いたホテルで「不接待外宾」(外国人はお断り)と告げられた瞬間に覚えた絶望感は、どれだけ中国に慣れ親しんでいても変わりません。

渉外飯店の制度が今もなお残る

実は中国のホテルには、「涉外飯店」(外国人受入可能ホテル)という制度が残っています。認可されていない限り、外国人を宿泊させることができない規制のことです。この制度は1980年代の改革開放初期から続くもので、外国人の行動管理を目的のひとつとしています。

外国人宿泊NGのリアル 予約済で泊まれず!

「对不起,我们不接待外宾。」(すみません、当ホテルは外国人のお客様をお受けできません)、これは中国旅行者なら一度は聞いたことがある、あるいは聞く可能性がある中国語のフレーズではないでしょうか。

思い起こせば、筆者もこの言葉を何度聞いてがっかりしたことか。実際、その場に立たされると、予約が済んでいて確認されているにもかかわらず、なぜ宿泊を拒否されるのか理解に苦しみます。それは中国旅のプロでも変わりません。今も昔も同じです。

外国人宿泊が許可されていないホテルでは、次のような現象が起こります。

チェックイン時に即拒否

フロントでパスポートを提示した際に、「外国人は泊められない」と告げられ、チェックインを拒否されます。これで泊まれないケースが最も多いです。

筆者も数え切れないほど経験していますが、部屋を見てから聞いてダメと言われるとテンションがガタ落ちですので、入ってすぐに開口一番聞くようにいしています。

宿泊中の退去要求

チェックインできて部屋に入ったとしても安心できません。ホテル側の手続き不備などを理由に退去を求められるケースがあります。

最初のケースは、フロントスタッフがアルバイトで、経営者やオーナーである”老板”へ電話した後に、どちらかがやってきて、「外国人は泊められない。代金は払い戻すから出て行ってほしい。」と一方的に告げられる場合。

ふたつめのケースは、部屋に入った後、突然、公安(警察)が来てパスポートの提示を求められ、「ここは渉外ホテルでないから外国人泊まれない。賓館に泊まるように。」と言われることがありました。

「そんなお金はない。」と言っても、聞き入れられず、同じことを繰り返されるのが特徴です。

宿泊予約サイトや登録者の不備

そもそもの問題の所在は、この「外国人OK」の情報が宿泊予約サイトに正確に反映されていないケースが非常に多いことです。

中国国内向けの予約サイトや安価なホテルでこれが顕著です。Trip.com(携程)、去哪儿(Qunar)などの大手サイトでも、「接待外賓」(外国人宿泊可)と明記されていないホテルが数多く存在します。

予約サイト側、ホテル経営者側何れも問題がありまして、情報をきちんと登録していない又は確認していないといったことが考えられるからです。

同じ宿でも二転三転するケース

さらに厄介なのは、同じホテルでも時期や担当者によって対応が変わることです。以前は問題なく宿泊できたホテルでも、次回訪問時には「規則が変わった」と突然断られることも珍しくありません。この一貫性のなさが、旅行者を混乱させる大きな要因となっています。

逆に宿泊OKの不思議

中国ではこういった規制をかいくぐって、外国人であっても宿泊できたケースが多々ありました。筆者自身、外国人だと知らしても、フレンドリーに泊めてくれた宿は無数にありました。飛び込みで、宿を探す時に、「外国人だけど泊まれるか?」といったことを尋ねるのですが、「没問題」(大丈夫)と反応が返ってきてホッとしたことが数え切れないほどあります。

郊外で宿泊拒否されたがっかり体験

これまで数え切れないほど宿泊拒否を経験していますが、特に記憶に残っているのが2024年1月年始に旅行した時の出来事です。

ホテルへたどり着くまで

中国雲南省の開遠という地方都市を訪れていました。その日は市内から少し離れた郊外にあるホテルでした。事前にTrip.comアプリで外国人宿泊可と記載があった宿で、大丈夫だと確認して、安心して気が緩んでいました。

市内からバスで郊外へ20分。目的地に到着し、ホテルのフロントに向かいました。トラックが停まるような広い敷地がありました。チェックインの手続きを始めようと話しかけた瞬間、フロントスタッフの表情が変わりました。

フロントスタッフとのやり取り

「申し訳ありませんが、当ホテルは外国人のお客様をお受けできません。」と、フロントスタッフは首を横に振るばかり。「外国人は泊まれない、住宿登記(外国人の宿泊登録)はできない。」と繰り返すだけで、代替案を一切示してくれません。

