【基礎知識】中国滞在中の移動手段ガイド

広大な中国を効率的に移動するには?旅行やビジネスで中国滞在中に使える交通手段の種類や特徴を解説。中国での移動に関する疑問や不安を解消して快適にお過ごしください!

長距離移動

中国はカナダやアメリカ並みの国土面積を有していますので、数百キロを超える長距離移動の主力はやはり飛行機です。

飛行機ですと移動のみとなり、途中の景色はすべて吹っ飛びますので、あえて列車や長距離バスを利用するのもありです。

航空

数千キロを移動するには、鉄道だと車中1泊2日~2泊3日必要なところが、待ち時間を含めても数時間~半日で移動できる手段として重宝します。

E-ticket(電子チケット)が出回るまでは、紙のチケットを入手しなければならなかったため、手配が困難でした。特に中国国内線だけの手配は困難を極めました。

今では、WEBで簡単に購入できて、日本に居ながら手配するハードルが大幅に下がり、旅の計画を立てやすくなりました。

航空運賃

中国国内線の運賃は高いのが難点ですが、格安航空券もありますので、出発日や搭乗便の選択を考えることで、いかに使いこなすかで渡航総費用が変わってきます。

私の場合は、マイレージの特典航空券で遠距離移動したり、例えば、国際線航空券を北京乗継で西安まで購入するといった買い方で、別々に購入するよりも安くなるようにしています。

機内食

日本では上位クラスしか機内食は出ませんが、中国では、食事時の時間のフライトですと、1時間以内の短いフライトを除きエコノミークラスでも機内食は出ます。朝はお粥が出る場合があったり、面やご飯ものなど、美味しいかどうかは当たり外れがありますが、30年来、旅の楽しみのひとつです。

成田→大連 ANA便 機内食
成田→大連 ANA便 機内食

鉄道

長距離移動の定番は鉄道です。一番のメリットは、移動中でも身体を自由に動かせることです。トイレに困ることはありません。

近距離移動もありますがあまり向きませんが、通勤列車のような形で運行しているケースがあるのでそれらは除外です。

鉄道は、高速鉄道と旧来の一般鉄道のふたつに分かれます。

高速鉄道(高鉄)

高速鉄道は、最初は、2000年代前半は北京―天津、上海―南京くらいでしたが、2010年代には、急速に路線距離を伸ばし、中国全土へのネットワークがほぼ出来上がっています。

割引運賃はありますが、ごく限られており、航空移動と比べると、価格柔軟性はありませんが、特定の列車に割引運賃を設ける施策を行っている場合があります。

次の中国語ページのリンクにある高速鉄道路線図を見ると驚くと思います。縦横無尽にネットワークが築かれ、日本の新幹線網など既に眼中にないくらいの充実度となりました。

高鉄網「中国高速鉄路網路示意図」(中国語)
http://www.gaotie.cn/CRHMAP/

広すぎて画面に収まらないようで、左上の矢印を上下左右に動かして、必要に応じて拡大縮小すれば見やすくなります。次に紹介する一般鉄道の路線図と見比べると分かりますが、まだ未開通の路線も一部含まれていますので注意が必要です。

一般鉄道(火車)

蒸気機関車やディーゼル機関車が客車を牽引するスタイルで旅を始めた30年前も今も余り変わりません。鉄道というと、普通、こちらをイメージします。

2000年代半ばまでは、本線に蒸気機関車が走っていて、自分も廃止前に内蒙古の集通鉄道で乗車してきました。

日本のように私鉄や近郊電車が発達していないため、鉄道で隣町など近場への移動は面倒です。

特に、改札まで待合室で待ったり、長距離移動客と同じようにセキュリティを通る時間を要するため、あまり効率は高くありません。

ただ、直線移動が可能なので、バスよりも速い場合があります。運賃はバスより安い傾向にあります。

路線ネットワーク

次のサイトは、駅名を検索すると発着列車や路線にある駅の一覧が表示されたりして、視覚的に分かるのですが、日本語版(Bata)があることが特筆されます。

中国鉄路地図(中国語)
http://cnrail.geogv.org/zhcn/about

駅へのアクセス要注意!

