【解説】 中国渡航ビザ発給停止とその悪影響
昨日の速報に続き、掘り下げて解説します。
年末の水際対策強化に対する対抗措置を行うことを中国外交部(日本の外務省に相当)報道官が公式発表しました。聞く限り、その時は具体的な措置については明言されていませんでした。
政治というキーワードを出したことが中国らしい動きでして、日本政府や他国政府がそういう意図がなかったとしても、そのように表現することは十分ありうることです。
目 次
公式発表内容
注目すべきなのは、中国の駐日大使館のホームページでの表現です。
中華人民共和国駐日本国大使館 「お知らせ」
http://jp.china-embassy.gov.cn/jpn/lszc/hzqzyw/202301/t20230110_11005327.htm
中華人民共和国駐日本国大使館 「中国大使館領事部2023年春節業務停止のお知らせ」
http://jp.china-embassy.gov.cn/jpn/tztg/202301/t20230109_11004210.htm
両者を比較しますと、前者は中国ビザ発給停止の件はタイトルが《お知らせ》とあえて目立たないようにタイトルを表示して、クリックしなければ、何の話かすら分からないものとなっています。
後者は、具体的な内容がタイトルで分かるようになっています。他のトピックも同様に、具体性のあるタイトルとなっています。
本音は、あまり見てもらいたくない。でも、対抗措置をとらなければならないという関係上、このような掲載位置やタイトル表現になったのではないでしょうか。
日本の措置との比較
政府の水際対策は、あくまで、《中国からの渡航者に対する措置》なのですが、中国は《日本人に対する措置》だったということが大きな違いです。
水際対策関連で、追加して日本政府は新たに中国人渡航者に対する査証発給停止は行っていませんので、措置のレベルは明らかに異なっています。
実際の影響
日本と中国とのビジネス渡航がこれから回復しようとするなかでの対抗措置で、商談や視察など商用のための渡航は、短期滞在野佐省免除はまだ復活していませんので、ビザ取得が必須です。
発給されないということは、中国への渡航が一切できなくなるということで、商談ができなくなったり、組織の意志決定が遅れることになます。
もちろん、観光もできず、人の往来がストップするということになります。相当大きなインパクト、悪影響が生じます。
中国側にも経済活動を委縮させるようになり、回りまわって痛手をこうむる悪影響となります。
他国の動き
では、他国の動きはどうかといいますと、査証発給停止は日本や韓国といった近隣のみでして、アメリカやヨーロッパまでは及んでいないようです。
タイやマレーシア政府はインバウンド、中国人観光客の来訪を期待しているので、特別な水際対策を行わない、もしくは、撤回するといった動きで対応しています。
中国では、「困ったときに井戸を掘った人の恩は忘れない」ということわざがあるくらいですので、一目を置かれることになるでしょう。
何か良い方策はないか?
現在の措置は、東京にある大使館領事部、大阪や名古屋、福岡、札幌、長崎にある総領事館で行われる査証発給業務が行われない。ということですが、これを更に読みくだしますと、日本以外に所在する総領事館などはどうでしょうか。香港の中国外交部の出先機関では、1月11日現在、ビザの発給が停止するという表現は見受けられませんでした。
観光目的の査証取得はできないと記載されていましたので、日本以外の総領事館や領事部での査証取得による観光のための入国は困難であることは変わりません。例えば、留学目的でビザを取得して、中国に滞在するというやり方はありますが、招聘状といいますか、必要な書類が別にありますので、留学することが必要となります。
また、日本での発給ができないということなのか、日本人へのビザ発給が停止されているのか、明示されていないところがみそでして、こればかりは、実際に日本人が海外で査証取得手続を行ってみないと分かりません。
いつ再開するのか?
これは大変難しい問いです。メンツがありますので、中国は日本政府が水際対策強化措置を取り止めなければ、拳を下ろすことは困難です。
日本政府も合理的理由がなければ取りやめることができないでしょうから、この状態がしばらく続くでしょう。
中国での新型コロナ感染患者数が大幅に減少すれば、水際対策を解除するでしょうから、春先が目安ではないでしょうか。
参考記事
作者プロフィール
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1991年から30年間で70回以上の中国訪問歴を有するベテラン旅行ブロガー。
中国旅行に興味がある方や個人旅行を計画している方、中国のリアルな姿を知りたい方向けのブログサイト「中国旅行ドットコム」を運営。
新型コロナウイルス後の中国旅行に対応した最新情報から、大都会の路地裏から田舎の町や村まで足を運ぶ、ツアーでは決して体験できない独自の旅行スタイルを持つ。
【個人旅の実績】 訪問した省・市・自治区:32(残1) 訪問地:200以上
【印象に残る旅のエピソード】 数え切れず
【撮影した写真】 45,000点以上
安宿に泊まり、長距離バスや夜行列車などのローカルな移動手段を使って、現地の人々と触れ合い、肌に感じる旅をして、リアルな中国渡航情報を発信中。
1日100元以内での滞在に挑戦するなど、旅の費用を抑える工夫が得意。独自の旅のノウハウを有し、海外モバイル経験も長く、ANA陸マイラーでもある。
ブログをご覧になられた読者との交流も大切にしており、ほぼ毎日質問がきて、いただいた情報をブログや動画に反映している。メーリングリスト立ち上げなど、新しい取り組みも行っている。
詳細は作者紹介をご参照ください。問合せはこちらまで。
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