「Trip.comに接待外賓と書いたのはそちらではないのでしょうか?」と尋ねると、「知りません。予約サイトに連絡してください。」と冷たい回答。その場で口論になり、最終的には「あなた方のせいで遠くまで来たのに泊まれない」と憤りを伝えましたが、結局あきらめざるを得ませんでした。

宿泊はあきらめ、問題は他にも

しかし、問題はそれだけではありませんでした。このホテルは市街地から離れた郊外に位置しており、市内へ戻る最終バスの時間がせまっていたのです。

バス停に戻り停留所の表示を見たら、19時過ぎが最終と記載がありました。運よく、何とかぎりぎり最終バスに滑り込むことができましたが、もしこの時間を逃していたら、タクシーもいなくて、その夜は本当に路頭に迷うところでした。

経験から得た教訓

この体験から改めて学んだのは、「接待外賓」の表示がない限り、どんなに有名な予約サイトでも信頼すべきではないということ。現地トラブル発生時の代替手段を常に考えておく必要があるということです。ホテルの所在地が郊外の場合は、移動手段についても考慮しなければならいないということでした。

外国人対応の情報は得づらい

日本でのWEB宿泊予約時に、別の予約サイトである去哪儿(Qunar)を確認してみましたが、外国人宿泊可能(接待外賓)なホテルを効率的に検索することが難しく、一件一件情報を確認する必要があり、非常に手間がかかる状況でした。

なぜ?ホテルが外国人を拒否する6大理由

では、中国のホテルはいったいなぜ外国人の宿泊を拒むのでしょうか?長年の経験やフロントスタッフの数え切れない会話の中から見えてきた背景には次のような6つの理由があります。

こうした様々な背景を理解することで、単に「外国人差別」と憤るだけで終わらずに、現場の実情を理解した上で対策を講じることができます。

経営者やスタッフの知識・情報不足

実は多くのホテルスタッフ、特に地方都市の小規模ホテルでは、外国人宿泊に関する正確な規則を承知していないことがあります。「うちは外国人を泊められない」と思い込んでいるケースも少なくありません。実際には手続きを踏めば可能であっても、その知識や情報がないために断ってしまうのです。

旅行者とホテル双方にある言葉の壁

外国語対応できるスタッフがいないホテルでは、コミュニケーションの問題を恐れて拒否することがあります。日本語や英語が話せないフロントスタッフには理解できない言語でのやり取りを避けたいという心理が働きます。

公安システムの登録問題

中国では外国人が宿泊する場合、24時間以内に公安(警察)のシステムに宿泊者情報を登録する義務があります。「住宿登記」のことです。このシステム操作に不慣れなホテルは、手続きの煩雑さを避けるために外国人宿泊を敬遠します。登録しようとしてエラーとなったケースをこの眼で多数見てきていて、登録や入力を手伝ったりしてフォローして宿泊できたことは何度もありました。

外国人の宿泊登録制度に関してはこちらの記事で詳しく解説しています。

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責任回避の姿勢

万が一のトラブル発生時、外国人宿泊者が関わると対応が複雑になる可能性があります。ホテル側はこうしたリスクを避けたいという思惑から、最初から受け入れを拒否することがあります。「問題が起きたら責任を取らされる」という恐れが背景にあるのです。

「基準未達成」という言い訳

「うちのホテルは基準を満たしていないので外国人は泊められない。」という言葉は、しばしば宿泊を断る時に使われる口実に使われました。

実際には単に面倒を避けたいだけというケースも多く見られます。当然ながら、この「基準」が何なのか具体的に説明されることはほとんどありません。

コスト対効果による経営判断

外国人対応には追加の手続きや時間がかかります。また、言語の問題からチェックインに時間がかかることもあります。経営者からすれば、これらの手間や宿泊機会が多くないこと、収益などを天秤にかけた結果、「外国人はお断り」という方針になるケースは少なくありません。

宿泊予約サイトの大きな落とし穴

宿泊予約サイトに外国人を受け入れ可能かどうかといった表示があるかどうかを確認する必要があります。しかしながら、この情報を探して見つけるのは意外と難しいのが現状です。