中国旅行時に列車を利用することはあるかと思いますが、意外に知られていないのは、駅の立地です。

完成して何十年も過ぎている駅は大抵、町の中心部に近い便利で交通至便な場所にあります。北京駅や上海駅がその例です。北京西駅も巨大な駅舎が1990年代に出来たので、少し郊外寄りの立地です。

北京北駅や北京南駅は元々あった古い駅舎を取り壊して空港のような大きなターミナル駅に変化しました。

また、都市化が進んでいて、町の中心部に大規模な駅舎を建設することは、敷地確保がままならないため、ここ20年くらいの間につくられた駅は総じて町の郊外に立地しています。

特に、高速鉄道駅はそれが顕著でして、例えば、成都駅と成都東駅とでは10km以上離れているので、乗車駅を間違えたら、乗り遅れてしまいかねませんので注意が必要です。

北京や上海、広州、成都など中国の大都市の駅は東駅、西駅、南駅、北駅といった、複数のターミナル駅があって、方向別に列車が発着していますちなみに、駅は中国語では《站》といいます。

特に、大都市の場合、切符を買った直後に、必ず乗車駅や下車駅を確認してください。

郊外に立地する駅ですと、中心部を結ぶ路線バスが走っていますが、最終の時刻が早い場合があります。昼間や夜は本数が差ほど多くない場合があったりします。

加えて、新しい駅は、規模が大きい割りには駅を離れると食事が出来る場所がなかなかありません。中心部へ向かう広い一本道があるだけだったり、開発中でマンションくらいしかないケースも実際に幾度もありました。バス停の間隔も長くて、次のバス停まで結構な距離がある場合も散見します。

タクシーで移動すると何十元とか100元以上要することもありますが、路線バスでしたら1元、2元の世界です。上手に活用されてはいかがでしょうか。

車内の過ごし方

今でも、一晩以上走る長距離を走る列車には食堂車が連結され、温かい食事がいただけたり、車内弁当を買うことができ、汽車旅の楽しみのひとつです。

寝台車でしたら、昼間でもごろ寝することができますし、窓際の折りたたみ席でたたずんでいても構いませんし、過ごし方も様々です。

廊下から見た硬臥車内
廊下から見た硬臥車内

長距離バス

広い中国、鉄道だけではカバーしきれない地域が多数あります。そういった所も含めて、縦横無尽に路線が広がっているのが長距離バスです。

他方、沿岸部からシルクロードの西の彼方まで3,000km以上の距離を数日で走るという、気が遠くなりそうな便も存在します。

同じ省内の都市間は路線としては太いので、本数も期待できますが、省を跨がる移動や小さな町へ向かうバスは本数はめっきり少なくなります。

省都クラスですと、市の中にある県クラスの町へ向かう便もあり、地名を見るだけで目がまわりそうです。

数百キロで1日で踏破するバスは基本座席バスで、そうでないバスは寝台バスが多いです。後者は日本では全く見かけませんが、中国では標準です。

夜行バスが北京郊外のバスターミナルに到着

3列で2段寝台が数列並ぶもので、1人が何とか寝ることができて、足は乗り上げる感じ、荷物は大きいとトランクに預けなければなりません。

窓の配置などの関係で、景色を見るには位置が良くないといけませんし、昼間の過ごし方に難があると思います。

傾斜ベッドがバスになる寝台バス

長時間走るバスは、途中トイレや食事を兼ねて、ドライブインや食堂や売店がある場所で休憩する場合が多く、トイレはこの間に済ますのが無難です。

でも、ご安心ください。中国語を少しでも話せれば、親切な運転手なら途中でも止まってくれます。

ですが、停まったとしても、草むらだけなど、トイレがない場所が多いため、露天での用足しになります。気にしていたら膀胱炎になりかねないので、郷に入れば郷に従えということで、考えられるとよいのではないでしょうか。

乗車前のトイレは忘れずに

中国の旅行先で長距離バスターナルでバスに乗ってすぐに長距離移動するのは慌ただしいので、できる限り余裕をもって到着するようにしています。

なぜかといいまうと、トイレで用を済ませたいからです。その理由を説明します。

長距離移動になれば、バスに乗車すると最低でも1時間半以上、長ければ2~3時間は休憩無しにバスが走り続けることはざらだからです。

途中休憩があるのはまる1日かけて数百キロ走るバスや夜行バスなど、時間を要するバスに限られますので要注意です。

200km以内で3時間以内の路線ですと、そもそも休憩なしで走るケースが多いです。

かといって、バスにトイレがあるケースは多くありません。

乗車している人たちは途中で降りる人も多く、通しで乗る人は必ずしも多くありませんので、声をあげてトイレとまでいう人は経験上多くありません。

トイレがありますので、済ましておくことを強くお勧めします。30年来、長時間バスに乗る前は余程時間がないといったことがなければ、身体が勝手にトイレまで動くくらいに馴染んでいます。

