【解説】中国ノービザへの道遠し、いつ再開されるの?

2023年8月27日現在の状況を踏まえて、コロナ禍前のように15日以内はノービザで渡航できる措置が復活しない背景について解説します。

2019年以前は中国短期渡航は査証免除だった

新型コロナ感染症が流行する前は、日本国籍のパスポート所持者は15日間のビザなし渡航が認められていました。観光やビジネス目的の日本から中国への渡航者増加に大きく寄与していました。

中国へ渡航するのにはビザが必要!

現時点では、プライベートでの観光や仕事で中国へ行く目的でもビザ(査証)の取得が必要で、申請者本人が申請時とパスポート受取時の計2回、申請センターへ行かなければならず、かなりの負担となります。

地方在住の方にとっては、多大な負担になることについて、「地方在住者にとって中国ビザ取得は大学受験へ行くのと同様に大変」をご参照ください。

2023年8月11日から12月31日までの措置となりますが、L(観光)、M(商業・貿易)などの種類については、両指10本の生体認証データ採取を免除されました。

緩和されましたが、ビザの手配を行っている旅行代理店が少ないことから地方在住者にとって大変な状況は変わりません。

4年ぶりの中国旅行を計画中ですが、決めたのが7月20日頃で、2ヶ月後に旅をするのは結構きびしく、ぎりぎりのスケジュールでビザ取得手続を進めています。

観光目的でもビザ取得が必要なの?

観光については、他の渡航目的と同様に、個人団体問わず、観光ビザの取得を中国政府が求めています。

これが日本人の中国への渡航意欲減退に繋がり、観光や業務による中国への訪問者が増えない理由となっております。

団体ツアーについては、個人単位でのビザ取得が必要となり、旅行会社が対応しきれておらず、催行できる環境は整っていないのが現状です。

注目すべき様々な動き

ここ半年間でポイントとなる動きが結構ありまして、これらを列挙するだけでも結構な数になりますが、具体的に解説します。

福島原発放射線処理水放出

福島原発の放射線処理水の放出を2023年8月24日に始めました。これに対して、中国政府は即座に反応し、日本からの海産物の輸入を停止しました。対象範囲が福島県や周辺県のみならず全都道府県を対象としていることがみそです。

農林水産大臣が「ここまで予想していなかった。」旨のコメントを記者会見で行っていますが、甘い見立てだと言わざるを得ません。

「ビザ免除と関係ない話なのではなないか?」と思われるかもしれませんが、残念ながら、中国はそのようには考えておりません。この反応を見る限り、ビザ免除への道は逆に遠くなったと妥当だと考えます。

他国のビザ免除措置再開

日本と同様に双方ではなく一方的な15日間の査証免除を実施していたシンガポールとブルネイに対して、中国政府はコロナ前と同様の取り扱い、ビザなし渡航を認める措置を2023年7月26日から再開しました。

シンガポールは相互免除措置の導入に向けて交渉入りするという話があり、その進展状況を見てかどうかまでは不明ですが、日本と差をつけてきたことは事実です。

日本への団体旅行解禁

一方的な措置ですが、2023年8月10日から中国から日本への団体旅行が解禁されました。他国は23年の早い時期に解禁されたのと比べるとあえて遅くしていると考えるのが妥当です。

相手もただで復活させるのではなく、中国人の訪日ビザ免除を目指していると思われますので、事情はそう簡単ではありませんが、一つ進展したと言えます。

中国政府による日本政府へのビザ免除の要求

基本的にビザに関しては相互同等の措置が正常だと考えることから、中国政府は相互免除に向けて日本政府へ働きかけていますが進んでいないように見受けられます。

東京のビザ申請センター拡充

中国政府は日本に3ヶ所ある「中国ビザ申請サービスセンター」のうち、東京にあるセンターを拡充のため移転することを検討中であることがテレビ朝日の独自取材により判明しました。

具体的には、ビザ取得時間を半分まで短縮するために、東京の中国ビザ申請センターのスタッフの増員やオフィスの拡張や移転を考えており、このような動きは中国政府からの指示により進められているとのことです。

これは、日本人を含めた外国人に対してビザ取得を今後も求めていくという前提で、センターの拡充を進めていることを意味しています。

経済界から中国政府への働きかけ

日本政府や民間経済界からは中国政府に対して、ノービザ渡航を実現するよう、各ルートから様々な働きかけを行っていますが、成果は出ておりません。

ビザ免除がいつ復活するか?

様々な関連する動きを見て言えることとしては、今のところは、ビザ取得が必要な現状が維持されることを中国政府が意図しているのではないかということです。

特に、福島原発の件は、短期渡航の査証免除復活が逆にノービザへの道が遠のいたということを暗に示唆するものであります。

いつ復活するかは日中両国関係の進展によります。不透明な状況が続くだけで、しばらくは復活することはないのではないかと予想しています。

しかし、ゼロコロナ政策の突然の放棄といった中国の動きを見る限り、首脳外交が急きょ進展すれば、突如復活することは十分考えられます。

ビザなし短期渡航実現に向けて

日本がインバウンドを本気で進めるのであれば、中国人の訪日客数は欠かせません。

首脳レベルでの働きかけがそろそろ必要な時期に来ています。何らかの妥結点を見つけて、少しでも早く、大きな動きが出ることを期待したいものです。

中国はトップダウンの国ですので、ゼロコロナ施策を取り止めた実例があるように、突発的に復活することがあり得ますので、良い意味での予断を許しません。

観光ビザの取得方法を知りたい方へ

中国への観光目的の旅行は2023年3月15日にビザ取得が可能となりました。Lビザ(観光目的の査証)を取得すれば中国へ旅行ができます。

中国旅行に行きたい人向けに「【必見】中国旅行に必要な「観光ビザ」取得方法を解説」で詳細を記しましたので参考にしてください。

観光以外のビザの種類の申請までは確認していませんが、共通又は類似している部分があるかもしれませんので、何らかの参考になれば幸いです。

コメントを残す