中国の宿泊予約において最も重要な表示が「接待外賓」(外国人受入可)の表示です。予約する前に必ず確認してください。

接待外賓表示の重要性

例えば、中国系の宿泊予約サイトTrip.comでは、ホテル詳細ページの下部に小さく表示されていますが、すべてのホテルで明記されているわけではありません。

Agoda ホテル情報のトップ部分

設備・サービスや宿泊ポリシーに当たる部分に外国人受入れをしているかどうか記載がある場合がありますが、Agodaは掲載がないように見受けられます。

宿泊施設ポリシーには外国人受入れに関する記述は特にありません。

外国語対応

対応言語の欄に「英語」と記載がありますと、外国人が宿泊できる可能性が高いです。もし、外国人受入れ可否の記載自体行っていない場合は、こういった部分が別の目安となります。

投稿情報の読み方

例として、Trip.comやAgodaの場合ですが、「絞り込み」で「新しい順」にしたり、言語を「日本語」や「英語」にして検索して、外国人による書き込みがあるかは目安となります。

宿泊不可でも宿泊実績がある不思議

外国人受入不可と表示されていても、なぜか外国人が感想を書き込んでいる現象があります。これが中国の摩訶不思議なところ。

「宿泊不可と表示があるから一律にダメだ」と考えると失敗する例です。予約して宿泊できた人がいたということの表れです。

旅のプロとしてコメントしますと、予約してだめなら他のホテルを確保すればよいと考え、実際に候補を当たっておけば、当日でも何とかなるものです。

中国で宿泊拒否されないための7つの秘けつ

では、どうすれば宿泊拒否のリスクを減らせるのか?
筆者が中国旅行歴35年の経験から導き出した具体的な対策を解説します。自分も活用しているものも含まれます。

これらの対策を講じることで、宿泊拒否のリスクを大幅に減らすことができます。

特に重要なのは、事前準備と情報収集です。「まあ何とかなるだろう」という楽観的な姿勢は、中国旅行では思わぬトラブルを招くことがあります。

そういったトラブルも旅の経験という風にポジティブに考えられるのであれば、こういったことは良い経験になること請け合いです。

予約サイトで「接待外賓」表示を確認する

WEBで予約するときにホテルを決める前に必ず「接待外賓」(外国人受入可)の表示を確認します。表示がない場合は、予約前にホテルに直接問い合わせることを強くお勧めします。心配な場合にも活用できます。

中国語で「请问,您们酒店接待外宾吗?」(Qǐngwèn nínmen jiǔdiàn jiēdài wàibīn ma? 外国人を受け入れていますか?)とメッセージを送りましょう。

外国人による投稿やホテル側の返信で読み取る

大手宿泊予約サイトでは、利用者からの投稿がホテル毎に掲載されています。外国人が宿泊できたといった趣旨の書き込みやコメントがあれば、宿泊可能なフレンドリーな宿だということです。

英語や日本語での書き込みがあるということは日本人や外国人の宿泊実績があるということが明白ですので、ひとつの指標になります。

注意が必要なのは、中国では外国人とは別のカテゴリ扱いとなるため、台湾や香港から来た人の投稿は参考にしないで下さい。

直接ホテルに問い合わせる

宿泊予約サイトで「接待外賓」と記載がない、もしくは、サイト自体にそういった区分が存在しない場合の対処方法があります。

予約前に中国語で「请问您们酒店接待外宾吗?」(Qǐngwèn nínmen jiǔdiàn jiēdài wàibīn ma? 外国人を受け入れていますか?)とメッセージを送る。

「ホテル名」「接待外賓」を一緒に検索する

百度といった中国語でなければいけませんが、中国語の「ホテル名」と「接待外賓」で検索すると情報が直接表示されるケースがあります。

緑色点線の部分が宿泊予約サイトです。実線は直接リンクで外国人対応可否を確認できますが、点線は会員登録が必要だったり、デッドリンクという理由で見ることができません。

他にも、「北京 飯店 接待外賓」のように検索すると、そのホテルが外国人を受け入れるかどうかの情報がヒットすることがあります。

中国語で積極的にコミュニケーションを取る

実際、簡単な中国語でもよいので少しでも話せると印象が変わることが多々あります。 言葉の壁を少しでも取り除くことで、対応が変わることが多々あります。翻訳アプリがといったツールを活用するのもよい方法です。

上の写真は、雲南省の小都市のことですが、安宿の主人がスマホで公安派出所とSMS(短信)で連絡してやりとりをしている光景です。結構な時間、やり取りが続きましたが、粘り強く待ち続けた結果、最終的に宿泊OKとなりました。手続がきちんとできれば外国人が宿泊できる事例でした。