特に大便の方は、途中のトイレではハード的に厳しい場合がままありますので、生理現象なのでどうしようもない場合もありますが、できる限り先に済ました方がいいですね。

我慢していると気分がよくなくなりますし、せっかくの景色も気がそぞろで台無しになってしまいます。

今は、消毒スプレーで代用できるので不要なのかもしれませんが、トイレには水道がある場合が多いので、手を洗うタイミングとしても適しています。

トイレや手荒いは、途中休憩がなければ、次の到着地までお預けとなります。どうしても我慢できなければ中国語やジェスチャーでヘルプしてくださいね。

近距離移動

滞在地には路線バスや地下鉄が縦横無尽にネットワーク化されている都市が多いのですが、小さな町ですとバスが数路線と言ったところもあります。

地下鉄

数百万クラスの大都市であれば地下鉄が開通しています。日本と同様に郊外は地下ではなく高架路線となっているケースが多いです。

南昌 地下鉄改札
キャッシュレスに対応

上海など一部都市では1日乗車券が販売されていて、観光客の利便性を高めています。支払いはキャッシュレス対応されたものが増えてきています。

<関連リンク>

路線バス

市内を走るバスと郊外へ向かうバスと2種類あります。市内バスは、「数字+路」といって路線番号がついています。小さな県ですと1桁番号の路線のみ、北京や上海などは3桁の路線バス番号がある、数百の路線があります。

地図アプリが普及するまでは、折り畳みの地図が旅の常備品で、町に到着すればすぐに購入していましたが、今は、地図又は地図アプリに代替わりしました。

運賃の支払いですが、ワンマンタイプは均一料金で1元から、車掌が乗車している場合は行き先を聞かれますので、答えなければなりません。今は大多数がワンマンです。

<関連リンク>
中国旅行で使おう!「路線バス」乗り方指南

空港発の路線バス

路線バス乗り場は空港の外れにあることがあるなど、探すのも手間がかかるローカル路線バスです。

日本の空港では直行バスも路線バスも空港リムジンバスと同じバス乗り場にあることが多いのですが、中国は、ローカルバスのバス停だけ離れている、別々にある場合が多いです。

着いてからすぐに少しでもローカルな気分を味わいたい場合は、ローカルバスを利用することは一つの選択です。

ただ、時間を優先される場合はお勧めしません。なぜかといいますと、各駅停車なので、かなり時間を要したり、途中で乗換えが必要だからです。初めてですとバス停を探すのに手間がかかります。

その代わり、運賃は格安で、直行の空港バスと比べて半分以下の場合が結構あります。街の風景や景色もゆっくり見ることができます。

私の経験した中では、北京、上海、西安、大連などでローカルバスに乗り市内へ移動(又はその逆)したことがあります。

旅の仕方にも関係していて、馴染まないケースもありますが、ゆっくり走る地元住民が利用するバスに乗って、ゆっくり移動するのは、生活を知るための手段のひとつでです。

町の様子もはっきり見ることができますし、旅が始まって早々に現地気分を味わうことができて、決して悪くない選択ではないでしょうか。

空港バス

旅行が始まり、中国到着後に空港から移動する手段として、市内中心部へ直行する空港バスを活用すると便利です。乗り場は初めてでも分かりやすいところにあります。

時刻表はないのが基本?

中国では、路線バスのバス停や地下鉄の駅で時刻表がどこにもないことに驚く場面があります。日本との大きな違いです。日本の常識が通用しないことが分かる瞬間です。

鉄道ですと、長距離列車が多いので、列車ごとに途中駅の到着(発車)時刻が載っていたりするのとは対照的です。券売機で検索が可能です。

鉄道の駅も時刻表もありますが、掲示場所が限られまして、駅の切符売場以外では一覧的なものは見かけることが少なく、待合室では列車毎にしか時刻は分からず、網羅的な情報を得ることはできません。

地下鉄の場合、時刻表はないのですが、運行間隔、次は何分語に来るといった表示あり、ホームで見ることができますので安心感があります。

中心部を走るバス路線は比較的本数が多く、時刻表要らずで済むことが多いです。いつ来るか分からないのを待っている人は地元でない人が多いです。

大都市ですと深夜バスがあり、終夜運行している路線があります。これは例外で、その場合は時刻が記載されているケースが多いです。

ピーク以外の時間帯や元々運行頻度が少ないバス路線でも表示が同様なのが難点です。何分後に来るか分からず、周りの人に聞いても案外知らないことが多いからです。

駅前のバス停であれば始発の路線が多いので、運転手に聞くことは難しくなく、運行間隔や最終時刻を聞いたりすることがあります。

特に、バスの時刻表がないのは本当に不便です。30年来変わっておりません。いつか解決してほしいものです。

長距離バスには、発車時刻や距離の掲載に限りますが、簡単な時刻表がバスターミナルに掲示されているケースが多いです。途中経由地へ行くバスがないケースが結構あって、遠くへ行くバスで途中下車ということがあるのですが、途中どこを通るか書いてあるケースもあり、参考になります。ない場合は、窓口や改札、運転手に直接尋ねる必要があります。

近郊バス

中国では、感覚的に100km以内の距離は長距離には含まれません。郊外バスの類いとなり、都市や県の中心部又は周縁部の拠点部から往復するものです。

都市部ですと、郊外へのバスは本数が多く頻発路線もありますが、田舎ですと、午前は数便ありますが、昼過ぎには最終となったり、午前に出発して、午後目的地から戻るという1日1往復の路線もざらです。