とにかく熱意を示す

「本当に泊まりたい」という誠意を示してオーラを出し続けると対応が変わることがあります。といいますのは、中国では仮にNGであっても交渉の余地があることが多いので、諦めないことが大切です。「今日は他に泊まるところがない」、「遠くから来た」などの状況を説明すると、同情を引くことができるかもしれません。

宿泊予約サイトのサポートを活用

トラブル発生時はすぐにカスタマーサポートに連絡しましょう。Trip.comなどの大手サイトでは、日本語や英語対応のカスタマーサポートがあります。ホテル側と予約サイトが交渉してくれることで解決するケースもあり得ますし、仮に無理だとしても、他のホテルを無料で手配してもらうといった交渉もできるかもしれません。

3星以上のホテルを選ぶ

価格はかなり高めですが、外国人対応に慣れているマリオット、ヒルトン、ハイアットといった国際的なホテルや3星以上のホテルを選ぶのがより確実です。

知っておくといい外国人対応の目安

一律で決めているのかと思いきやそうでもないのが中国。宿泊に関しても同様です。

同じホテルチェーンでも対応が分かれる

面白いのは、同じホテルチェーンでも店舗によって対応が異なることです。例えば、全国展開している「如家(Rujia)」や「7天(7 Days Inn)」などのホテルチェーンでも、すべての店舗が外国人を受け入れているわけではありません。

宿泊料金によって傾向あり

また、価格帯によって外国人受入の可能性が変わることも覚えておきましょう。一般的に、一泊300元以下の安価なホテルでは外国人宿泊を断られる可能性が高くなります。逆に500元以上の中~高級ホテルであれば、外国人受入の可能性は高まります。

消えゆく中国バックパッカーの聖地

中国の宿泊事情は、この30年で大きく変化しました。改革開放初期の1980年代後半から90年代にかけては、外国人が宿泊できるホテルはごく一部に限られ、一般的に「涉外宾馆」(外国人向けホテル)と呼ばれる中級以上のホテルや安宿であっても都市毎に指定されるなど、限定されていました。

90年代前半までは「外国人価格」と「中国人価格」が分けられていたり、「兌換券」が存在していて、外国人は中国人の数倍の宿泊料を支払うのが当たり前でした。

多くのバックパッカーは公式には外国人宿泊が認められていない安宿に泊まることも珍しくなく、フロントとの交渉やコネを使うなどして宿を確保していました。

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北京の前門地区、上海の外灘近く、西安の鼓楼周辺、成都のバスターミナル近くなど、各都市には外国人バックパッカーが集まる地区があり、そこには「老外OK」(外国人OK)の噂が広がる安宿が点在していました。

こうした場所は旅行者同士の口コミで共有され、「地球の歩き方」や「ロンリープラネット」、「旅行人」などのガイドブックや旅行本に生の投稿情報としてよく掲載されていました。

バックパッカー宿の衰退

かつては、世界中を旅するバックパッカー御用達の安宿やドミトリーは外国人旅行者向けのオアシスでしたが、近年はこうした宿も減少傾向にあります。

インターネット予約が主流になり、情報が氾濫する中で、こうした個人旅行者向けの貴重な情報は埋もれがちになっています。

現在、こうした「バックパッカーの聖地」は姿を消しつつあります。都市開発による再開発、観光産業の高級化、そしてインターネット予約の普及により、昔ながらの安宿は減少の一途をたどっており、絶滅の危機にさらされています。

中国政府の政策変化に注目

中国を旅行する私たち日本人旅行者にとって嬉しい変化があります。中国政府はこのような外国人宿泊NGへの対策に取り組み始めました。

政府の公式文書を読み解く

2024年5月24日、中国中央人民政府からの公式な情報として発信されました。

公安部等部门答“境外旅客入住酒店不便利”的留言
( ”外国人がホテル宿泊に不便” なことに関する書き込みに公安部など政府部門が回答)

緑色の線にある中国語ですが、住宿登記と所管する公安部と入国審査を管理する国家移民局が重視している姿勢があること、文化和旅游部や商務など関連業界を所管する部門と協力して対策に当たることが記されています。

「ホテル業に対して、渉外飯店(外国人受入れ可能な渉外ホテル)でないことを理由に外国人の宿泊を断ってはならないことを要請する。」

地方政府が外国人宿泊環境改善に動く

中国政府が公式に通知を出したことを受けて、天津市など地方政府もそれに呼応して、地元公安当局から宿泊業者に対して通知を出したり、説明会を行ったりして、周知を進めております。

筆者自身の経験談(2024年9月)