田舎でとある朝に見られたバス乗車風景
田舎でとある朝に見られたバス乗車風景

郊外へ向かうバスは、ほとんどが車掌乗車で、日本と同様に、距離で運賃が上がります。ですので、「どこどこまで」という地名を中国語で話さなければなりません。

中国語の発音がどうであっても、運賃をぼったくられることは少ない傾向にあり、比較的安心できる移動手段です。地元の人しか利用しない手段なので、ごく少数の外国人に対して、ぼったくろうという発想にはなりづらいのだと推測しています。

運転手がポケットに入れるような形で運賃を受ける場合は、注意は必要ですが、言い値を受け入れなければ、乗ることができないため、相手の良心を信じるか信じないかになります。

タクシー

初乗りに10元以上かかりますので、人数が複数いる時など、使い方次第ではバスに乗って移動するよりも時間短縮になります。

ぼったくりや白タクが未だ存在しますが、「滴滴(DiDi)」といったオンライン配車サービスが幅を利かせています。

運転手は個人で、評価できるため、サービスもなれたもので、遠回りするといった昔の運転手によくあったことは少ないようです。

街なかを歩くには最強で、一番頼りになる移動手段です。自らの足で動くことで、町歩きを体感できますし、地理感覚を身につけることができるので、市内バスだけでなく、歩くことをお勧めします。

以前は、市内地図が駅やバスターミナルで販売していましたが、スマホや無線通信が普及してしまい、地図アプリに代わってしまいました。アプリを使用して現在位置を把握しつつ、市内バスを併用しながら旅を楽しみましょう。

自動運転バス

旅行先で自動運転のバスに乗ることが中国で実現できるようになりました。

中国で初めて市民に自動運転バスの営業運転を開始したのは、2021年4月重慶市永州区。営業距離は10kmで3台が投入されました。2021年7月は河北省滄州、同年8月に上海で相次いで運行を始めました。

無錫市の経済開発区では通勤需要に対応するために予約制で小型自動運転バスの運行を始めました。また、広州市では6路線に50台投入を順次予定しているとのことです。

最近相次いで開通した自動運転バスの情報を参考としてお知らせします。

広東省広州市
没有驾驶员的公交车来了!广州科学城首条自动驾驶便民巴士线路开通(深圳商报官方帐号)
https://baijiahao.baidu.com/s?id=1758494251757221573&wfr=spider&for=pc

2023年2月22日に報じられたもので、21日に「自动驾驶1线」という路線で開通。運行区間は「萝岗和苑」ほか8つのバス停間で、距離は11km、7時~22時運行、15分毎に1本と普通のバスと同様な運行です。

安徽省合肥市
安徽首条自动驾驶公交线路进入常态化运行(新华社图片新闻官方帐号)
https://baijiahao.baidu.com/s?id=1758621096931813917&wfr=spider&for=pc

安徽省で最初の自動運転バス路線が合肥市包河区で定期運航を開始した。15km、バス停は6つ、スマホのミニアプリによる予約制。2023年2月23日のニュース。写真も数点ある。

今後もどんどんバスの自動運転が増えてきそうです。旅先で乗ることができるチャンスも増えるのではないでしょうか。

作者プロフィール

旅人@中国旅行一筋30年
旅人@中国旅行一筋30年ブログサイト「中国旅行ドットコム」運営者
1991年から30年間で70回以上の中国訪問歴を有するベテラン旅行ブロガー。

中国旅行に興味がある方や個人旅行を計画している方、中国のリアルな姿を知りたい方向けのブログサイト「中国旅行ドットコム」を運営。

新型コロナウイルス後の中国旅行に対応した最新情報から、大都会の路地裏から田舎の町や村まで足を運ぶ、ツアーでは決して体験できない独自の旅行スタイルを持つ。

【個人旅の実績】 訪問した省・市・自治区:32(残1) 訪問地:200以上
【印象に残る旅のエピソード】 数え切れず
【撮影した写真】 45,000点以上

安宿に泊まり、長距離バスや夜行列車などのローカルな移動手段を使って、現地の人々と触れ合い、肌に感じる旅をして、リアルな中国渡航情報を発信中。

1日100元以内での滞在に挑戦するなど、旅の費用を抑える工夫が得意。独自の旅のノウハウを有し、海外モバイル経験も長く、ANA陸マイラーでもある。

ブログをご覧になられた読者との交流も大切にしており、ほぼ毎日質問がきて、いただいた情報をブログや動画に反映している。メーリングリスト立ち上げなど、新しい取り組みも行っている。

詳細は作者紹介をご参照ください。問合せはこちらまで。

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