この施策が如実に反映されたことを筆者自らが経験しました。

大型台風が中国大陸に上陸した影響で、路線バスや地下鉄が午後全部ストップしました。その時、南京最南端の郊外にいて、宿を探さなければなり、地下鉄駅の前で途方にくれました。

スマホの百度地図で地下鉄駅から周辺を拡大表示して、100元を下回る宿を探している中で見つけた安宿で、風が強いなか、徒歩で向かいました。

快く泊まることができました。1泊80元で、宿泊アプリでその場で割引価格させたものでした。

フロントで女性スタッフと雑談をしていましたが、南京市公安局から宿泊業者に説明会があったという情報を得ました。だから泊めてくれたということが分かり、政策変化を感じた瞬間でもありました。

中国人でも結婚証明書が必要だった

かつては「結婚していない男女は同じ部屋に泊まれない」といった規制があり、フロントで結婚証明書の提示を求められる時代がありました。この規制は中国人同士に対するものでしたが、外国人カップルにも適用されることがありました。現在では過去の遺物となりました。

こういった変化は、中国社会全体の変容を象徴しています。厳格な社会主義的な規範が残っていた頃がある時代から、より開放的で多様性を認める社会に移行。こうした流れの中で、改善はされつつあるのですが、外国人の宿泊管理という面では依然として厳格さが残っているのが現代中国の興味深いところで、これがリアルな中国なのです。

(まとめ) 旅行を120%楽しむための宿泊ガイド

35年間の中国旅行経験から言えることは、中国での宿泊にはある程度の「覚悟」と「準備」が必要だということです。しかしながら、適切な対策を講じれば、トラブルを最小限に抑えることができますのでご安心ください。

最後に、中国旅行を120%楽しむための宿泊のポイントをまとめます。

  • 「接待外賓」の確認を必ず行う
    これが中国ホテル予約の黄金律です。表示がなければ予約前に必ず確認を。
  • 代替プランを常に用意する
    特に地方都市では、宿泊拒否に備えて常に「プランB」を考えておきましょう。近くの他のホテルの情報を事前に集めておくのも一案です。
  • 最終交通手段の時刻を把握する
    郊外のホテルに宿泊予定なら、市内に戻る最終交通機関の時刻を必ず確認しておきましょう。
  • 中国語の基本フレーズを学んでおく
    発音が上手ではなくても、中国語を話す姿勢を見せるだけで状況が好転することがあります。
  • 3星以上のホテルを予約
    特に初めての中国旅行なら、不必要なストレスを避けるために少し予算をかけてでも安心を買いましょう。

中国は驚きと発見に満ちた素晴らしい国です。宿泊トラブルはあるかもしれませんが、それも含めて「中国体験」の一部と考えれば、むしろ旅の思い出となるでしょう。

次、中国へ行くときはぜひこの記事の内容を実践してみてください。そして、結果どうなったか、質問フォームやメールからご連絡いただけると大変うれしいです。皆さんの中国旅行の一助となれば幸いです。

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筆者情報

旅人@中国旅行一筋30年
旅人@中国旅行一筋30年ブログサイト「中国旅行ドットコム」運営者
1991年から30年間で70回以上の中国訪問歴を有するベテラン旅行ブロガー。

中国旅行に興味がある方や個人旅行を計画している方、中国のリアルな姿を知りたい方向けのブログサイト「中国旅行ドットコム」を運営。

大都会の路地裏から田舎の町や村まで足を運ぶ、ツアーでは決して体験できない独自の旅行スタイルを持つ。

【個人旅の実績】 訪問した省・市・自治区:32(残1) 訪問地:200以上
【印象に残る旅のエピソード】 数え切れず
【撮影した写真】 45,000点以上

安宿に泊まり、長距離バスや夜行列車などのローカルな移動手段を使って、現地の人々と触れ合い、肌に感じる旅をして、リアルな中国渡航情報を発信中。

1日100元以内での滞在に挑戦するなど、旅の費用を抑える工夫が得意。独自の旅のノウハウを有し、海外モバイル経験も長く、ANA陸マイラーでもある。

旅先での中国語会話を実践して、通じる中国語を教えることにも取り組んでいる。中国語に堪能でVIP通訳に従事したことがあり、訪日視察団のアテンドをしたことも。経験を活かして、コミュニケーション促進のための中国語も含め講師として教えて6年超。

ブログをご覧になられた読者との交流も大切にしており、いただいた質問に対応したり、いただいた情報をブログや動画に反映している。

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